第2話 北川高校と七海
北高の校則は、かなりゆるい。
"底辺高"と言われることもある。しかし、生徒によるトラブルは少ない。
北高の生徒は、地域のボランティアによく参加する。このため、周辺の住民からは"良い高校"だと認識されていた。
そんな北高、1年B組には、目立つギャルが3人がいる。
楢崎 夢咲、矢入 美月、藤咲 七海。
夢咲は元気で、前に出るタイプ。美月は、よく気づくタイプ。七海は、そのふたりに守られているようでいて、一番、芯の強いタイプだ。
入学直後は、高校デビューに焦る生徒が多い。このクラスでも、1学期には色々あった。
しかし、いまとなっては、この仲良しギャル3人組が、クラスの中心である。
美月「七海、またナンパされてたでしょ?」
七海「うん……本当に困る……」
夢咲「あんた、もっと声かけずらい雰囲気だしなよ。周りを威嚇する勢いでさ」
七海「頑張ってるんだけどな……」
美月「『話しかけんなよ!』って、ツンとした空気つくるのよ」
七海は、夢咲と美月から、ずっと、そんなことを言われていた。
そこで七海は、夏休みにギャルになってみた。
髪を染めた。カーラーを巻いてクルクルにした。化粧品をもらって使ってみた。お下がりのアクセも、つけてみた。
それでも七海は、みた目と中身がまったく異なることを隠せない。
結局、化粧をする時間もなく、すっぴん。髪もストレートに戻っていた。
美月「七海、なんかギャルじゃないね……」
夢咲「上品なギャル……むしろ、ギャップ萌えするわ」
◇
七海は、安アパートの2階に暮らしている。バス代を節約するため、毎日40分、徒歩で通学する。スマホも持っていない。
父親の闘病生活で、借金を抱えていたから。節約しなければ、とても生活できなかった。
毎朝、自分と妹の分の弁当を作る。放課後は、妹を保育園まで迎えに行く。母は看護師で、夜勤が多く家にいない。
ギリギリの状態で暮らす、3人家族である。
七海は、魅力的にすぎる外見をしている。そのため常に男性の好意を集め、こわい思いをたくさんしてきた。
それが原因で、七海は男性を病的に恐れるようになっていた。
周りの女子からはやっかまれ、悪いうわさを流されることも多い。女子に校舎裏に呼び出され、嫌なことを言われたことも数知れない。
そういう経験が、七海の心身に積み上がっている。
男子A「七海ちゃーん、放課後、一緒にカラオケ行こうよー」
男子B「おごるからさー」
七海「む、むり……です」
夢咲「あんたらじゃ、釣り合わないだろ! 鏡、みてこいや!」
七海を狙う男性を、夢咲と美月がブロックする。そんな北高での日々は、安定したルーティンに入り始めていた。
そこに白嶺からの転校生がやってきた。
白嶺は毎年、東大や医大に多数の合格者を出す。そこの生徒が"底辺校"に転校してきたのである。
珍しい。というか、おかしい。
止まっていた振り子が、小さくふるえはじめた。
お忙しい中、第2話までお読みいただけたこと、本当に嬉しいです。
少しでも、読めるところがあったなら、是非ともリアクションや☆評価をお願いしたいです。執筆の励みになると同時に、明日もまた頑張っていこうという気持ちになります。
さて。
北川高校は、ボランティアにも力を入れています。その背景と意義は、ずっと後のエピソードで開示されます。とりあえず、ここでは、教育投資としてのボランティアの効果は大きい、とだけお伝えさせてください。詳しくは、後ほど。
引き続き、よろしくお願い致します。




