第三の「に」
「あ、あの、僕、何か失礼を?」
あんまり私がジーっと見ていたので、アルバートがおずおずと尋ねてきた。
「いえ、その」
心の中でうちの子自慢を少し……とも言えないので。
「美味しそうに食べているのを見て、肉料理を用意してよかったなぁと……」
アルバートが私の言葉ににこりと笑う。
「僕のためにありがとうございます。本当に美味しいです」
キラキラっとした笑顔を向けられる。か、か、可愛いんじゃない?なんか作り笑顔ばかりの貴族社会に生きていると、本当に笑っているかどうかなんてすぐに見破れるものよ。
領地で出会った人たちの領民たちの笑顔は本物だった。父もハンナもセバスも……。
そして、今、目の前にいるアルバートも、作り笑顔じゃなくて、本当の笑顔だわ。
これって、家族への第一歩じゃないかしら?それとも、アルバートは誰にでもこういう笑顔を向けるのかしら?
「アルバートの好きな食べ物、これから色々教えてね。毎日好きなものが食べられるわけではありませんが、週に1度は出してもらいましょう」
そうです。好き嫌いはママ許しませんよ?
「何が食べたい?
「僕が心から食べたいものは……目の前に……」
アルバートが恍惚ともいえる表情を見せる。
目の前にって、肉ですよね。そっか。本当に肉が大好きなんだ。
ハンナの言う通りだった!肉、大正解!
「あ、いえ、えっと、好物ですか、あ……よく友人にも驚かれるんですけど、人参とか」
……。
え?
に、に、に、に、……人参?
まさか、に、に、にって言ってたのって、この、肉の横に憎らしく置かれている人参を見て、好物の人参だ!と言いたかったとか?
人参が好物なんて言い出せなくてはっきり口にしなかっただけとか?
っていうか、私……。
週に1度は好きなものを出してもらいましょうって言っちゃったけど、月に1回じゃだめかしら?
だめ、かしら?
あ、そうだ。
「もっと、人参いかが?」
目の前にある鉄板の上にころんと載ってる人参をフォークで突き刺し、差しだしてみる。
セバスの目が怖い。
いや、苦手な人参食べたくないからじゃないよ?……ごめんなさい、嘘つきました。ごめんセバス……。
と、睨まれているのかと思ったら、はぁーっとため息を吐き出した。
あ、そうだ!お父様には、よく「リーリア食べるかい?」なんてケーキのイチゴとかもらったりしてたけど……。
普通は、自分の皿の品物を差し出すような真似しない……んだっけ?
いや、家族ならするよね?
でも、まだ息子じゃない。性急に関係を詰めよるのはダメだって、セバスは言ってた。言ってたの、忘れてた。
ご覧いただきありがとうございます。
いいぇぇーい。
第三の「に」登場です!
人参と、来たか!はい。そうです。
えーっと、うーんと、ブクマ評価感想ありがとうございます。励みになっております。
そうそう、全然どうでもいい話していい?
他の作品のアクセス解析と比較した結果……。
他の作品にくらべて、スマホからの閲覧がすごく多いです。
PCの倍くらいスマホ!
他はPCのが多いのに……。
ビックリした。時代が移り変わったというより、作品によって読む層が違い、層ごとに読む環境やらタイミングやら色々違うんだろうなぁと……。思ったのでした。
というわけで、引き続きこの作品はスマホ向けということで、……ごめん、スマホ向けだと、あとがきながいの迷惑だっけ。
……なるべく、どうでもいいことは書かないように気を付ける……。
では、今後ともよろしくお願いいたします!




