食べ物のうらみ
「思ってることがすぐに顔に出る。取り澄ました顔する令嬢たちの相手をするのは本当に疲れるが、リーリアといるのは楽しい」
……それ、つまり、私は貴族として当然のように身に付いているはずの、感情を隠して取り乱さずに物事に対処するということができていない……と言ってます?
楽しいって、からかって反応を見て、ルイードが楽しんでるって話で……。
やっぱり、私は、玩具扱い!
「婚約なんてまどろっこしいことせずにさっさと結婚するか?」
「だから、どうしてそうなるんですか!お父様がお断りした話をお受けする気はありません」
「いや、もう大丈夫だって。兄上には2人王子がいるからな。貴族連中の興味はすでに今の第一王子と第二王子にうつった。今なら、ロマルク叔父も……」
ああ、だから、嫌いだ。
「違います。お父様は、政局だとか、国の事情だとか……そんなことでルイードとの結婚を反対したんじゃないっ。私が泣くなら。ルイードにいじめられたって泣いたから、リーリアをいじめるような男と結婚させるわけにはいかないと……。お父様は、私のことを愛してくれていたから、だから……」
お父様は、私を政治のコマになんてしようとしてなかった。
私のことを思っていてくれた。愛してくれていた。
なんで、それを否定するようなことをいうの?
「いや、だから、悪かったって……俺は、あの時も……王家にとびっきりの物を用意したと出されたものを食べ残すのは失礼なことだけれど、食べられないで困っていると思って、だなぁ……まぁ、いい。悪かったよ。そうだよ、お前はロマルク叔父に溺愛されてたからな。だけど、今なら叔父も俺との結婚を許したと思うぞ。それこそ、お前のために」
何で?
「俺と結婚すりゃぁ、お前の悪評は消し飛ぶどころか」
悪評?
私って、どんな噂されてるの?まぁ、だいたいは想像できますけれど。問題だらけで行き遅れたとでもいうやつでしょうね。その問題部分をどう噂されてるか……だけれど。
「劇として上映されるくらいのロマンスとして語られるようになるぞ?俺との愛を貫き30歳まで独身を貫き待ちとおしたという感動のラブストーリーとしてな」
「世間は本当に好き勝手いつも……。愛なんてどこにもないですよね?」
私と、ルイーズの間にあるのは、愛……ではなく、まぁ、親戚ですし、多少はこう、親しみはありますけれど。
そう、多少は。
これが他人だったら、イチゴを食べられた時点で完全に縁を切っていましたね。ええ、間違いありません。
リーリア、おまえ、なんか、巫女の血でも引いてる?(別作品の)




