朝食
「そんなに、アルバートはお父様の若いころに似ているの?」
「そうですねぇ。顔がというより、全体の雰囲気でしょうかね」
そうなんだ。
なんとなく、お父様に似てると思ったけれど、他の人から見てもそうなのね。私の記憶の中のお父様は、もっと歳だけれど、若いころのお父様を覚えている人達からすると、かなり似てるんだ……。
だから、なのかしら。
昨日、寝る前にアルバートと話をしたから、だから、よく眠れたのかも……。
って、違うわ、違う!
私、アルバートが寝たところを見た記憶がないんだけれど!もしかして、もしかしなくても、私、子供よりも先に眠ってしまったんじゃない?
あああああ、呆れているかもしれない。
親として頼りないと、親にするのは不安だとアルバートは思わなかったかしら?
どうしましょう、どうしましょう。
朝食で顔を合わせるのが不安になってきたわ……。
食堂に移動すると、すでにアルバートは席についていた。
「おはよう、アルバート」
声をかけてテーブルに移動すると、アルバートが立ち上がり私の顔を見るなり、すぐに顔をそむけた。
え?何、この反応……?
まさか、やっぱり、昨日……失態を……。
「おはようございます、リーリア様……今日もお美しいです」
すぐにアルバートは顔を上げてニコリと笑ってくれたけれど。
なんか、すごいお世辞が付いてる挨拶なんだけれど。
「アルバートも素敵ですよ。学校の制服、とても似合っています」
褒められたからには褒め返す。
ああ、もちろん、アルバートがお世辞だとしても、私は本音。
本当によく似合っている。
……と、思って目いっぱい褒めたのに、なぜかアルバートはあまり嬉しそうな表情を見せない。
「制服……は食事の席に着てくるものではなかったですね……」
とつぶやいた。
あら?もしかして、夕食に引き続いて、楽な恰好で現れた私を見て、正装にも使える制服で来たことを失敗したと思ったの?
嫌味で制服が似合うって言ったわけじゃないよ、誤解だよっ。
本当にすごく似合っているんだものっ!
「いいえ、かまいませんよ。この後学校ですよね?しっかり準備することはいいことです」
慌てて言葉を続けてフォローしたんだけれど、浮かない顔のままだ。
★プチアルバートサイド★
……制服を僕はどうして着てきてしまったのだろう。
いくら、12歳差なんて大したことないと思っても……それでも、やっぱり、12歳の差は大きいような気が急にしてきた。
僕は、まだ学校の制服を身につけるような子供だと……嫌でも自覚させられる。
年の差は……埋めることができない。
努力でどうにもならないことだ……。




