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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode14 贖罪の村

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コーマ流開拓日記その一

 歩くこと半日。朝六時に部族の村を出たので、現時刻は正午。太陽が一番高い位置になったところで、切り株を見つけた。

「コーマさん、そう言えば切り株の位置を見たらどっちが南かわかるそうですよ。ということは南はあっちですね」

 クリスがここに来て、妙な雑学を披露してきた。

 自信満々に年輪の幅が広い方向を指差す。

「で、クリス。南がわかったところで、村の位置がどの方角にあるのかわからないからフーカの案内に頼るしかないんだが」

「そもそも太陽の方向を見るとあっちは東よね? 間違っているじゃない」

「年輪の幅で方角がわかるというのは迷信だと僕は聞きましたよ」

 俺、ルシル、フーカの三人に指摘され、クリスは意気消沈し、切り株の上にのの字を書き始めた。

 まぁ、指摘しておかないと、クリスがひとりで旅をすることになったとき自信満々に間違いそうだしな。

 ともかく、切り株があるってことは、人間の手が入っているということ。開拓村はここから近いだろうな。

「クリス、置いていくぞ」

 未だに切り株でのの字を書き続けているクリスに声をかけたが、

「……せっかく自慢できると思ったのに」

 本当にショックだったようだ。



 クリスが立ち直って、フーカの案内で開拓村にたどり着いたのは、それから30分後のことだった。

「へぇ、これが開拓村か」

 木造の家が十軒あり、村の周りには畑があった。

 案山子が立っている。

「あの案山子、どことなくマネットに似てないか?」

「あ、本当ね金色の髪とかそっくりよね。あれ、トウモロコシの髭を使ってるみたいよ」

「あんなんじゃ迫力不足で鳥を追い払うこともできないだろうな」

 俺とルシルで案山子を見て笑っていると、開拓村の村民らしきおじさんが近付いてきた。

「おぉ、フーカちゃんじゃないか。その人たちは? フーカちゃんの村の人?」

「申し遅れました。私はラビスシティーの冒険者ギルドより派遣されたクリスティーナと申します。これが身分証です――」

 とクリスは勇者の証であるブローチを差し出す。

 すると、その男は目を見開き、

「た、た、た、大変だぁぁぁぁっ! みんな、勇者様がいらっしゃったぞぉぉぉぉぉぉっ!」

 男が叫ぶと、十軒の家から多くの人が出てきて、

「勇者様が訪れたって本当か?」

「本当だ! このお方が勇者様だ」

「おぉ、なんとも神々しい」

 村人たちはクリスを囲むように土下座をはじめた。

 忘れていたけど、勇者って尊敬される仕事だったんだよな。

「よくぞお越しくださいました、勇者様。まだまだ開拓中の村ゆえ、大したおもてなしはできませんが」

「その必要はありません。私は冒険者ギルドより、この村の開拓のお手伝いをしに来ました。それと、七英雄のひとりである雷焔の魔術師ジューンさんを探しに来たのですが、心当たりはありませんか?」

 クリスの質問に、村人たちは顔を見合わせ、全員が首を振り、

「すみません、誰も知らないようです。別の開拓村の者なら知っているかもしれませんが」

「そうですか――では、現状、困っていることを全部言ってください」

 クリスはそう言うと、自信満々に村人に尋ねた。

 全部言ってくれって、クリスは力仕事しかできないんだから、ほとんど俺の仕事になるんだけど。


   ※※※


「これは、ミヤマ草。よく洗って土を落としてから乾燥させると、美味しいお茶になる。これはマゲマッシュ。とても旨いが食べ過ぎると毛が抜けるそうだから毒キノコだな。この木の実はこのままでは食べられないけど、水に三日間さらせば灰汁が抜けて、煮込めば食べられるようになる。栄養価も豊富だし数も採れるから集められる時に集めて、保存食にしてくれ。ちなみに、水に浮かぶ木の実は虫食いの木の実だから食べたらダメだぞ」

 村の倉庫では、多くの草やキノコ、木の実などが保存されていた。

 使い方がわからないので、一度集めて、鑑定を使える人がいる東大陸の港町に送る予定だったそうだ。

 俺が鑑定スキルを使えることを知ると、是非とも調べて欲しいと言ってきた。

 もちろん、俺もアイテム図鑑を埋めるチャンスなので喜んで受けた。

「ま、待ってください、メモが追い付きません」

「あぁ、悪い……えっと、ゆっくり言うぞ。これはキノキノコ。食用キノコで切り株などに傘の部分をこすりつけるとすぐに繁殖する。でも味はいまいちだそうだ。傷薬に使えそうなものはこれとこれだけど、んー、錬金術スキルがないとどうにもならないな。一応、レシピだけは用意して、ニ十本くらい作ってみるよ。低レベルの錬金術でも作れるみたいだし」

「ありがとうございます、本当に助かります」

 男は俺に頭を下げた。

 俺はこの村でアイテムクリエイトを使ったり、アイテムバッグの中に入っている薬や道具で助けるつもりはない。

 その方法で助けたところで、それは一時的なものにしかならないから。

 俺がずっといるわけではないからな。

 できることならば、錬金術スキルを使わなくても作れる薬をいくつか見繕いたい。


 ちなみに、今現在、怪我や病気で苦しんでいる人はと言うと、


「もう、ただの捻挫じゃない――はい、ヒール」


 現在、ルシルが治療していた。

 骨折して動けなくなった男にヒールをかけて治したところ、ルシルにいろいろな怪我や病気の相談をするようになった。

 ルシルは文句を言いながらも、家畜の治療までそつなくこなしていた。

 そして――


「コーマさん、只今戻りました!」

「お兄さん、大量ですよ!」


 フーカとクリスが狩りから帰ってきた。巨大なワニをふたりでかついで。


「……ビーグワニですか」

 それを見た村人たちの顔色はあまり優れない。

「どうした? あのワニに嫌な思い出でもあるのか?」

「いえ、ビーグワニは我々も一度捕まえたことがあるのですが、肉はとても硬く、食べられたものではなかったんですよ」

「……あぁ、そうか」

 確かに、鑑定で見ても、肉はとても硬いって書いている。

「じゃあ、美味しく食べられる方法を考えてみるか」

 俺はそう言うと、料理スキルを使ってワニの調理法を考えた。

 不味い食材ということで、ちょっと本気を出して。


 その日の夜。

 あまりのワニ肉の旨さに村人全員が一時昇天したのだった。

どんな材料でもコーマは本気で料理をしてはいけない。

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