受け、攻め。──やがて湧き上がる
「水で濡れてれば、か。それでいいと思うよぉー」
アイシャの発案にルミの賛成の一票が投じられる。
「そんなの、だめ」
意外でも何でもなく、術者からNOが突きつけられる。
「……一応理由を聞いてみてもいい?」
アイシャとて想定していたことだし、なんなら続きをしたいけれど、そんな時に大義名分が欲しいと思うのは人間のサガ。
「魔力で作った水には既に術者の魔力が浸透しているからそれを媒介にしての伝達は効率が悪い」
「なるほどっ!(案外まともだった!)」
アイシャは心の中でガッツポーズを決める。
「媒介にするなら体液が1番」
(まともじゃないっ⁉︎)
明らかに行き過ぎている気がしてアイシャは戸惑う。
「だから……唾液は最高」
「ん……むう。そういうことならっ!」
「あんっ、あっ……」
アイシャの特技のひとつにプールでマケリを驚かせたテクがある。それが今マイムの胸部に対して激しい責めを与えている。
「これでならっ! どうよっ」
もはや他人の目もないここでマイムのシャツはボタン1つかかっていない。柔らかなお山がふたつ露わになって小さな塔が天を衝くように隆起している。
「アイシャちゃんっ、すごいのっ!」
既に2人は立ってすらなく、珍しくアイシャがマイムを押し倒している。
「たまには私が!」
その先は言葉にしなかったが、要はいつもやられっぱなしなのでお返しということらしい。
「んんっ、ん〜っ!」
こちらも言葉にならないが身体でしっかりと表している。
「確かに繋がって魔力が移動している気がする。吸っているのは私なのに吸われている気がする」
マイムがアイシャに魔力を伝えた時、アイシャは痺れる感じを得たのだが、今はそれが殆どなく痺れている風なのはマイムの方である。
(それって魔力うんぬんなのかな)
ルミは楽しく観覧しているが、そんな疑問は口にしない。した途端にアイシャが醒めては元も子もない。
「アイシャちゃん、もっと……もっと。でないと、維持出来ないっ」
見れば水の壁が少し薄くなって外の様子が少し透けてきたようにも見える。
「あわわ、こ、こうかなっ⁉︎」
「ひゃんっ!」
アイシャは見られたら困るために、見られたら困る行為をするという矛盾を感じながら先ほどとは反対の方を口で、もう片方を手でなぞり首筋も鎖骨も脇までも丁寧に体液で濡らして手で伝える。
「アイシャちゃんっ……はぁ、はぁ……もっと深く、繋がりたい」
「私にその様なものは付いてないですよっ⁉︎」
マイムの要望にはさすがに応えられないのではないかとアイシャは焦る。
「んん? 何を言ってるのかな、アイシャちゃんは」
「ちょ、からかわないで──むぐっ⁉︎」
大いにテンパるアイシャの口をマイムが塞ぐ。何も深く繋がるのは口でも同じである。
「んんっ! ん〜っ」
今回は勝ったかと思っていたところにマイムの強烈なディープキス。絡み合う舌は体液vs体液でおおよそ伝達率というところでは最効率なのだろう。
「んんっ⁉︎ んっ!」
これまで一方通行だった流れがお互いの口内で双方向に変わり、アイシャも例の痺れを感じてしまう。
「はあっ、はーっ──んぐっ!」
少し離してお互いの匂いまでも確かめて閉じかけた唇はまたしてもマイムに奪われる。マケリを驚嘆させたテクも元はマイムから伝授されたものに過ぎない。本家にはまだまだ敵わないとアイシャは蕩けていく。
2人の濃厚な絡みはマイムの魔術を存分に継続させて、その分お楽しみに割く時間は無限に延長していく。
「あれ? いつのまに──」
そんな2人の絡みを三角座りして股の間に手を差し込んで鼻息荒く見ていた性霊ルミだけが、その変化に気づいた。
「これって“プラネタリウム”? いつのまに発動──はしていないよね?」
アイシャはそれどころじゃないほどに蕩けきっていてもはやこれが魔術のために必要なのか分からない有り様である。
「ぷはっ! マイムちゃんストップ、ストップ! 何かこう変なのがっ、来るの! 奥の方から──んんっ!」
アイシャの訴えには構わず容赦なくマイムが襲い続ける。
「んふふ、それはねぇ、とっても素敵な波」
マイムはやっとこの大好きな女の子にも同じ感覚を覚えさせられると、むしろその攻めをヒートアップさせる。
(んっーっ、来るっ! 来ちゃうぅ─!)
そしてその時は訪れる。こんな壁一枚隔てただけの屋外で──
はじめての、感覚。




