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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode14 贖罪の村

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開拓村の需要問題

 宴は朝まで続いた。途中でクリスは酔いつぶれてしまい、俺は部族たちが持つ伝統の道具などを見せてもらった。

 意外と思うかもしれないが、この部族は狩りだけでなく、近くに小麦を撒いて育てている。ただし、世話はほとんどしない、種を撒くだけの自然農法なので収穫高はそれほど高くないが、自分たちが食べるだけの分は十分確保できるんだそうだ。その小麦を使って薄焼きのパンのようなものも作っている。

 小麦を挽く石臼とかも、東大陸で使われているものとはだいぶ形が違う。

 東大陸で見てきた石臼は、風車や水車などを使う、もしくは手動で臼を回転させてすり潰していく感じだったけれど、ここの臼はまるで餅つきに使う臼のような形の石臼で、杵のようなものですり潰している。

 あとは、燻製による保存食作りを日常的に行い、ベーコンに似た味付けの肉があった。

 こういうものもフリーマーケットで売れるかもな……と思って、俺はため息をついた。

 あれからまだメイベルにも会えていない。イシズにも、エリエールにも、あとジョ……ジョージにもだ。

 ユーリとルルが訪れたときも正直、何を言われるのかと戦々恐々としていた。

 クリスもルシルも、そして魔王軍のみんなも俺に気を使ってか、あの日の事は何も言わない。

 本当の意味で何も知らないフーカとここで会えたのは、俺にとっては幸いだったのかもしれない。話すときもかなり楽だし。

 一緒にバーベキューをしようって約束したからなぁ。このベーコンをバーベキュー用に仕入れたい。

「……この燻製肉が欲しい。何かと交換したいんだが、欲しい物はあるか?」

 食糧庫の管理をしている男にそう尋ねた。

「イイ、ヤル」

 男はそう言って、ベーコンの塊を俺に渡した。

「くれるのか? 代わりに欲しい物をいってくれたら――」

「タブー、コロス、ツクル。イノチ、ウバウ、セカイ、マワル。オマエ、マワル」

 ……これはタブーと言う名前の動物を殺して作った。命を奪ったけれどそうして世界は回っている。だから、この肉が俺のところに行くのもまた自然な流れだ。

 彼はそう言っているのだろう。

「ありがとうな」

 俺は礼を言った。

 命の重さ―ーか。なんだよ。さっきまで軽いと思っていたベーコンが急に重く感じるよ。

「そうだ、俺が作った酒だ。持っていってくれ」

 と、俺は日本酒の入った酒樽をアイテムバッグから出して、男に渡した。

「サケ。アリガトウナ」

 男は笑って、さっきの俺の真似をして礼を言ってくれた。


 そして、昼前に俺たちは集落を後にした。

 これから、開拓村を目指す。幸い、場所はフーカが知っていたので迷うことはない。

 フーカは角を隠すフードを被っている。

「フーカ、鬼族の村にはいかなくていいのか?」

「はい。僕はもともとさっきの集落に寄ったらそのまま東大陸に戻るつもりでしたから」

「え? なんで?」

 俺が理由もわからずに尋ねると、フーカは頬を膨らませてあからさまに不機嫌になった。

 俺、何か悪いことを言ったか?

「約束したじゃないですか。全部終わったらラビスシティーに戻るって。僕はまだお兄さんの従者なんですから」

「へぇ、コーマってモテモテなのね」

 俺に背負われているルシルが、少し面白そうに言った。

 そこはもうちょっと嫉妬してくれてもいいんだけどな。

「フーカって言ったわね。私はルシルよ。コーマとはまぁ、ビジネルパートナーみたいなものよ」

「ビジネスパートナーですか……それは安心したような、ちょっとがっかりなような、微妙な感じですね」

「どうして?」

「お兄さんが、ルシルさんのことを好きだっていうのなら、お兄さんは少女愛好家ロリコンってことになりますからね。僕にもチャンスがあるってことじゃないですか」

「お前、それって自分がロリだって言っていることになるぞ。あと、ルシルはお前が思ってるほど少女ってわけじゃないからな」

 自称2700歳だし。

「フーカは開拓村に行ったことはあるのか?」

「はい。狩りでしとめた獲物と道具を交換しに。開拓村はいくつかありますから、知らない人が行っても別の村の人が来ただけと思うでしょうし、角を隠せば僕たちの見た目は普通の人と何ら変わりありませんから」

「そうか――鬼族ってことはやっぱり隠しているんだな」

 自分たちの存在が知られたらいつかまた村を追われることになるからな。

 仕方がないんだろう。

「開拓村で今必要としている物って何だと思う?」

「そうですね、まず食料と水もそうですけれど、薬が足りていませんね。それと、知識も足りません」

「知識?」

「未知の生物や植物が多いので、食べられることがわかっている物が少ないんですよ。例えばここに生えているキノコもどれが食用キノコかわかりませんし」

 あぁ、そうか。

 俺なら鑑定スキルがあるけれど、普通の人ならば誰かが食べるまでわからない。

 そして、毒だとわかってもそれを治す薬もないし、治せる医者もいないから試しに食べて見るわけにもいかない。

 ということは、俺の出番じゃないか?

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