お部屋に
「マイs……リーリア様、いえ、まだ、起きていますっ」
随分慌てた声が帰ってきた。
あれ?これ、もしかして、寝ようとして横になったところ、慌てて起き上がった系?
ノックをしてすぐに返事がない時点で察しろ、私……。
ごめん、アルバート……。お義母さんまだ、知らないこといっぱいで。そういえば、子供は寝るのが早いとかなんとかハンナは言ってなかったかしら?
言ってたような気がするわ。
「ごめんなさい、もう、寝るところを邪魔してしまったようね……おやすみn」
今度からはもっと早くにおやすみの挨拶をした方がよさそう。ああ、アルバートから寝る前にあいさつをしてもらうようにしようかしら?どっちがいいかな。
ああ、でも、ほっておくといつまでも寝ないというような話も聞いた気が。
そういえば、よくハンナに「お嬢様、もう寝る時間です」と、本を取り上げられた記憶が……。
子供のころ……ではなく、今も!
そう、今も!
……わ、私、ちゃんとするわよ!夜更かしだめ。自分じゃなくて、子供は寝るのも仕事。覚えた。
子供のためならなんだってできちゃいそうな気がする!自分のことは全然でも……。ああ、すごいわ!ハンナ!親ってすごいわね!
「待って、リーリア様、あの、まさか、リーリア様が部屋に尋ねてくるなんて、その」
勢いよくドアが内側に開いた。
シャツの胸元のボタンが2つほど外されている。まだ寝間着ではないので、起きていたというのは嘘じゃないんだよね。
よかった。起こしちゃったわけでなく。
「ごめんなさい、あの、家族になるんだし、お父様とも使用人を連れずに会っていたので……」
セバスや侍女たちがノックをして私が来たことを伝えて許可をもらってから侍女がドアを開け私が入るみたいな、そういうの想像してたんだろうか。
「家族……に、使用人なしで二人きり……」
アルバートがもごもごとつぶやいている。
あれ?もしかして子爵家では家族だけで顔を合わせるようなことなかったのかしら?
って、違うわ!
セバスに性急にことをすすめようとしてはダメだって言われてたもの!
ちょっといきなり距離を詰めようとしすぎて驚かれているというより……引いてる?
「驚かせてしまったわね、えっと、あの、セバスを」
呼んでくるわと言おうとして、手首をつかまれた。
「必要ありませんっ」
そして、そのまま引き寄せられ、部屋の中に足が一歩二歩と入る。
私が部屋に入ってしまうと、アルバートは急いでドアを閉めた。
「えーっと」
びっくりして思わず言葉を失う。
ぐふ。続く……




