アルバート君のお部屋2
まぁ、友人の一人は、年齢が合う男子がいなかったとはいえ、12歳も上の姫と結婚か……かわいそうになぁとか言い出した時には、こいつとは一生理解し合えないと思ったな。15になってから婚姻という話だから、15のとき姫は27だし、悪くないかもなと言った友人とはうまくやっていけると思ったが、その後の発言が良くなかった。20歳になるころには32か……まぁ、そのころには世継ぎもできてれば、あとは適当に遊べばいいだろう……とか。こいつとも一生分かり合えないと思った。
まぁ、それはさておき、12歳差なんて大したことないのは間違いない。
よし。今は子供としか見られてないけれど、頑張るんだ。
そうして始まった、天使の話というのが……もしやの、領地運営の話だ。
う、ぐ、話をしたいと言いつつ、1日も早く僕に立派な領主になってほしくて勉強をさせようというのか。
っていうか、これ、天使の18歳の時の話だって言ってよね。
18歳で、そんな提案できちゃうの?そこまで見越した行動できちゃうの?
いやいや、聞けば聞くほど、僕、無理なんじゃない?……次期公爵回避、頑張ろう……。
思わず難しい顔をして話を聞いてしまったけれど、リーリア様は気にすることなく時々僕の目を見て微笑んでれるもんだから、絶望感に見舞われているというのに、笑みがこぼれる。
いつまでも話を聞いていたいなぁ。幸せ……と、思っていたら、リーリア様の様子がおかしい。
あれ?
ふらふらと揺らぐ頭。
がくんとそれががくんと落ちた。
「リーリア様!」
あわてて体を支える。
……えーっと。
「ね、眠った?」
熟女の寝顔……。これ、見放題なやつ?
と、にやける僕を許してほしい。
「お父様……」
リーリア様の口から洩れる言葉。
ああ、亡くなった先代公爵様の夢を見ているのか。
そういえば、僕に話してくれた話は、18歳のときの出来事で、先代公爵様も登場していた。
「お父様……生きて……」
少し嬉しそうに顔を緩めたかと思うと、すぐにリーリア様の目から大粒の涙が流れ落ちる。
「ああ、いや、お父様……私を……一人に、しないでっ」
ずぐんと胸の奥に衝撃が走る。
大人なのに、泣いてる……?
僕より、12も年上なのに……。
親を恋しがって……泣いてる?
子供みたいに……。




