リビングデッド(続)
「んん〜っ!」
今度はマイムが攻められる番である。紫ツインテの少女は着物美女の攻めに抵抗する素振りさえない。顎をクイとされてするそれはどこか色気を感じさせるもので、アイシャと交わしたものとは違う感覚を与える。
「んんっ⁉︎」
そしてそれは甘美な刺激を間断なく与えてくれる。その口内だけで。美女の細く長い指がマイムの汗まみれよだれまみれの身体を優しく撫でていく。それだけでマイムは新しい境地に辿り着くかのようである。
ふたつの果実を優しく撫でて足の指から這い上がる美女の手がその付け根にたどり着いたとき、マイムは初めて他人をその中に受け入れてしまった。
「わぁお」
はたで見ているアイシャは両手で顔を覆ってはいるものの、指の隙間からバッチリと見ている。
「なに、何これっ、この人っ! アイシャちゃんなのっ? なんだか、アイシャちゃんじゃないのにアイシャちゃんを感じちゃうのっ! 何で、これも魔術なのっ⁉︎」
マイムが言いたいことは分かるアイシャだけど、その子を止めるとアイシャも困ったことになりそうで、いっそここらでしっかりと発散してもらおうとマイムを生贄にすることにして傍観者に徹する。
マイムの果実が吸われていく。未熟な脚はしかし肉付きもよく、美女の撫でまわす指が、舌がマイムの1人では得られない物を与えていく。マイムの中を探険する指がお子様なアイシャとでは得られない経験値を積み上げて脳内のレベルアップの音が鳴り止まない(そんなものはないが)。
「あわわ、何てこと、なんてことなのぉ」
ルミもワクワクドキドキしながらもその美女にまだ気持ちの整理がつかずにいる。このまま見ておきたい気もするけれど止めるべきなのか、はたまた一緒に愉しむべきなのか。
アホの子親子は考えた末に結局は見守る事にした。
「うわっ、見てルミちゃん。ああああんな事になるのっ⁉︎」
「私も知らないよっ、でもあんなにピーンッて──」
「震えてるっ、マイムちゃんが震えてるよぉっ」
「ちょ、なんであんなに凄いの⁉︎ あれも妄想の賜物なのっ?」
アイシャとルミは目の前で繰り広げられる痴態にキャーキャーとはしゃいでいる。仲良しのマイムがとんでもない目にあっているのにどちらも助けようともしないのは別に薄情だからではない。
「ひっ、ひぃぃ、やめっ、やめってってってぇっ!」
暴走した美女の攻めに何度目の陥落を許したか。マイムはとうとう空に虹をかけて果てることを覚えてしまい、プラネタリウムの外ではその水の壁がいっそう厚みと激しさを増して盤石のものとなっている。
美女もその結果に「いい仕事したわぁ」と言わんばかりの爽やかな笑顔で汗をぬぐい──その濡れた指をペロリと舐めた。
「はあっ、はぁ……アイシャちゃん、あたし……すんごいの経験しちゃった……血とか出てない?」
「だ、大丈夫だよ。なんだか地面までびしょ濡れだけど赤色はどこにもない」
「そ、そう……なら“良かった”」
未だに太ももあたりが痙攣しているマイムのなんだか色んな意味の含まれた様な想いのこもった感想に美女は改めて「うんうん」と頷いている。
「──で、満足した?」
アイシャはやっとのことで美女に向き直り、その名を呼ぶ。
「皐月ちゃん」
皐月ちゃんと呼ばれた、かつてルミだったその美女は今になって少しだけ照れて
「すっごかった」
アイシャのストレージから死体を借りてまでしたかった憧れの体験は皐月の果てしない妄想の一部を実行出来たことでいくらかの満足感をもたらしたようだ。




