大丈夫だろ?
郡山訪問は、予想以上の成果だった。部長は言うに及ばず、我が神戸支社は何とかその面目を保つことができた。周防に関しては、特に褒められることもなく、いつもと同じ対応だった。それはそうだろう。アポが取れたのは父上のおかげだ。客先と交渉したのは俺で、彼女は特に何もしていない。あ、めちゃくちゃウンコはしていたが。
まさかの弁当二人前を平らげるというのも、隣で見ていて面白くはあったが、社の利益に貢献したというわけではないので、大きく評価されることはない。
ただ、彼女はそれで自信をつけていた。まあ、悪い話ではないと思うのだが、根拠のない自信は得てして大きな失敗を呼び込む。それは、彼女の教育係である小春主任も感じていたようで、このところ、主任のチェックが少し厳しめになっている。
そんな中、福岡でお世話になっている企業がこの度、創業百周年を迎えることになり、記念のイベントを開催するのだという。その案内状が送られてきたが、部長はあいにくその日は出張であり、本社の社長も予定があっていくことができず、結果的にそこには俺が行くことになった。
どうせ福岡に行くのだから、式典に出るのだから、博多の取引企業を回ってこい、ついでに、新規の客も開拓して来いと言われるのは当たり前の話で、俺はスケジュールの調整にかかった。式典は木曜日なので、前日の水曜日と翌日の金曜日に博多を回ることにする。式典が終われば、そのまま直帰しても構わないということで、俺は心を浮き立たせていた。式が終わるのは十五時で、飛行機に乗って帰ると、いい感じに家に着くことができる計算だ。しかも、そこからは三連休なのだ。
準備をしている中、部長から呼び出される。彼曰く、周防も連れて行けという。なんでですかと聞く俺に、彼女は意外に博多のオジさまたちに人気があるので、連れて行って損はないだろうということだった。まあ、業務命令なので仕方がない。周防に宿と航空機の手配を指示する。彼女は自信満々で、わかりましたと言っている。しばらくすると、小春主任が俺の許にやってきた。
「……周防、私のチェックはいらないと言っていますけれど、どうしましょうか」
「またそんなことを言っているのか。まあ、でも、博多は以前に予約を取ったことがあるから、よもや、間違うことはないんじゃないの?」
「だったらいいのですけれど」
小春さんはそう言って不安そうな表情を浮かべた。その様子に俺は一抹の不安を覚えた……。




