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第3話 実力テストとランキング

 夏休み明け。実力テストが行われていた。


 時計の秒針がコツ、コツ、うるさい。


 北高を志望する受験生は、年々減っていた。なんとか受験生を集めるため、北高は"進学校化"を目指している。


 北高の手厚い奨学金制度は、そのためだ。


 七海ななみも、この奨学金が目当てで北高を受験した。


 北高のテストは、特待生のレベルに合わせてある。そのため、特待生ではない一般の生徒にとっては難しすぎる。


 結果として、一般組の多くが赤点になる。そして、補習。ただし補習を受ければ、単位はもらえる。


 七海のすぐ後ろの席で、御影(みかげ)がペンを走らせていた。


 答案用紙を、後ろから前の席に送るとき。


 普通は、裏面を上にして前の生徒に渡す。御影も、そうしていた。


 裏面は、白紙のはず。しかし、御影の生物の答案だけは異様だった。裏面までびっしりと、小さな文字で埋め尽くされていたのだ。



 実力テストから1週間後、結果が出た。


 成績上位者の一覧は、昇降口にある掲示板に貼られる。


 学年別、総合上位20名の名前が並ぶ。その横に、教科ごとの上位3名の名前も張り出されていた。


 七海の名前は、総合4位にあった。奨学金の条件は"学年上位"である。


——まだ、北高(ここ)にいられる


夢咲「さすがだね、七海!」


美月「いつも、勉強、頑張ってるもんね」


 七海は総合順位から、教科別のランキングに視線を移した。


 英語 1位 御影 蓮 98点

    2位 藤咲 七海 78点

    3位 赤山 鈴鹿 77点


 数学 1位 御影 蓮 94点

    2位 佐藤 隆弘 72点

    3位 井上 あかり 71点


 理科 1位 御影 蓮 100点(生物)

    2位 高松 明日香 70点(化学)

    3位 藤咲 七海 68点(化学)


 御影の名前が3つ、教科別の1位に並んでいた。得点は、どれもほぼ100点だ。2位、3位との差も目立つ。


生徒A「あの、背の高いやつだよね?」

生徒B「白嶺(しらみね)からの転校生?」

生徒C「髪が長くて、キモい感じの子?」


 だが総合順位には、御影の名前がない。


生徒A「え、御影ってやつ、総合にいない?」

生徒C「英数理、ぜんぶ1位なのに?」

生徒B「他、やらかした? っていうか、白紙で出してない?」


 総合順位は、全教科の合計で決められる。つまり御影、国語と社会は、ほぼ0点でないと計算が合わない。


夢咲「転校生、やっぱり変なやつだな……」


 教室に戻る途中、七海は、ペンケースから小さな付箋(ふせん)を出した。『以前、どこかでお会いしましたか?』と書いた、あの付箋。



 放課後。教室は西日に染まる。


 窓の外に、渡り廊下を歩く影がみえた。御影が、図書室に向かうところだった。


 御影が手にしていたのは、分厚い、英語の科学誌。「こんなの、誰が読めるの?」と、みんなで笑った"あの本"を持っている。


生徒D「御影くん、総合には名前なかったよ」

生徒E「でも3教科1位って、やっば」

生徒F「キモけど、気になるよね」


 けれど、まだ誰も御影に話しかけない。話しかけにくい雰囲気を超えて、強烈な異物感があったから。


——ほんとうは、どんな人なのかな



第3話まで、こうしてお読みいただけたこと、本当にありがたいです。嬉しいです。


少しでも、読めるところがあったなら、是非ともリアクションや☆評価をお願いしたいです。執筆の励みになると同時に、明日もまた頑張っていこうという気持ちになります。


さて。


まだ、論文を介した対話に至っておりません。技巧的には、早めに論文を出すべきなのでしょう。しかし、まずは人物像をしっかりと固めたかったのです。1本目の論文が登場するまで、もう少しだけ、お付き合いいただけたら幸いです。


引き続き、よろしくお願い致します。

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― 新着の感想 ―
学生時代に国語の時間に扱った教科書の内容みたいで懐かしさを覚えました。 雰囲気がとてもよく似ていて、なんとも言えない恋心に気づけていない感じが堪りません!
御影蓮君のミステリアスさに、興味を引かれますね! 藤咲七海さんの、苦労をしていながらも頑張っている姿にも、グッと来るものがあります。 応援の意味を込めて、ブックマークと星5を付けさせていただきました!…
まだ途中ですが、書かせていただきます。 すごく文学的で、情景模写が綺麗ですね‼︎ 謎多き高校生との恋愛模様…気になります。読了後また書かせていただきます。
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