表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】帰れない聖女は、絶対にあきらめない!  作者: 真弓りの


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/116

貴様……!

アルバ? どうして……!



「今は我慢しろ、封印を解くのが先だ。そのあとに浄化しても十分間に合う」


「まあその方が得策だろうな。グレンの性格からして、気に入りのオモチャは異様に大事にするからな。あの金髪にも傷ひとつつけるまい」



後ろから体を伝って聞こえるアルバの声に、今度はハクエンちゃんの声が加わった。


確かに二人の言うことはもっともかも知れないよ。


でも、でも……! あんなに恐怖に満ちた顔してるのに。



「ははははは! やっと体に入れた。抵抗するからちょっと時間かかっちゃったじゃないか。それにしても、なんと心地いい……やっぱり君は極上の器だ」



頭上から、上機嫌のクルクル金髪巻き毛の声が降ってくる。でもその内容は、もはや不死王のものとしか思えないもので。


高く持ち上げられていた彼の体はゆっくりと降りてくるけれど、表情は既に不自然で、見たこともないような笑みだった。


怖い。


ねえ、これ本当に大丈夫なの? 完全に乗っ取られたりしないの?


アルバに引っ張られるように階段をのぼりながら、私はクルクル金髪巻き毛と不死王が気になって仕方がなかった。



「ああ、最高の気分だ! ねえ賢者殿、さっさとあの方の封印を解いてよ。早く、早くこの素晴らしい体を見せてあげなくちゃ」


「あーはいはい、魔王ね。君の部屋の魔法陣を解放しないとねえ」


「早く! 早く! あの方と無理やり引き離されて、誰も来ないこの城に繋ぎ留められてさぁ、僕がどれだけ寂しかったか。……あの方ともう一度会えることだけを信じて、千年も待ったんだ。もう一秒たりとも待ちたくないよ」



不死王の言葉とともに、私の目の前で厳めしく重そうな扉が、驚くほどの勢いで開く。不死王の「待ちきれない」という気持ちに、まるで呼応するみたいに。



「分かった分かった、そこが君の部屋だね。さあ、封印を解こう」



賢者サマが苦笑する。その顔を見て、私もキリリと唇を引き結んだ。そうね、一刻も早く封印を解いて、そしてクルクル金髪巻き毛を解放すればいいんだもの。


今はそれに集中しよう。


私はアルバと頷きあって、共に不死王の部屋だという荘厳な部屋に足を踏み入れた。足元でハクエンちゃんのしっぽが揺れるのが頼もしい。



「僕らも行こう」



部屋に入る賢者サマの後ろから、満面の笑顔のクルクル金髪巻き毛……いや、不死王が、跳ねるようについてくる。



「待て!」



その、不死王の腕を第二王子がしっかりとつなぎとめた。



「貴様……何者だ! ロンドをどうした……!」


「バカなの? 今の話の流れで分かるでしょう、不死王グレン、って……聞いたことない? 美しき魔王の、忠実なる駒だよ」



凄絶な笑みを浮かべて、不死王は優雅に膝を折り、流れるような仕草で礼をした。



「君の駒はもらい受けた。ほら、もうこんなに彼の体に馴染んだよ、僕が存分に使ってあげる」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【8月1日発売 書籍化作品】

よろしければこちらからどうぞ(^-^)

『自称魔王にさらわれました ~聖属性の私がいないと勇者が病んじゃうって、それホントですか?』

たくさん加筆しましたし、山下ナナオ様によるイラスト・挿絵はもう垂涎モノでございます!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ