それた
でも、子供は、しっかりしているように見えても、そうじゃない。
学校で喧嘩して怪我をしてくるかもしれない。
親衛隊養成学校だから、剣の訓練もある。ミスって怪我をしてしまうかもしれない。
まだ、公爵家の養子候補であることも世間には知られてないけれど……。
セバスが正式に養子として迎えることが決まってからじゃないと色々問題があるのでうまく隠すよう根回ししてくれているはずだから……。ここから王都へ向かう馬車も公爵家だと分からない物にしてあるし……。
万が一、公爵家へと出入りしていることがバレて世間を騒がしてしまった上に、養子にもできなかった時のことまでセバスは考えていますと言っていた。
たぶん、まぁ、護衛として雇うってことだと思う。
公爵家の護衛はもちろんいるけれど、若い人も入れていかなければならない。
お父様が生きていたころには、信用できる人間をどこから見つけてきたのか。私には伝手がない。
信用できるのは、親衛隊に選ばれる人間だ。なんせ、王子や陛下などの王族の身辺警護を一番近い位置で行うわけだから、身辺調査もそれは厳しい。身辺調査もされ、顔も腕もよい、退役親衛隊は貴族の護衛として人気があるし、うちにも何人もいるけど……。お父様が病に倒れてからは一人も採用できていない。まぁ、今後の公爵家がどうなるのかも分からないから、就職先として不安だと感じるのも分かるんだけれど。私がろくでもない男と結婚したら、ろくでもない男の警護をしなくちゃいけなくなるから、地獄よね。
……ろくでもない男からしか縁談話が来ない行き遅れの怪しい女公爵に仕えるのも地獄だと思われてるのかもしれないけれど……。うぐぐ。
まぁ、だからこそ、退役親衛隊でなく、親衛隊養成学校の生徒を青田刈りしてたんだで、済む話だと思うのよ。
アルバートがここから学校に通っていることが万が一バレて、養子にならなくても、護衛として雇えばね。
って、話がそれたわ。
セバスが根回しとかしてくれてるから大丈夫だとは思うけれど……。
うちの子(仮)優秀だし、公爵家から支援されてるだとか情報漏れてなくても、優秀だし、優秀すぎて、誰かが嫉妬して酷いことすることだってあるよね。
あ、親衛隊養成学校に通う人は信用できる人柄の人間だから大丈夫だとは思うけれど、でも……。
何かあったらどうしよう。
あれ?急に心配で胸がはちきれそうに……。
「だから、帰ってきたときに、戦場から無事に戻ってきたって気持ちになって、こちらはぎゅーってしたいこともあるんだけれど」
ハンナの言葉が耳に響く。




