地下洞窟のハニートラップ
~前回のあらすじ~
クリスはオバカ
翌朝、スーとシーの元に、使者が訪れた。
やはり、王様は見つからなかったそうだ。
まぁ、その様子は、二人が一晩中駆け回るジンバーラ国の兵士達を見ていたそうだからな。
そして、もう一つ。
二人は見たそうだ。
「なんというか、拍子抜けだよな」
俺は嘆息混じりに呟く。
そして、目の前の古い民家を見た。
「だね……国王の隠れ家をこうも簡単に見つけられるとは」
そう、昨夜、映像受信器でこの屋敷に入っていく彼女達の父、ゴルゴ・アー・ジンバーラの姿を見たそうなのだ。
なんともあっけないなぁ。
「……全部コーマ様のおかげ」
「だね。コーマの用意した映像受信機と映像送信器がなかったらこうも早く見つからなかったさ」
二人は笑顔で俺に言った。
そうか、国王を捕まえたら、三人の旅も終わりか。
まぁ、楽しかったな。
そして、スーとシー、そして俺は古い民家のなかに無断で侵入したら――
「え」
「……あ」
「げっ」
足元に大きな穴が開いていて、俺たちは真っ逆さまに落ちていきそうになる。
とっさにスーが竜の鎖鎌の鎌のほうを投げた。
その鎌は建物の壁に深くささったようで、俺とシーは、スーに掴まり、全員無事に助かったんだが。
「ちょっと……コーマ、そんなところ触らないでよ」
そんなところって、普通に足を掴んでるだけだぞ。
もしかして、内ももが弱いのか?
でも、離したら落ちてしまうぞ……て? ん?
「コーマ!」
スーが叫んだ。俺が手を離したからだ。
いや、まぁ、離していいだろ。
「おぉい、安心しろ! 下は普通に広い空間だか――あぁ、黒か!」
「コーマ、私の勝負下着見たでしょ!」
「……想定外だから恥ずかしい」
そう言いながら、シーが落ちて来て着地、スーは落とし穴の側面に足をつけ、竜の鎖鎌を強く引っ張る。おちてきた鎌を受け止めながら着地した。
「にしても、ここはなんだい? やけに広いけど」
迷宮……ではないよな。
迷宮はラビスシティーにしかないからな。
それに、迷宮の中は壁全体がうっすら明るくなるものだが、ここは魔石によるランタンで灯りを取っている。
やけに金がかかっているなぁ。
「落ちる瞬間に見た建物の中には誰もいなかったから、きっと国王さんはここにいるんじゃないか?」
「だろうね。油断するんじゃないよ。コーマ、シー」
「まぁ、いきなり落とし穴に落ちるような油断をしちまったからなぁ」
「……今度は油断しない」
勇者スーの先導により、従者である俺たちは進んでいく。
「にしても、妙なところだね。宝箱まであるぞ」
「あ、それ宝箱じゃないぞ」
「そうなのかい?」
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びっくり箱【雑貨】 レア:★★
開けると恐ろしい化け物の人形が飛び出す箱。
開けてびっくりびっくり箱!
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「……ってアイテムだ」
「そりゃ……なんともまぁ」
「……子供だまし」
試しに箱を開けて見たら、恐ろしい形相の悪魔の人形が飛び出してきた。
うん、子供だましだ。
さらに歩いていくと、今度は虫がいた。
「……蜂のぬいぐるみ?」
「いや、魔道具だな」
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ハニートラップ【魔道具】 レア:★★★★
世界で一番綺麗と思う女性の姿に見えるぬいぐるみ。
触れたら爆発してしまう危険な罠。男にしか効果がない。
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「……はぁ……行くか」
「ん? あぁ、無視して大丈夫なのかい?」
「ああ、二人には効果はないから大丈夫だ」
嘆息混じりに説明した。
まぁ、無視してもいいよな。
なんで、ルシル(大人バージョン)が見えるんだよ。
きっちり服を着てくれていたのには助かった。
ハニートラップにしては未熟だな。
……いや、やっぱり恐ろしい罠だったな。
俺の潜在意識を勝手に見透かすなよ……ったく。
でも、あのアイテムって結構貴重なんじゃないのか?
なんでこんなところにあんなものがあるんだ?
国王の罠?
さらに歩くと、俺たちは地下の最奥らしき場所にたどり着いた。
そして、そこに仮面をかぶった、白髪の男が待っていた。
「よく来たな。ワシがこの地下迷宮の主、ミスターAだ!」
「いや、仮面はもう飽きたんだけど……」
仮面の男はいったい誰だと言うのか?
なんて展開、今後もないからな、うん。
「ワシと一対一で勝負だ、そこの男!」
「えっと、なんで俺?」
「問答無用! 行くぞ!」
仮面の男はそう叫ぶと、剣を抜いてこっちに切りかかってきた。
あぁ、確か、傷つけずに捕縛しないといけないんだよな。
面倒なんだけど。
アイテムバッグから何かいいアイテムがないかと思ってみる。
気分はまるでドラえ○んだ。
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肉球グローブ【拳武器】 レア:★★
猫の手を借りたいときにも使えないグローブ。
これで攻撃をしても、一切ダメージを与えられない。
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とりあえず、剣を避けながらグローブをはめ、仮面の男の顔面にパンチを打ち込む。
【もにゅ】
「ふっ、効かんぞ、そんなもん」
「そりゃ、効かないようにしてるんだよ」
使えないと言われるグローブだが、俺が作ったためか、とても丈夫。
剣と殴り合っても傷一つつかない。
【もにゅ】
変な音はなるが。
【もにゅ】【もにゅ】
「ええい、やめ【もにゅ】んか、そのやる気のなくなる【もにゅ】音を出すのは!」
「じゃあ、斬りかかってくるなよっ!」
俺がバックステップで剣を避けると、仮面の男は躓いて転んだ。
全く……。
「大丈夫か? 爺さん」
「隙ありじゃ!」
「だから、甘いって」
一応、反応の神薬のおかげで、このような攻撃くらいなら楽々避けられるんだよ。
ぶっちゃけ、落とし穴の時だって、シーが最初に落ちなかったら、俺も落ちたりしなかったんだよ。
最悪、俺が彼女のクッション代わりになろうと思ってたからな。
というのは言い訳にしては少し悲しいか。
「爺さん、取引だ。これで手をうとう!」
俺はアイテムバッグからアイテムを取り出す。
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超精力剤【薬品】 レア:★★★
20歳のころのあなたに戻れる薬。
今夜はきっと眠れません。
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というアイテムだ。
「……それは本物なのか?」
「元とはいえ国王様を騙すようなことはしないよ」
「ふん、国王と知っていて爺さん呼ばわりか……流石じゃな」
爺さんはそう言い、
「よし、わかった! スー、シー、お主たちの連れてきた男は本物のようじゃ。どちらの男かは知らぬが、ゴルゴ・アー・ジンバーラの名の元、二人の結婚を許そう!」
……は?
~コーマは裏でこんなスライムを作っていました~
バター×スライムの核
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バタースライム【魔法生物】 レア:★★★
べとべとするスライム。火に弱い。
虎イムはいくら回ってもバタースライムにはなりません。
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……虎が回ったらバターになるって、古いなぁ。




