煌めき屋の魔女
どんな大きな蝋燭よりも燃え続けて、真っ暗で怖い闇の中でも、キラキラ輝く夢と希望を見せてくれるランプが欲しいですって?
それなら〈煌めき屋〉へお行きなさい。
世界の端と端が結ばれ海と海が出会うところ、そこに〈煌めき屋〉はあります。
そこでは、ランプの魔女のリュスラーナが、毎日まいにち、ランプを作っています。
海ぼたるの住むランプ、花咲き香るランプ、それから宝石の踊るランプ。
それから、それから!
魔女のランプに普通のランプは一つもないのですよ!
ここだけの秘密、リュスラーナのランプには精霊の吐息が込められているのです。
だからランプは、冬の間じゅう、わたしたちの心を暖め続けてくれるのです。
あなたたちは、春になればいつも、雪の隙間からスノードロップが頭を出すのを知っていますね。
ランプの炎はそれまでずうっと消えたりしません。
春風がすっかり雪をさらってしまったあとに、炎をそっと吹き消してゆきます。
でも、決して消えたランプを捨てたりしないで。
また〈煌めき屋〉に精霊の吐息をもらいに行けば、もうひと冬越すことができますから。
さあ、冬になる前に。雪が道を閉ざす前に。夢を忘れずに。
〈煌めき屋〉に行かなくては。
だってこれこそが、常闇の国ミュルクルの冬支度なのですから!
L.ヴィータサロ『魔法のかかったランプ』より




