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大分珍道中②

大分の道は走りやすい。初めてこの街を運転した感想だ。


仕事柄、いろいろな街を車で走ってきた。まあ、駅前近くしか走っていないのと、相性もあるので一概には言えないが、ここ大分は、俺の中で運転のしやすい街ランキングの上位に入ってくる。逆に、運転のしにくい街の特徴としては、一方通行の多い街や新幹線が街の真ん中を貫いている街は、ちょっと運転がし辛い。例えば京都などは、ナビがあっても迷うし、豊橋なども少し苦手だったりする。


あとは相性。なぜか博多は迷う。大好きな街の一つだが、徒歩でも車でも迷う。皆は、あんなにわかりやすい街はないと言っているし、俺自身もよくできた街だとは思うが、でも迷う。博多駅に降り立つと、どっちがどっちだかわからなくなるのだ。博多阪急に行くのに迷うし、地下鉄はどこから降りればいいのかと、迷う。今ではある程度把握しているので迷うことは少なくなっているが、そうなるまでに、少し時間がかかった。ちなみに、博多阪急は、ミスタードーナツが目印だ。そこを、曲がればいいんだろう?


話を元に戻す。


特に渋滞に巻き込まれることなく、車はナビの指示通り訪問先に到着した。そこであいさつを交わし、新入社員の周防を紹介する。彼女は新人研修で習った通りの所作で名刺交換を行い、俺の隣で神妙に話を聞いていた。


約三十分の滞在で会議を終えた俺たちは次の訪問先に向かう。周防は助手席で無言のまま、ただ、車窓に移る景色を眺めていた。


少し落ち込んでいるのかしらん、と思った俺は、特に何も声をかけずに、そのままにしておく。


約十五分後、俺たちは訪問先に到着した。


「お……」


おい、降りるぞと声をかけようとしたとき、彼女の様子がおかしいことに気が付いた。


……寝ている。爆睡している。しかも、軽くいびきをかいている。


少し迷ったが、俺は彼女をそのままにして、取引先に向かった。


しばらくして出てくると、周防はまだ、眠っていた。よほど疲れていたのかは知らないが、ここまで眠れるのは逆に気持ちがいいくらいだな。そんなことを考えながら、俺は再び車を走らせた。


最後の訪問先に到着しても、周防は目覚めなかった。相変わらず、軽いいびきをかいて眠っている。俺は思わず天を仰いだ。


彼女が目覚めたのは、大分駅に向かう途中だった。まるで電気ショックを受けたかのように、彼女は体を震わせながら目を覚ました。そして、姿勢を正すと、スッと前を見据えた。まるで、私、寝ていませんといった雰囲気を醸し出している。


「課長」


「なんだ」


「いま、どこに向かっていますか?」


「大分駅だけれど」


「ちょっと待ってください。他の二社はどうするんですか?」


「お前さんが寝ている間に、行きましたよぉ~」


あきれたように口を開く俺に対し、彼女は顔を真っ赤にしながら、そっぽを向いた。





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