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第2話 北川高校と七海

 北高の校則は、かなりゆるい。


 "底辺高"と言われることもある。しかし、生徒によるトラブルは少ない。


 北高の生徒は、地域のボランティアによく参加する。このため、周辺の住民からは"良い高校"だと認識されていた。


 そんな北高、1年B組には、目立つギャルが3人がいる。


 楢崎 夢咲(ならさき ゆめか)矢入 美月(やいり みつき)藤咲 七海(ふじさき ななみ)


 夢咲は元気で、前に出るタイプ。美月は、よく気づくタイプ。七海は、そのふたりに守られているようでいて、一番、芯の強いタイプだ。


 入学直後は、高校デビューに(あせ)る生徒が多い。このクラスでも、1学期には色々あった。


 しかし、いまとなっては、この仲良しギャル3人組が、クラスの中心である。


美月「七海、またナンパされてたでしょ?」


七海「うん……本当に困る……」


夢咲「あんた、もっと声かけずらい雰囲気だしなよ。周りを威嚇(いかく)する勢いでさ」


七海「頑張ってるんだけどな……」


美月「『話しかけんなよ!』って、ツンとした空気つくるのよ」


 七海は、夢咲と美月から、ずっと、そんなことを言われていた。


 そこで七海は、夏休みにギャルになってみた。


 髪を染めた。カーラーを巻いてクルクルにした。化粧品をもらって使ってみた。お下がりのアクセも、つけてみた。


 それでも七海は、みた目と中身がまったく異なることを隠せない。


 結局、化粧をする時間もなく、すっぴん。髪もストレートに戻っていた。


美月「七海、なんかギャルじゃないね……」


夢咲「上品なギャル……むしろ、ギャップ萌えするわ」



 七海は、安アパートの2階に暮らしている。バス代を節約するため、毎日40分、徒歩で通学する。スマホも持っていない。


 父親の闘病生活で、借金を抱えていたから。節約しなければ、とても生活できなかった。


 毎朝、自分と妹の分の弁当を作る。放課後は、妹を保育園まで迎えに行く。母は看護師で、夜勤が多く家にいない。


 ギリギリの状態で暮らす、3人家族である。


 七海は、魅力的にすぎる外見をしている。そのため常に男性の好意を集め、こわい思いをたくさんしてきた。


 それが原因で、七海は男性を病的に恐れるようになっていた。


 周りの女子からはやっかまれ、悪いうわさを流されることも多い。女子に校舎裏に呼び出され、嫌なことを言われたことも数知れない。


 そういう経験が、七海の心身に積み上がっている。


男子A「七海ちゃーん、放課後、一緒にカラオケ行こうよー」


男子B「おごるからさー」


七海「む、むり……です」


夢咲「あんたらじゃ、釣り合わないだろ! 鏡、みてこいや!」


 七海を狙う男性を、夢咲(ゆめか)美月(みつき)がブロックする。そんな北高での日々は、安定したルーティンに入り始めていた。


 そこに白嶺しらみねからの転校生がやってきた。


 白嶺は毎年、東大や医大に多数の合格者を出す。そこの生徒が"底辺校"に転校してきたのである。


 珍しい。というか、おかしい。


 止まっていた振り子が、小さくふるえはじめた。



お忙しい中、第2話までお読みいただけたこと、本当に嬉しいです。


少しでも、読めるところがあったなら、是非ともリアクションや☆評価をお願いしたいです。執筆の励みになると同時に、明日もまた頑張っていこうという気持ちになります。


さて。


北川高校は、ボランティアにも力を入れています。その背景と意義は、ずっと後のエピソードで開示されます。とりあえず、ここでは、教育投資としてのボランティアの効果は大きい、とだけお伝えさせてください。詳しくは、後ほど。


引き続き、よろしくお願い致します。

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― 新着の感想 ―
拝読いたしました! 七海の抱える事情や過去が丁寧に描かれていて共感できるし、夢咲や美月との関係も微笑ましい。転校生(御影)の登場で、物語がどう動くのかワクワクする序盤でした。 続きも少しずつ読ませてい…
エリート校からの転校生。 王道的な展開ですが、こういう王道は大好きです。 七海は外見とは違い、臆病なキャラっぽいですが、 ここから彼女がどう変わるか、楽しみです。 面白かったので、ブクマさせて頂きまし…
冒頭の「研究成果」のような語り口から始まり、そこから一気に青春小説へと転じるユニークな仕掛けに引き込まれました。七海の清廉さと脆さ、生活背景まで丁寧に描かれていて、「ただの学園恋愛もの」ではなく人物に…
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