いざ、福岡へ
博多までの道中は全く問題はなかった。周防は伊丹発の航空券を手配していて少し不安がよぎったが、話を聞くと、新幹線よりも三千円以上も安い金額でチケットを取っていた。一体どこをどうしたものかと思っていると、彼女はドヤ顔で、往復で取ればチケット代が少し安くなるのですと言って胸を張った。
確かに、家からは新神戸駅が近いが、別に伊丹空港でも問題はない。時間もそんなに違わない。ここは、よくやったと褒めておく。
ちなみに、俺はいろいろな空港に行ったが、福岡空港はその中でもベスト三に入ると言ってもいいくらいに気に入っている。施設のきれいさは言うに及ばず、博多から地下鉄ですぐという立地の良さは抜群だし、なにより、おみやげ物売り場が充実している。あそこには、鹿児島の銘菓「かすたどん」が置いているのだ。
俺はこのお菓子が大好きだ。マジで、お取り寄せするくらいに好きだ。フワフワのカステラ記事の中にカスタードクリームが入ったお菓子だが、これがマジで美味いのだ。嘘だと思うなら、食べてみるといい。
それだけではない。福岡空港にはラーメンをはじめ、本当にいろいろなものが売っている。一日居ても飽きない。まあ、混んではいるが、ラーメン横丁もあるしね。
そんなお気に入りの空港が往復で利用できるのだ。俺のテンションは上りに上がっていた。
さすがに到着してすぐにおみやげ物とはいかず、そのまま地下鉄に乗って会場に向かう。会自体はとても和やかなもので、立食形式で供された食事も、とても満足のいくものだった。その後、数社のあいさつ回りを経て、夜は、お世話になっているアニキとの会食だ。周防はあまり乗り気ではなかったが、夕食代をケチろうと、渋々ながらについてきた。
妙に鼻っ柱だけが強い若い女子は、やはりおじさんたちの格好の的になっていた。彼女もうまく聞き流したり、上手に躱したりすればいいのだが、そんな器用さは持ち合わせておらず、ほぼ、セクハラに近い質問にも、ムキになって答えていた。曰く、男の子と手すらつないだこともないし、一生男を知らないで生きていく覚悟なのだと声高らかに宣言していた。ちなみに、シラフの状態である。
そんな彼女のぶっちゃけ話を横目で見ながら、俺は博多の料理に舌鼓を打っていた。そして、アニキたちのお酌をして回り、バカ話をしながら、一応仕事の話もしておいたのだった。
大満足でホテルに帰る。早速風呂に入り、ドライヤーで髪の毛を乾かしながら寝る準備をする。そのとき、俺の携帯が鳴った。誰かと思ってみると、何と周防からだった。なんだよ、と電話に出ると、彼女は妙に神妙な声で口を開いた。
「課長、今から、お部屋に伺って、よろしいでしょうか……」




