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結婚はあきらめ養子を迎えたら、「お義母様大好き」と溺愛されています  作者: 富士とまと


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教えてハンナ!

「ハンナーっ!ハンナ!教えて頂戴!行ってらっしゃい行ってきますで、ぎゅっと抱きしめるようなことはある?」

 何と言っても、私が知っている親子の関係と言えば、お父様と私とのことだけ。

 ……お母様は記憶にない。母と子のことはハンナ先生に聞くのが一番よね。

「ええ、当たり前じゃないですか」

 当たり前だった。

 そうか、ビックリして一瞬体が固まってしまったんだけれど、アルバートは気が付いたかな?

 気が付くよね。騎士科とかなら、人の動きとかよく観察できるだろうから……。

 ……ごめん。せっかく親子として、家族になるためにアルバート君が歩み寄ってくれたっていうのに。

 私が、身構えてしまったなんて……。

 明日は、もう、遠慮して……朝の当たり前のお出かけの挨拶をしてくれないかもしれない。

「そんなのだめだわ」

 突然大声を出した私に、ハンナが口を開く。

「ダメじゃないですよ。小さい頃はもちろん、しょっちゅう抱っこ抱っこいってましたから当たり前ですけれど、大きくなっても、出かけるときには無事に帰って来られるかお互いに不安ですから。大丈夫、大丈夫、って無事を祈りながら行ってらっしゃいって。大切なことです」

 ハンナが、拳を握りしめて主張する。

 そ、そう、それほど大事なことなの。

 う、ううう。知らなかったとはいえ。

 私は、なんてことを。

 もしかしたらアルバートは、私はアルバートを傷つけた上に、今日はとても不安な気持ちにさせてしまったのでは?

 重ね重ねなんて酷いことを……。

「……なんて、言いましたが。実際親になってみてはじめてわかったんですよ。子供の立場ならば、親と離れるときの不安感が薄くなる程度のことなんですけどね、親からしてみれば……。子供は本当に何をするか分からない生き物で。もしかしたら川に落っこちて溺れてしまうかもしれない、木に登って落っこちてしまうかもしれない、飛び出して馬車にひかれてしまうかもしれない……と、大人なら絶対にありえないことをしでかすんです」

 ハンナがはぁーっと大きくため息をついた。

「毎回、子供を送り出すときは、まるで戦場に子供を送り出すみたいな気持ちになるんです。無事に帰ってきてくれと。……だから、まぁ、抱きしめずにはいられないというか……」

 ハンナの言葉にガーンと頭を打たれたような気持ちになった。

 そうか。

 お父様は私から見れば、とても立派で強くて頭も良くて、身を守る術も持っていて、出かけるときに心配は……そりゃしたけれど、戦場に送り出す……危険があふれている場所に送り出すという気持ちは無かった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 親子愛じゃなくて恋愛目線のハグですからねぇ… このハンナとの勘違い会話はいつまで続くでしょうか…(笑)
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