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異世界で女の子に転生した彼の適性はお昼寝士 新しい人生こそはお気楽に生きていくことにするよ  作者: たまぞう


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その者、イタズラ好きにつき

「アイシャちゃん。私ね今なら何でも出来そうな気がするの」

(剣士としての成長に悩んでたと思ったら別な方で突き抜けてしまったのね、この幼馴染は)


 いよいよ引き返せなくなったと感じたアイシャであるが、元からだよなとフレッチャとカチュワは属性のことは置いておいてサヤのパワフルさに感心している。


「どうやったらあんな事が出来るのか」


 空を見上げて先ほどの男子ズを思い出しながら口にするフレッチャ。


「カチュワなんてサヤちゃんを追いかけるのに前も見えなかったのです」


 振り返れば砂浜には真っ直ぐに抉れたあとがあり、今も多くの子どもたちが身体についた砂を払っている。


「愛のちからよっ!」

「技能ね」


 アイシャに抱かれたままドヤるサヤ。


(けどさすがにそんな訳の分からないものがあるのかな)


 サヤの瞳には“訳の分からない筆頭であるお昼寝士”が映っているがアイシャは自分のことは除外する。


 今度はそんな“ララバイ”の3人に守られるアイシャ。浅瀬に突っ込んだ男子ズがなんとか戦線に復帰したものの、アイシャの元に戻れるわけもなくそっと横にはけていった。


 そこからのサヤは……普通だった。


「きゃっ⁉︎ あー、棒が折れちゃったよぉ」


 ルッツたちのように落ちていた棒で魚をバシバシしていたのも側から見てると異様な光景ではあるが、そんな事をしていたら折れるのも当たり前なわけで。


「サヤっ、石を投げるといいよ」


 フレッチャの助言に手頃な石を手に投げれば遠巻きに見守っていたハルバに当たる。


「“投擲術”でも取れたらとった方がいいんだが」

「スキルポイントは使い切っちゃってるから……」


 オールEボーナスステージをクリアしたルッツたちと違いサヤたちはそれほどには獲得できていない。というか剣術のツリーにすでに費やしている。


「さっきのサヤちゃんはなんだったのです?」


 カチュワも今のサヤからあの爆走は連想できない。


「何でかな。今はなにも発動しないの」

「もしかして百合っ子属性じゃなくなったの?」

「ん? アイシャちゃんの言ってる意味は分からないけど、技能はまだちゃんとあるもの」


 だとすると“百合魂”の技能は何なのか。アイシャにもいよいよ分からない。


 そうこうしているうちに戦線は波打ち際までに到達して出てくる魔物もほとんど見えなくなった。


「ふむ。今年は嬢ちゃんのところはよく分からんかったが、全体的にいい動きだったんだな。例年よりも早いのではないか?」

「途中から一気に押し返したものね」

「……」


 ドロフォノスだけは少し意見が違う。アイシャのいる辺りを中心にほどほどに間引かれていった魔物たち。


(何をしていたのかしら)


 ただ、疑問に思っても探りに行くなんていう危険は冒せなかった。




「おー、浜辺の方はだいぶ片付いたみたいだな」

「んだ。じゃあ終わりにちろっと動かしてシメるべ」


 沖で魔道具を作動させて様子見をしていた漁業ギルドの職員たちは浜辺で狩りをしていた連中が手すきになったのを見計らい、いつものように締めのひと鳴らしで主だった魚介類の魔物の掃討が完了してるのを確認して浜に戻る段取りだ。


「え? もう終わりなの?」


 そんな職員たちの会話に不満そうなのはベイルの頼みでアイシャから離れて暇つぶしとばかりに海を飛び、この船から眺めていたルミだ。


「ああ、最後に魔道具を軽めに作動して何も出てこなければ、この一帯は魔除けのブイを浮かせて対応完了だよ」

「ふーん。そうなのね」

「んじゃらば精霊さんも試しにやってみっぺ?」

「いいの?」

「ああ、どうせもう何も出てこねえからな。まあ軽くっても砂浜に届くくらいの威力はあるんだけどな」


 浜辺から催促のクナイが上がるのが見える。


「そんじゃいっぱつ──」


 魔道具の作動装置に手を置く職員。そこにルミも軽く手を添えて


「ぶちかましましょっ!」

「お、おおうっ⁉︎」


 これは面白そうな予感とルミは設定されていた魔道具のダイヤルを最大にして気合いの入った魔力を注ぎこんだ。




「どうやら仕上げらしいな」

「ここで出てくる事って今までもないんだし実質終わりよね」


 キファル平原の時とは違いこの海での掃討戦は1日どころか半日で終えてその日は休み、翌日に魔物を駆除した海で遊びその次の日に帰るのが通例である。


「しっかし、いつ見てもあの魔道具の仕組みは分かんねえ」

「簡単。イカリ型の魔道具に振動装置と増幅装置を組み込んで注いだ魔力を増幅、振動させて海中に放つ。魔物が嫌う波長の魔力で追い立てるものだからもし最大増幅で大量の魔力を注いだりしたら──」


 ベイルたちの見ている先で海が波を運んでくる。それは幾重にも重なり合って続く波紋。気のせいか最初よりも大きなそれを見ながら


「海底の泥に潜む普段は関わることのない魔物さえさらう大波が押し寄せてくる……かも」


 ドロフォノスの解説はむしろ実況としてベイルたちに目の前の出来事を伝えることになった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] サヤさんの技能、割と訳が理解り易い力でしょうw
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