アルバート君のお部屋1 アルバート視点
驚くことばかりで、心臓がいつまでもつかちょっと心配だ。
まさか、寝る前に、天使の二の腕を思い出しているところに、その天使が部屋を訪れるなんて!
しかも、使用人もつけずに、一人で!
その時の僕の気持ちが分かるか?
まさか、もしや、いや、そんな、困る……わけはない、ウエルカムウエルカムってか、ちょっと困る、心の準備が、落ち着かないと、ああ、でも落ち着ける自信はない。
据え膳、据え膳、据え膳……。
頭の中ではいくつものシミュレーションが駆け巡り、みっともない姿を見せてしまって、天使に慰められるものまである。
ああ、いや、それはそれでごちそう様なんだけれど、いや、心の準備!
ここに座ってと、落ち着いた様子で僕を天国へといざないに来たマイスイート熟女天使がベットをぽんぽんとしている。
(天の声*天国違いや……)
そうして、その麗しい、化粧を落としてもなお美しい口元でささやくのだ。
少し深みを増しつつあるほうれい線が何とも美しい。まだまだ浅いけれど、将来ここにすっと筋が刻まれますよという場所が現れ始めている。
なんて、素敵な!口角が上がった口元。生き方が現れている。きっと常に明るく笑って過ごしてきたのだろう。
まぁ、僕も口角は上がっているんだけれど、性癖……というか、クラスメイトの女性たちへの嫌悪感を隠すための愛想笑いが身に付いているだけどね。流石に、蕁麻疹が出る、近寄るなと怒鳴り散らすわけにもいかなくて。
そんなマイスイート熟女が「話をしに来た」と……。
ふ、ふふ。
この時の僕の気持ちはわかるだろうか。
そうだよね、そう。普通は養子にしようと連れてきた10以上も年が下の男に対して、よこしまな感情を持つわけないよね。
それ目的で連れてくるようなそんな女性であるはずがないのに……。
分かってるんだ。とてもできた女性だということは……使用人たちのリーリア様への献身的な様子を見ても。立派な女性だということは……。
残念だけれど、仕方がない。2年の間に、僕と結婚することに同意してもらうんだ。
12歳の年の差が何だ。世の中には、20も30も、それこそ50も離れた婚姻なんて腐るほどある!……まぁ、たいていは、年上なのは男の方だが……。でも、なんか17歳の他国の王女が国のために5歳の別の国の王子と婚約しただとかそんなうらやましい話も聞いたことがある。ちょうど12歳差。そう、国が違えば、国を挙げて12歳年上の女性と婚約を結ばせるんだ。そう、僕たちの年齢差は国公認といっても過言ではない!(読者の声*「 」ご自由に突っ込んでください)




