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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode03 海上都市

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雷の杖は岩をも砕く

~前回のあらすじ~

雷魔法を覚えた。

 クリスからの通信イヤリングを握ると、早速クリスからの声が聞こえてきた。


『コーマさん、大変なんです。前に話したマユさんって人が――』

「ああ、マユさんならこっちにいるから大丈夫だ。それより、クリス。例の薬の効果はどうだった?」


 クリスに渡した薬は、呪い抑止薬ではなく、解呪ポーションだ

 俺が作った薬だから、クルトが作った薬ではないが、解呪ポーションが通用するかどうかという実験に使わせてもらった。

 人体実験をする俺――なんか魔王っぽいな。

 いや、魔王は人助けなんてしないか。


『あの薬、コーマさんが用意したんですか?』

「なんのことだ?」


 クリスのくせに気付いたのか。

 まぁ、クリスには今までいい薬を使ってやったからな、気付くこともあるだろう。

 もしかしたら、誰かから助言をもらったのかもしれない。

 だが、そのために用意した人身御供がいる。


「あの薬を作ったのは、クルトっていう薬師だ。俺じゃないぞ」


 しれっとウソをつくと、クリスは素直に信じたようだ。


『そうなんですか、じゃあそのクルトさんにお伝えください。あの薬の効果は抜群でしたよ』


 そう言ってくれた。

 やっぱり効果はあったのか。だが、北の島のアイランドタートルが呪いの原因なのだから、北の島にいる限りいつ再発してもおかしくない。

 この島の病人も、北の島に行って帰ってから呪いが発症したそうだ。

 北と南の行き来は盛んらしいからな。


『ところで、どうしてマユさんがそこにいるんですか!』

「そんなことはどうでもいい。クリス、急いで領主の館に向かってくれ! 領主と話したい」

『そんなことって!』


 クリスは当然怒った。説明するの面倒なんだよなぁ。

 ここは素直にこう説明しよう。


「早くしてくれ! これはクリスの勇者としての使命なんだ! 早くしないと多くの人が死ぬことになる!」

『勇者としての使命ですかっ!? わかりました、すぐに向かいます』


 こうして通信が切れた。

 ふっ、所詮はクリス、与しやすい相手だった。


(よほど、そのクリスさんのことを信用しているんですね)


 横からマユの思念が伝わってきた。

 だから恥ずかしいところの心は読まないでほしい。

 マユは微笑んで俺を見ている。

 信用か……信用されているのはむしろ俺のほうだろうな。

 借金=信用というのなら、俺がクリスを信用していることになるんだけど。


 さて、次は誰でも使えそうな魔道具を作るか。


 木から大量に樫の杖を作り出す。

 魔法使いが持っていそうな感じの杖だ。

 それと雷の髭、ガラスを材料にアイテムを作り出す。


……………………………………………………

雷の杖【魔道具】 レア:★★★


「雷よ」と唱えると雷の攻撃を繰り出す魔法の杖。

ガラスに描かれた線の数だけ使うことができる。

……………………………………………………


 雷の杖ができあがった。杖の柄の部分にガラス球が埋め込まれていて、そこに五芒星が映し出されている。

 線の数、ということなので、つまり5回だけ誰でも魔法を使えるということか。


「コメットちゃん、ちょっと来てほしいんだけど」


 暫く待つが、反応がない。聞こえてないのかな?

 海の家の裏に作った薬草と解呪草の畑で作業をしているはずなんだけど。

 そうだ、こういう時のためにあれがあるんだった。


 俺は鳴音の指輪を右手の指にはめ、まずは小さな声で試してみる。


 そして、「あ」と呟いたつもりだった。

 が――


『ああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』


 声が何重にもなって、爆発した。

 思わず俺もマユも耳を塞いだ。

 声はコダマとなって何重にも響き渡り、やがて残響を残して消えて行った。


「コ、コーマ様! なんですか、今の声は!」


 海の家の裏からコメットちゃんが飛び出て来た。

 この様子だと、島中の人が声を聞いていたかもしれない。

 ダメだ、使えない指輪だとは思っていたが、これほど使えない指輪だったとは。

 まぁ、結果的にコメットちゃんが来たからいいとするか。

 コメットちゃんの名前を呼ぼうとして、指輪がはめたままだったことに気付き、脂汗を浮かべて指輪をはずした。


「い、いや、悪い、コメットちゃん。この杖を持って、「雷よ」と言いながらあの岩に使ってほしいんだ」


 俺が指差した岩というのは、この島に突き刺さった大きな岩だ。


「わ、わかりました。私にできるでしょうか?」

「コメットちゃんに使えないようなら他の人も使えないだろうからな」


 コンセプトは誰でも使える魔道具だ。

 コメットちゃんは雷の杖を受け取ると杖を強く握った。

 そして、息を呑み、杖を振るいながら叫んだ。


「雷よ!」


 直後、杖の先端から閃光がほとばしり岩へと……直撃したんだろうな。

 爆音とともに岩は跡形もなく消え去っていた。

 凄い威力だ。


「コメットちゃん、MPを使った感じは? 疲れた感じある?」

「いえ、ないです……」

「そっか」


 コメットちゃんから杖を返してもらい、ガラス球を確認する。

 五芒星の線が一本消えていた。

 魔力の補充に関しての説明はないので、5回使ったらただの杖になるんだろう。


 お、この雷の杖とトパーズを組み合わせたらさらに轟雷の杖ができあがるのか。

 叡智の指輪の時といい、サフラン雑貨店で宝石の原石を大量に買い集めておいて、全て研磨しておいてよかった。


……………………………………………………

轟雷の杖【魔道具】 レア:★★★


雷の杖の強化杖。威力だけでなく精度も増大した。

月の光を浴びることで、残数を回復させることができる。

……………………………………………………


 ガラス球が黄色い宝石へと変わっただけに見える。

 さっきよりも威力が上がったのか。これは皆に渡すことはできない。

 使用回数が回復できるとなれば、強大な兵器を作り出したのも同じだ。

 ダイナマイトを開発したノーベルがした苦悩を俺が味わうのは御免だ。


 次は剣だな。俺の分とクリスの分、あとタラの分の3本か。

 雷剣サンダーソードの魔法があるにはあるが、それでも作っておくにこしたことはない。

 プラチナソードと雷の髭を組み合わせてできる。


……………………………………………………

いなづまの剣【剣】 レア:★×6


雷属性の剣。力を込めて振るうことで放電も可能。

また、雷を受け止めることも切り裂くこともできる。

……………………………………………………


 思っていた通りのものができた。

 名前だけではなく素材アイテムから作ったほうがいいものができるな。


「コーマ! さっき凄い音がしたけど何があったんだい!?」

「あぁ、メアリ、クルトの様子はどうだった?」

「薬じゃなくクルトのことを聞くんだね?」


 そういえば変だな。

 俺は訊き返した。


「薬はどうだった?」

「ああ、ばっちりだよ、完治とはいかないけど、治療できた。本当になんなんだい? あの薬は」

「ただの薬だよ。作れる人間が少ないだけ。それで、クルトは?」

「あぁ……治療が終わった皆に感謝され、泣いてたよ」


 そうか。

 とだけ俺は呟いた。

 それが単純な喜びなら、文句なく嬉しいんだけどな。

 そうじゃないかもしれない。


 俺にはマユと違って、人の心の中なんて読めない。

 それでも、あいつにとっては大切なのはわかる。


 まぁ、師匠としてのプレゼントだ。


 あいつが守った命だ。今度は俺が守る番……って、これじゃまるでクリスみたいじゃないか。


 その時、通信イヤリングが震えた。


『……君がコーマ君かね?』

「あんたは?」


 知らない男の声だが、聞くまでもないことだ。

 何故なら、相手は俺の要求した相手なんだろうから。


『フリード・ガエンだ。蒼の迷宮、地下35階層で人間の中の代表をしている』


 彼は、堂々とそう名乗った。


~200万アクセス突破ありがとうございます(読み飛ばし推奨)~


 200万アクセス突破ということで、俺とクリスは闇の中にいた。

 これからメタな会話が繰り広げられる。


「200万アクセスですか、おめでたいですね。日本人の60人に1人は読んでいる計算ですね」

「その計算が事実だとしたら、200万人がトップページだけ見て引き返したことになるんだぞ」


 ユニークアクセス数は22万人だが、スマホとパソコン、両方からアクセスしている人もいるだろうから、その数はさらに減る。


「100万アクセスの時は何もしなかったんですか?」

「いや、100万アクセスの時はクリスは出番なかったんだ」


 あの時はルシルとコメットちゃんだったからな。


「なんでですか! 私、最初から活躍してるのに」

「一応、お前よりも前に活躍していた人がいたんでな」

「サイモンさんですか!? サイモンさんですね!?」

「誰だよ!」


 本当に知らない名前がでてきた。

 サイモンって、男の名前だよな。


「とにかく、このコーナーでは、メインヒロインに質問をするコーナーらしいんだ」

「誰が作ったんですか?」

「作者だよ」

「作者って誰ですか?」


 ……いや、まぁそうなんだよな。メタ会話をするための空間なんだが、クリスにメタは難しいか。


「神様のようなもんだ」

「神様……ですか。それは答えないといけませんね! スリーサイズ以外なら!」


 ルシルと同じこと言ってるな。

 だから、俺も同じことを言う。


「ということで登場してもらいましょう! メイベルです! あ、クリスはここで退場な」


 吹き上がる煙。

 突如、クリスの足元に落とし穴が開いて、クリス強制退場。


「あの、どうしてクリスさんが退場したのでしょうか?」

「ん? いや、クリスは俺がフリマのオーナーだってこと知らないしな」


 ということで、ここからは10の質問が繰り広げられていく。


Q:名前をお願いします。

A:メイベル・ヴリーヴァです。


Q:ファミリーネームがあるのはどうして?

A:ヴリーヴァはエルフの家名です。私はエルフなので。


Q:スリーサイズをお願いします。

A:質問に答えるつもりはありません(小さいので)。


Q:子供のころの夢はなんですか?

A:ある程度大きくなってからの夢でしたら、お父さんの店を立派にすることでした。


Q:もっと前の夢はなんですか?

A:……素敵な旦那さんを見つけて、ミスリルの指輪を贈ってもらうことでした。


Q:好きな食べ物と嫌いな食べ物はなんですか?

A:もやしです。安くておいしいです。エルフなんでお肉はあまり好みません。あったら勿体ないので食べますけど。


Q:一番怖いものはなんですか?

A:連帯保証による借金地獄です。


Q:コーマが仕入れたアイテムの中で一番欲しいものは?

A:化粧水はとてもいいですね。オシャレにあまり興味のない私でも欲しいと思います。


Q:尊敬する人は誰ですか?

A:お父さんとコーマ様です。どちらが上かは決められません。


Q:最後の質問です。何か一言どうぞ!

A:フリーマーケットはいつでもあなたのご来店をお待ちしております(営業スマイルで)!


 ありがとうございました。



「あ、やっぱりメイベルってエルフだったのか?」


 幕が下り、俺は思わずそう尋ねた。


「御存知なかったのですか?」


 メイベルが意外そうに尋ねる。

 それに、コーマは気まずそうに答えた。


「耳が尖ってるからそうなんだろうなぁとは思ってたけどさ。悪い」

「設定をきっちり使い切れない作者が悪いんです。コーマ様は悪くありません」


 すみませんでした。

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