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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode Extra04 後日談

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マユへの手紙

 マユがここにいる。

 一体、俺はどのように振るまえばいい?

 いやいや、どのようにもなにも、手紙を届けに来たと言えばいいだけだ。うん。

 未来から来ただとか、未来ではマユが俺の配下になっているとかそういう話はしなくてもいいはずだ。

 というか、思うな、考えるな。

『え? 未来から来たんですか!? しかも私があなたの配下なのですか!?』

 いきなりバレたっ!

「コーマ、心が読まれてるわよ」

「……悪い。俺のミスだ」

 でも、心を隠すってどうやればいいんだよ。そんなの学校で学ばなかったからな。

『あの、私まだ混乱しているんですけど――とにかく、一角鯨から守ってもらったお礼をしたいので、是非私の家にいらしてください』

 マユはそう言うと、南のアイランドタートルを悲しそうに見つめた。

「あの、マユ。ちょっとこれ以上心の中を読まれるのは困るから、友好の指輪を外して、これを頭から被ってもらえないか?」

 俺はアイテムバッグからウォータースライムを取り出した。

 マユは人魚であり、陸上では喋ることはできない。ただし、水中でなら喋ることができる。

 そして、ウォータースライムの成分はほとんどが水であり、マユはそれを被ることで話すことができる。

「水の塊のようなものだ――害はないよ。未来でもマユがいつも被っているものと同じだから」

 半信半疑という感じだったが、心を読めるマユに嘘をつくことはできない。

 マユもそれをわかっているので、ウォータースライムを被った。

「……本当に水なんですね」

 マユは友好の指輪を外し、少し寂しい胸元にしまった。

「……いま失礼なこと思いましたよね」

「――まさか二個目の友好の指輪が!?」

「視線を見ればわかります……まぁ、いいですけど」

 一応弁解しておくと、俺は貧ny……胸が控えめな女性を悪いとは思っていない。もしも巨乳しか愛せないという人間だったら、今のルシルを愛せるわけがないからな。

 と俺はルシルの無い胸を見たところで、ふくらはぎをルシルに蹴られた。

 ……女性は友好の指輪なんてなくても男の考えていることなど手に取るようにわかってしまうらしい。


 マユはアイランドタートルの顔を出す穴を優しく撫でると、その背に上陸した。

 その背には生々しい傷跡が残っている。マユはきっとアイランドタートルがもう死んでしまったと思っているんだろう。

 実際は仮死状態であり、今もまだ生きているのだが、それを教えたら未来が変わってしまう。

 悪いがそのことは黙っておかなければいけない。

「ねぇ、コーマ。ここって」

「あぁ、俺たちが休んだ海の家のあった場所だな――」

 そこには粗末な掘っ立て小屋があるだけだった。

「ここがマユの家なのか?」

「はい。まぁ、自分で作った粗末なものですけどね」

 マユはそう笑って言った。

 途中、海の上を歩いていたが波が押し寄せてきたので足が少し濡れてしまっている。

 それはルシルも同じらしいか。

 小屋の中は椅子とテーブル、竈くらいしかない簡素なものだった。洋服ダンスもない。

「コーマ、コタツ出してよ。ちょっと温まりたいわ」

「あぁ、わかった。壊れたコタツを直すよ」

 俺はアイテムバッグからバラバラになったコタツを取り出すと、

「アイテムクリエイト」

 と唱え、コタツを修理した。

 ついでに、アイテムバッグから畳みを二枚出して敷かせてもらい、その上にコタツを置いた。

「凄いですね――魔法なんですか? あ、ちょっと待ってくださいね。昆布茶を淹れますから」

「あぁ、お構いなく……でも昆布茶か。ちょっと飲みたいな」

「はい、少々お待ちください」

 マユはそう言うと、手際よくお茶の準備をしていく。

 そして、陶器の湯呑に昆布茶を淹れて運んできた。

「はぁ……温まるなぁ。あ、そうだ」

 と俺はアイテムバッグから今度は梅干しの入った小さい壺を取り出した。

「梅肉を入れたら梅昆布茶になるぞ? ルシルも入れるか?」

「ええ、お願いするわ。確か、その梅干しってハチミツも入れてたでしょ?」

「ああ。たぶんこの昆布茶に合うぞ。マユもいるか?」

「それでは私も――」

 マユの湯呑にも梅肉を入れてやり、ウォータースライムを外したマユと三人で昆布茶をすすった。

「「はぁぁ、おいしい」」

 俺とルシルが同じ声を上げた。マユもとても美味しそうに飲んでいる。

 そして、三人でお茶を飲み終えたマユはウォータースライムを被り、

「それで、コーマさんはどうしてここに?」

 と尋ねた。

「あぁ、レメリカさんから手紙を預かってるんだ」

「レメリカさん? 誰ですか?」

「え? 誰って……知らないの?」

 俺はとりあえず手紙を渡した。

 マユはその手紙を広げて中身を読むと、苦笑した。

「これ、コーマさんに手紙です」

「え? 俺に?」

 俺はマユから手紙を受け取り、中身を見た。


『コーマさん、ご苦労様でした』


 ……なんだとっ!?

 俺の本名もバレてるし……あ、いや、本名はコーマじゃなくてコウマだけど。

 つまり、手紙を届けるというのは表向きの話で、本当は俺に一角鯨を封印させるのが目的だったのか。


 ん? 手紙に続きがある。


『時の揺り籠は本当にあなたたちを対象に使ったのですか?』


 ……ん?

 あぁぁぁぁぁっ!

 そうか、そういうことだったのかっ!


 だから、俺たちは元の世界に戻れなかったのか。

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