アルバートのお出かけとおかえり1
アルバート視点です
親衛隊養成学校はいつも通りだった。
学校から少し離れた裏通りに馬車を止めてもらい、そこで馬車を降りて通学する。
一応、正式に養子になると発表されるまではなるべく公爵家とのつながりを知られない方がいいだろうとのこと。
ロマルク公爵家と縁を結びたい人からの接触など面倒なこと増えることもあるそうだ。
……最悪、リーリア様と結婚してロマルク公爵家に入り込もうとする人間に命を狙われることもあるとセバスが何度もばれないようにと繰り返していた。
人の命を欲望のために簡単に奪ってしまえる……そんな人間がリーリア様の周りにいると想像するだけでぞっとする。
僕が……守ってあげなければ。
リーリア様。
そのためには、親衛隊養成学校で得られる護衛術は何よりも役に立つだろう。何と言っても王族をも暗殺者から守るための術を学ぶのだから。
よかった。騎士科を選んで。親衛隊養成学校に進むことができて。
正直、まだ学生の身……というのは、年下だということを痛感するため嬉しくはない。
だけれど、リーリア様を守るために必要なことだと思えば、何と素晴らしい時間なのか。
……ん?
年下を痛感するのが嬉しくない?
僕は年上女性が好きなのだから、年下であることは僕の誇り……だったんだけどな。まぁいいや。
まぁ、とにかく、最悪命を狙われかねないので、公爵家とのつながりはなるべく隠せるうちは隠すようにということだ。
……というわけで、バレないようにと緊張して授業に臨んだものの、そう簡単にバレるわけもなく。
普通に授業は終わった。
その後、自主勉強をしようと思ったけれど……。
リーリア様の力になれるよう、領主としての勉強をと、思ったけれど……。
朝の失敗が気になって仕方がなかったので、今日は大人しく帰ることにした。
失敗……。
そう。
思わず……。
思わず、抱きしめてしまった。
小さな手が、僕の肩に伸びて励ますようにぽんぽんとされた瞬間、どうしようもなく愛しく思えて……。
そう、愚かにも「親子なら抱きしめて出かけるときの挨拶くらいするから問題ないはずだ」なんて言い訳を用意して……。
そう、母は、よく僕たち兄弟をぎゅっと抱きしめて送り出してくれたから。
だから、もし、問い詰められたら親子なら普通だと言い訳しようと……。
思って……。本当は、単に、抱きしめたかった。この腕に包み込みたかった。
触れたくて……リーリア様への欲望……げふんげふん、愛情が抑えきれなくて。思わず。
リーリア様は、僕を問い詰めることなく、ただ、僕の腕の中で身を固くしていた。
そう、身を固くしていたんだ。
あれは、驚かせてしまったのだと思う。
しばらくアルバートサイド。
……変態に磨きをかけ、ジュクジョスキーが今日も行く。
だから、コメディだもん……汗




