当然の結果だろうが!
不死王の城でアルバがゴーストに精神を削られていくのが心配でならなかった。
何度も何度も浄化して、少しでも負担を軽くしたかった。そのアルバが、不死王に憑依され、苛まれると知ったら……私、あんな風に冷静でいられた?
きっと無理だ。だって。
自問自答する私に、クルクル金髪まき毛が語気を荒げる。
「ほら! やっぱりアルバだったら君は見捨てなかったんだ! どうして、どうしてあんなヤツ」
ゴスッ! と鈍い音がした。
「あんなヤツで悪かったな」
クルクル金髪まき毛の頭に思いっきり拳骨を落とし、アルバが呆れたようにため息をつく。
「~~~~~~っ」
痛すぎて声が出ないらしい。頭をおさえたまま蹲って呻いているクルクル金髪まき毛を見下ろしたまま、アルバは「当然の結果だろうが!」と一喝した。
「顔を合わせりゃわざと傷つけるような嫌味ばっかり言ってりゃ、嫌われるに決まってるだろ、ガキが」
吐き捨てるように言われて、クルクル金髪まき毛の肩がビクンと揺れる。
そうだよね、クルクル金髪まき毛ったら超高位のお貴族様だもん、きっとこんな風に言われたことなんてなかったよね。
それにしてもアルバったらはっきり言うなぁ。少なくとも浄化の旅の間はもう少し丁寧だったと思うけど、何か吹っ切れたんだろうか。
「不死王にどんな幻見せられたか知らねえが、被害者ヅラするのは卑怯だろう。言っとくがそもそもの被害者は間違いなくキッカの方だからな」
アルバを見上げながらわなわなと身体を震わせているクルクル金髪まき毛に、アルバはさらに厳しい顔で言葉を繋ぐ。
「前触れもなく勝手にこの世界に召喚されて、一介の町娘がいきなり魔物と戦いながら旅しろって言われて、放り出される。故郷の日本に帰りたいって思うのがそんなに悪いか?」
「だ、だって世界を守るためには仕方ないじゃないか、僕だって子供の頃からそう言われて、色んな事我慢してきた!」
「それがお前たち貴族の言い分だよな。キッカのことなんか何ひとつ考えちゃいない。なのになんでキッカがお前の事を考えてやらなきゃいけないんだよ」
「……っ」
今度はクルクル金髪まき毛が言葉に詰まる番だった。少しは彼にも思い当たる部分があるんだろうか。
「この状況で助けて貰えるだけ感謝しろよ、甘えるのもいい加減にしろ」
自分のことのように怒ってくれるアルバに、胸の奥がじぃんとあったかくなる気がする。
目の前の背中がすごく大きく見えて、この世界に来て初めて「信頼していいんだ」って心の底から思った。思えてしまった。
でも。
守られっぱなしは信条に反するからね。
「ありがとう、アルバ。あとは自分で言うよ」
私はアルバの横に並び立つ。つられるように立ち上がったクルクル金髪まき毛に、しっかりと対峙した。
アルバのセリフと感想欄のリンク率に冷や汗出たんですが、もちろんそのままいく。




