解毒ポーションの恩返し
~前回のあらすじ~
スーとシーが身体でお礼をしてくれるらしい。
魔物寄せの粉の効果が切れるまで、俺たちはやってくる魔物と戦い続けた。
10分経過した辺りで、翼竜までもが吸い寄せられるようにこっちに向かってきたが、翼竜も俺の轟雷の杖の餌食となった。
竜の素材は意外と使い道が多いので助かる。
……ちらり。
俺は後ろにいる地竜に視線を向けた。俺の視線の意味に気付いた地竜が身震いした。
鼻栓をしている地竜が身震い、見ていてシュールだな。
「……よし、魔物寄せの粉の効果が切れたな。いやぁ、大量大量」
俺は地竜の鼻栓を外しながら……これはもう使えないなと思い、草原に捨てた。
自然素材を使ってるので、土に還るだろ。
「本当に俺が全部素材を貰ってもいいのか?」
「私達が持っていても二束三文で売るしかならないからね」
「……必要ない。魔石も出ないし」
そう、迷宮の中の魔物と違い、この辺りの……いや、迷宮以外の場所では魔物を倒しても魔石が出ない。
わかっていたこととはいえ、実際に見てみると違和感がある。
いままでは迷宮の外で魔物退治なんてしたことがなかったからな。
まぁ、だからこそラビスシティーは自治権を持つほどの収入がある町であり、他国から狙われる立場でもある。
地球で言うと、「石油」「石炭」「天然ガス」が一つの国でしか産出されない状態にあるといってもいいだろう。
こんな状態になったら、いつ戦争の火種になってもおかしくない。
いや、すでに戦争の火種になってるんだろうな。
それが、アイランブルグ国とサンマルク国の動きなのだろう。
「じゃあ、そろそろ南の町に向かうか」
素材を拾い終え、アイテムバッグにしまった俺に、
「待ちな、お礼は身体で払うって言っただろ?」
「……忘れてない?」
スーとシーが詰め寄ってきた。
忘れていたかった。
というか、マジで、身体で払うってそういう意味なのか?
と思ったら、俺は両手両足を二人に捕まれた。
スーが袖の中から大きな布を出して、草の上に敷いた。
そして、俺はそこにうつ伏せにさせられた。
力の神薬を飲み続けた俺なら、力づくで二人を跳ね除けるという手もあるが。
加減が難しい。
……こうなったら、覚悟を決めるか。と思うが、そうも言ってられない。
俺はただの人間ではなく、魔王の力を持っているからな。
もしも行為に及んでしまって、子供ができて、その子に魔王の力が継がれたらと思うと目も当てられない。
傷つけないように跳ね除けないと……、そう思った時だった。
気持ちいい。
いや、そういう意味じゃないんだぞ。
行為が気持ちいいとかじゃなくて、俺の腰や太もものツボに刺激が加わっている。
「どうだい? うちの秘術のマッサージは?」
「……気持ちいい?」
あ、あぁ、肩こりとか腰痛とかの年齢じゃないからマッサージなんて無縁だと思ってたけど、とても気持ちいい。
「……もしかして、身体で払うって、このこと?」
「まぁね。とはいえ、利息分だと思ってよな。代金は別に払うから」
「……分割払い」
別に払わなくてもいいのに。
これがクリス相手なら、借金上乗せするけど、スーとシーには普通に貸しを作っておいたほうが得だからな。
「まぁ、フリマのオーナーのコーマなら、お金にも女にも困っていないのは知ってるけどね」
「……お金持ちのハーレムオーナーだからね」
ハーレムオーナーって言うなよ。俺がオーナーだと知っている店員はメイベルだけだしな。あと、奴隷から解放されたクルトも知っているが、あいつは男だから。
まぁ、黙っておく必要は全然ないんだけどな。
実際、コメットちゃんには普通にばらしたしな。
ただ、今のところ、フリーマーケットの店員とは、クリスを通じて普通に友達として接していられてるしな。
この関係を崩すのも忍びないといえば忍びないんだよな。
いや、メイベルやコメットちゃんみたいに主人として慕ってくれるのも悪くないといえばそうなんだけど。
「って、おい。なんでおれがフリーマーケットのオーナーだって知ってるんだよ?」
自然に言われたから反応が遅れた。
俺がフリマのオーナーだと知ってるのは、さっきの二人の他は不動産屋のハックと奴隷商人のセバシ、あと教会のシスターとエリエール、あとはギルド職員くらいのはずだぞ。
全員、口が軽いとは思えないんだが。
「コーマ、あんたはしっかりしてるようで本当に抜けているんだね」
「……勇者特権があれば、情報収集は可能」
二人が説明するには、不動産の登記情報や奴隷の所有者情報など、普通なら得られない情報まで入手できるらしい。
スーは、気になってフリマのオーナー情報を調べてすぐに俺がオーナーだと知ったらしい。
しまった、そういえばエリエールにも同じ方法で俺がフリーマーケットのオーナーだとばれていたんだった。確かに抜けている。クリスのことをバカにできないじゃないか。
これはしっかりと対策を取らないといけないな。
「なんで調べたんだよ、フリマの情報」
「解毒ポーションだよ。勇者試験の時、あの解毒ポーションのおかげで、あの時勇者試験を受けた私達は精神的に楽になったからね。オーナーに直接お礼を言いたかったのさ。実は、あの時、ドラゴンにシーのやつがやられてね。解毒ポーションがなかったら危なかったんだよ」
「……まさか、コーマ様に二回も助けられていたとは思ってませんでした」
そして、二人はマッサージの手を止め、
「……ありがとうございます。コーマ様」
「ありがとうね、コーマ」
俺にそう礼を言った。そしてマッサージを再開してくれる。
「……他のみんなには黙っておいてくれよ」
俺はそう言い、嘆息を漏らした。
礼を言われるのは本当に恥ずかしいな。
本当に、俺、魔王って向いてないよな。
俺とスー、シーの関係。いや、二人だけじゃない、メイベルやクリス、町のみんなとの関係も、いつまで続けられるんだろうか。
俺は年齢を重ねても老けることはない。
下手したらあと数年で皆の前から姿を消さないといけない。
そして、魔王として生活することになったとき、もしも迷宮にスーやクリスが来たら、俺は彼女達と戦えるのだろうか?
ありえる未来を想像しながらも、今は気持ちのいいマッサージを受け続けた。
~裏でコーマはこんなスライムを作っていました~
スライムの核×コボルトの毛皮
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スラ犬 【魔法生物】 レア:★★
犬の毛皮を纏ったスライム。犬のように嗅覚に優れる。
犬耳にに犬鼻があるのはいいが、肉球がないのが残念。
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コメット「……コボルトを犬扱いすることに私はモノ申します」
コーマ「いや、俺に怒られても困るんだが」




