VSオリハルコン
~前回のあらすじ~
オリハルコンから武器を鍛えるように言われた。
オリハルコン……名前は知っているけど見るのはもちろん初めてだ。
素材の段階にもかかわらずレア度が【★×9】とは。
恐ろしいアイテムだ。
手に持ってみる。
重くはない。
むしろ鉄より軽い。
にもかかわらず、そのオーラに俺の腕は振るえた。
緊張とかそういうものではない。
恐れているんだ。
これを素材にして武器を作ったら一体どうなるのこあを。
俺はオリハルコンを金床に置き、どうしたものかと思う。
おそらく、4000度の熱でもこのオリハルコンを溶かすことはできないだろう。
それでも、熱してみて、炉の中をのぞいてみた。
目が乾燥し、瞬きの回数が多くなる。
……凄い……炎を弾いている。
取り出してみて触ってみたところ、全く熱くない。
これで壁を作ったら、どんな炎からも守ることができる盾になるのは間違いない。
ならば――叩いて延ばすしかないのか。
とりあえず、ハンマーを取り出して、叩きつけた。
跳ね返される。
全く通用しない。
だんだんと強く叩いていく。
その時だ。
鉄のハンマーの柄が折れてしまった。
「わ……悪い」
俺は鉄のハンマーを貸してくれたバーグに謝罪する。
バーグは首を振った。
「気にするな。安物だ。後でお前さんが作ってくれたらいい。一瞬でできるだろ。それより、どうだ?」
「凄いな。生半可な力は全て跳ね返される」
俺はアイテムバッグの中に別のハンマーはないかと思って探してみる。
出てきたのは、白く輝く金属のハンマーだった。
「プラチナハンマー……しかもかなりの業物だな」
バーグが感心したように言う。
柄の部分までプラチナでできている。
これなら簡単には折れないだろう。
俺が再度力を込めてハンマーを振った。
その時だ。
石の床が割れた。
金床にも罅が入っている。
「……わ、悪い」
「気にするな。このくらいすぐに直せる。それより、まだ続けられるか?」
「いいのか?」
「思う存分やってくれ」
……俺はアイテムバッグから、今度は鉄の金床の代わりになる白金金床を取り出した。
そして、白金ハンマーをさらに力を込めて振るった。
大地が響き渡る。
大きな地震が起きたかと思った。
だが、オリハルコンは全く変わらない。
三回、四回と振るっていく。火花が散る。
棚に飾ってあった剣が、立てかけてあった盾が、棚の本が震動で倒れ、落ちる。
だが、オリハルコンは全く変化しなかった。
なんて馬鹿硬い金属なんだ。
……白金ハンマーじゃダメだ。
何かないか?
少なくともオリハルコンに匹敵する強い武器じゃないと。
……そういえば、記憶を取り戻していた俺は、いつも斧を使っているって言ってたな。
アイテムバッグの中からその斧を取り出してみた。
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エントキラー【斧】 レア:★×9
炎属性を持つ伝説級の斧。エントを倒したという逸話がある。
エントを倒すために作られたのに何故か竜特効もある。
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炎属性を持つ斧か。
普通の炎じゃ弾かれたが、これで直に温度を伝えたらどうだ?
「コーマ、なんだその斧は……」
「ん? あぁ、なんか凄い斧っぽい」
「凄い斧っぽいって……お前、その斧から凄い念のようなものを感じるぞ」
「そうなのか? よくわからんが、これならなんとかなるだろ」
俺はそう言うと、その斧を横に向けた。
この斧の作成者が見たら「なんて使い方しやがるんだ、こいつ」って思うだろうな。
そんなことを思いながら、斧をオリハルコンに叩きつけた。
すると、凄い音が響き渡った。
……今、わずかだが、オリハルコンの形が変わった気がする。
石床は全体に罅が走っていた。
気が付くと、窓から多くのドワーフがこちらを覗き込んでいた。
だが、俺はそららを無視し、オリハルコンを何度も、何度も叩いていく。
そのたびに大地震のような震動が起きた。
そして、三時間後。
完成した。
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エクスカリバー【剣】 レア:72財宝
神がオリハルコンから作ったと言われる伝説の剣。
持つ者は王となる資格が与えられるという。
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うぉぉぉ、エクスカリバーかよ。
まさかの。
いや、オリジナルじゃないのはわかってるが、凄いな。
ただ、今回は柄の部分がないので、柄も作らないといけないな。
でも、72財宝か。
てっきり、六つの宝玉だけが72財宝かと思っていたが、やっぱりその名の通り72種類あるのか。
「バーグ、できたぞ……ってあれ?」
振り返り、俺は驚愕した。
全てのドワーフが、バーグやガルフを含め全てのドワーフが俺に首を垂れていた。
そして、一番前にいたガルフが皆を代表するように言った。
「お待ちしておりました、我等が王よ」
「……へ?」
俺はどうやら、王様の剣を岩から抜くのではなく、自ら作成することによって王となってしまったようだ。




