告白
私はいい。
私は、今更何を言われたってかまわない。
金で子供を買ったと言われようが……。結婚できなかった哀れな女。今更だ。
例え陰で何と言われようと、直接私に対して手を出すような愚かな真似をする者はいないだろう。それだけの力のある公爵家なのだから。
だけれど、子爵家は?
……貴族社会での立場はどうなるの?
ロマルク公爵家が表立ってかばうようなことはできない。
縁を切ることを条件としているのだから、かかわりを持ってはならないのだから。
騙されているわけじゃない。
子爵家だって、お金のためにアルバートを売り渡したわけじゃない。こちらから強く望んだから断れなかったんだろうことは容易に想像がつく。公爵家には力があるから……。
こちらがわがままを言っただけなのに。
非難の的になるのは子爵家……。
ギリギリと奥歯を噛みしめる。
問題をクリアにしなければ。正式に養子に迎えるまでの半年の間に……何とか。
そうじゃなきゃ……。ルイードの反対にあって陛下に認めてもらえなければ、養子にできない。
「ルイード、私は騙されてなんかいませんわ」
ルイードにつかまれている手を振り払う。
「俺は君が傷つくのを見たくない」
どの口がそれを言う?
散々ブスだのなんだの傷つけておいて……。
ルイードが両手を広げて私を抱きしめた。
ぎゅーっと。
何?もうっ!過去の恨みを水に流して仲良くやろうって言いたいの?
ふぅー。
「毛虫を私に見せて悲鳴を上げさせ傷つけていた王弟殿下……」
「いや、それは、リーリアが蝶が好きだというから……」
蝶が好きイコール虫が好きだとでも思ったとでもいうのか?
「あの毛虫は、アゲハ蝶の……」
グイっとルイードの体を押しのける。
「私、ルイードのおかげでずいぶん陰口にも嫌がらせにも強くなりましたわ。簡単には傷つきません」
もしかすると、一人っ子の私を弟分として鍛えようとしていたのかしら。
ルイードは。
首をかしげる。
毛虫くらい触れなければ男じゃないとか本気で思っていた可能性もあるわよね。
なんせ、強いのが男。女を守ってこそ男。
武功を上げてこそ一人前。
とか、本気で思ってますよね。
「いや、すまん、リーリア、何を言っても言い訳にしか聞こえないと思うが……俺は……」
言い訳?
やっぱり、理由があったのね。
再びルイードの手が私を引き寄せ広い胸に押し付けた。
ぶふっと、鼻がルイードの胸に潰される。
……抱擁……というより羽交い絞めだわ!
「リーリア……はじめて会った時から、お前のことが好きだ……」
え?
('ω')ノほほー、これで気持ちが伝わ……
コメディだって言ってるよね?




