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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode14 贖罪の村

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コーマの日常

 二日目の昼。フーカとクリスが、別の開拓村に向けて出ることになった。最初の目的であるジューンを探す為だ。

 本当は四人全員揃って行く予定だった。だけど、ルシルが全員で行く必要はないし、こっちで調べたいことがあるからと言って結局、俺達は残ることになった。

「それじゃあ、フーカ、クリスを頼むよ」

「はい、クリスさんが知らない人についていきそうになったらすかさず止めますし、クリスさんが怪しい壺を買おうとしたらクリスさんの頭を叩きます」

「ああ。クリスはちょっとやそっとじゃ気絶しないから思いっきり殴っても大丈夫だぞ」

 俺とフーカのやり取りを聞いていたクリスが、

「私は子供じゃないんですから……」

 と言って、剣を使って岩にのの字を書いていた。どうやらクリスはのの字を書くのがブームになっているようだ。

 もしも遥か未来、世界各地でのの字に彫られた壁画や岩などが発見されたら、恐らくクリスの仕業だろう。

 とりあえず、クリスを励まして、旅立たせた。

 そして、俺とルシルは、まだ食べていない昼食の準備をすることに。もちろん、ルシルに料理をさせるわけにはいかないので、俺が昼食の準備をし、ルシルは魔法を使って水脈の位置を探っていた。水脈の場所さえわかれば、どこに井戸を掘ったらいいのかもわかるから。意外かもしれないが、ルシルはこの村で、それなりに働いているのだ。午前中も水魔法を使って作物に水をあげていた。魔王城で全く働いていなかったのが嘘みたいだ。ルシルは魔王城で作物に水をやったことなど一度もない。

「コーマ、とりあえず井戸の候補はいくつか見つけたから。みんなで話し合って、どこに井戸を掘るか決めて」

「あ……あぁ」

 おかしい。ルシルが完璧すぎる。

 いや、ルシルがやればできる子だっていうのは俺も知っている。何しろ魔法の天才だから。でも、彼女が本気を出すのは、切羽詰まった時だけだ。

 もしかして、偽物か?

 とルシルをじっと見る。

 馬の尻尾顔負けの――尻尾なのに顔負けの銀色のツインテール。白黒写真でもカラー写真でも同じ色になるような白い肌。そして、その目は真っ赤に染まっている。一体、何徹して充血したらあそこまで目が赤くなるのだろうかと思ったが、徹夜して目が充血しても瞳が赤くなることはない。

 そして視線をルシルの胸へと落とす。

「……はぁ」

 ため息が出る。

「コーマ、何ため息ついてるのよ」

「いや、なんでもない。俺はそんなルシルのことも愛しているからな」

「…………コーマ、最近、ことあるごとに私への好感度アピールしてない?」

「言わないとお前に忘れられそうだからな」

 俺が言うと、ルシルもため息をついた。

 俺の愛が重いのだろうか?

「コーマの通信イヤリング、全部預かってもいいかしら?」

「ん? どうしてだ?」

「前に通信イヤリングを妨害されたでしょ? そうならないために通信イヤリングに仕込んでいる魔力回路を弄ろうと思ってるのよ」

「……そんなことができるのか?」

「私を誰だと思ってるのよ」

 自信満々に言う。クリスの自信満々は失敗フラグでしかないけれど、ルシルが言うからには本当にできるだろう。

 俺は左耳から通信イヤリングを三つ外した。さらにポケットに入れている物も渡す

「これがクリスと繋がっているイヤリングで、こっちがメイベルと繋がっているイヤリング、これがルシルの、ポケットに入れていたこれは、魔王城からの通信になってる。魔王城からの通信イヤリングとクリスの通信イヤリングが震えたら出ていいけど、メイベルのが震えたら出ないでくれ。俺があとで話すから」

「わかったわ」

 ルシルは通信イヤリングを握り、頷いた。


   ※※※


 そして、俺とルシルの日常ははじまった。そう、本当に日常だ。

 俺とルシルはそれはもう献身的に働いた。その日のうちに村に井戸ができた。ルシルが言った場所を十メートル掘るだけで水脈に行きついた。

 次の日は家を作ることにした。

「唸れ、俺のエントキラー!」

 愛斧あいふのエントキラーを振るい、木を切っていく。

「すげぇ、一発だ」

 開拓民のキコリの爺さんが呆けたように言う。

 普通、一本の木を切り倒そうと思えば、何回も斧を叩きつけないといけないのだけれども、俺にかかれば一撃で切り倒せる。

 それに、俺の力ならば根っこは引き抜いて薪などにも使える。

 木を切り倒し過ぎたら森が破壊されるけど、木が密集している場所で木を間引くように切れば、他の木の成長を助ける効果がある。

 どの木を切ればいいのかはキコリの爺さんの指示に従って切った。

 俺が切り倒した丸太をひとりで運んでいるのを見るときには、キコリの爺さんはもう驚くことを諦めていた。

 一通り丸太を運び終えたところで、爺さんが言った。

「でも、これだけ切っても釘が届かないからな。道具もだいぶとがたが来てるし」

 つまりはできるのはここまでだ、と言いたいのだろうが。

「いやいや、ここからが俺の力の見せ所だろ?」

 そう、ここまではスキルを一切使わない力に頼った仕事。クリスやフーカでもできる。

 ここからが、俺の仕事だ。

 鉄鉱石を錬金術スキルで鉄のインゴットに作り変え、それから鍛冶スキルを使って釘やトンカチやノコギリを作ることなど赤子の手を捻るよりも容易い。

 さらに細工スキルを使って角材や板に加工し、家を組み立てる。そして、次の日の朝には家が一軒出来上がっていた。

 万能粘土を使えば一時間で作れるんだけど、やはり結構時間がかかるな。

 内装に拘り過ぎたのかもしれない。

 机や椅子も手作りだし、絨毯代わりに獣の毛皮を用意したし、地下に氷室なども用意した。自慢の一軒家ができたわけだが――

「うぅん、もう少し早くできると思ったんだが……」

『いやいや、十分早すぎるだろ』

 村人全員がツッコミを入れてきた。

 豊臣秀吉は一夜で城を築いたんだから、やっぱりまだまだだと思うんだけどな。

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