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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode02 呪いの剣

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お土産は焼きそばパン

~前回のあらすじ~

クリス、睡魔に敗れる

「なぁ、メイベル、クリスは本当にすぐに来るって言ってたのか?」

「はい……そう仰ってたんですが」

「さては、あいつそのまま寝たんじゃないか?」


 俺がげんなりした口調で言うと、メイベルも苦笑した。


「とても気持ちいいベッドですからね。今朝も寝坊する従業員がいて困りました」

「高級ベッドだからな」


……………………………………………………

羽毛布団【家具】 レア:★★


鳥の羽をたくさん詰め込んだ布団。

軽いのに保温性抜群だけど、使っていけばぺちゃんこになる。

……………………………………………………


 うんうん、羽毛布団って本当に使えばすぐにぺちゃんこになるな。

 打ち直しとかしてくれる店ってあるのかな?


……………………………………………………

安眠マットレス【家具】 レア:★★


低反発素材を使用することで、気持ちいいマットレスに。

もはや、これはマットレスの革命です。

……………………………………………………

安眠枕【雑貨】 レア:★


低反発素材を使用した枕。とても気持ちいい。

一度使えば、枕が変われば寝られない子になるでしょう。

……………………………………………………


 ちなみに、俺は枕がなくても寝られるタイプ。

 そうでなければ、徹夜で行列に並んでなんていられない。

 むしろ立ったまま寝られる。


 低反発素材の原料は、ウレタン樹脂……ではない。

 実は、これ、コボルトの毛なんだ。

 グーとタラの髪がだいぶ伸びたので、散髪してやった時に偶然知った。

 その毛が、まさか低反発素材のアイテムになるとは思いもしなかった。

 おかげで、昨日の夜明け前には迷宮の1階層にいって、コボルト狩り……じゃなくて毛刈りを行った。

 野生のコボルトは当然襲い掛かってくるんだけど、力の神薬を飲み続けた俺の敵じゃなかった。

 毛刈り鋏二刀流でコボルトを狩り……じゃない、刈りまくった。

 殺しはしていないので、昨日迷宮に潜った冒険者は、世にも珍しい毛無しコボルトに遭遇しているだろう。


 コボルトを倒してしまえば刈り取った毛も消えてしまうが、アイテムクリエイトで加工したら、倒しても消えなくなるのは確認済み。


 まぁ、そんな経緯でできあがった最高のベッドはクリスに効果覿面のようだ。


「起こしてきましょうか?」

「頼む。早くしないとせっかく作った飯が冷めちまう」


 メイベルが立ち上がろうとしたら、


「コーマさん、来てたんですか?」


 クリスが現れた。鎧を脱いでリラックスな状態でやってきている。


「コーマさん、聞いてください! ここ、凄いんですよ! 布団はいつもの何十倍も気持ちいいし。いえ、ここのベッドが布団だとしたら、いつもの部屋の布団は布きれですね」

「その台詞は冒険者ギルドへの営業妨害になるぞ」


 あの宿は冒険者ギルドの管轄だ。

 クリスが悪評を流したら、結果的に俺がひどい目に遭いそうだ。


「それに、リンスって髪をさらさらにする薬品があってですね、髪がさらさらになるんですよ」

「そりゃよかったな。で、眠気を優先して飯はいらないんだったっけ?」

「た、食べます! なんですか? この料理……茶色い麺?」

「ここのオーナーさんの故郷の料理らしいぞ。うまいからお前も食べてみろ」


 作ったのは俺だけどな。


……………………………………………………

ソース焼きそば【料理】 レア:★


麺料理。野菜と肉と一緒に炒めた麺に、ソースを絡ませた。

西の国の屋台の定番メニュー。匂いが食欲をそそります。

……………………………………………………


 ちなみに、麺とソースはアイテムクリエイトで作成したが、他は普通にフライパンで炒めて作った。

 俺の得意料理だ。


 紅ショウガがないのが残念だが、青のりは普通に売っていた。

 箸を使って食べてみる。うん、腕は落ちていないな。

 アイテムクリエイトもいいが、料理はやっぱり自分で作ってこそだろ。

 まぁ、どこかの大魔王の娘には絶対に真似してほしくないけど。


「……これで食べるんですか?」


 クリスが箸を見て尋ねる。

 彼女にはただの二本の棒に見えるようだ。


「フォーク頼もうか?」

「お願いします」


 フォークをメイベルに頼んで用意してもらうと、メイベルは焼きそばを一口。


「わぁ……とてもおいしいです」

「だろ?」

「はい、こんなのが毎日食べられたら幸せです」


 相変わらず幸せの基準の低い勇者様だ。


「っと、そうだ、クリス。これ、アイテムバッグ」


 ここで、俺はアイテムバッグを渡す。

 転売されて、借金を返せば、俺を従者として雇う必要がクリスには無くなるだろうが。

 そうはいくか。

 この寮に住めるのは俺のコネがあってこそ、俺を従者にしないならクリスを住ませないぞ、と脅せる。

 何しろ、ここは一度住めば二度と離れたくない理想郷に仕上げたからな。

 まぁ、クリスとは仲良くやるつもりはないし、嫌われてもいいとは思っているが、勇者の従者としての立場はあったほうが便利だ。


「わ、ありがとうございます」


 クリスはアイテムバッグを手に取り、早速自分の剣を入れてみる。

 そして、「凄い、本当に入った」といいリアクションをしてくれた。


「金貨50枚で買っておいたぞ。転売するなら早めに――」

「転売? 誰にです?」


 クリスは首を傾げ、


「これはコーマさんに使ってもらうために買ったんですよ?」

「え?」


 どういうことだ?


「だって、コーマさん、いつも重そうな竹籠を持っていたじゃないですか」

「じゃあ、俺のために、クリスは借金をしてまでアイテムバッグを買おうとしたってのか?」

「はい! 何しろ、アイテムバッグは勇者である私しか買うことができませんからね」


……なんてこった。

 俺は目頭を押さえた。

 勘違いしていた自分が恥ずかしい。

 クリスはてっきり転売しようとしていると思ったのに。


「……クリス、俺は一生お前の従者でいるぞ」


 俺は震える声で言った。


「もちろんです、そのためにアイテムバッグを買ったんですから」


 クリスは笑顔で、


「コーマさんがいてくれたから、私は勇者になれたんですよ」


 と言った。とても優しい声で。

 まるで天使になったかのような気分だろ。

 こいつ……俺が感動して目頭を押さえているとでも思ったのか?

 泣いているとでも思ったのか?

 違うよ、頭が痛くて眉間をつまんでるんだよ!


 くそ、クリスが少しは賢くなったと勘違いしていた。

 賢くなって転売しようとしていると思っていた。

 やっぱりこいつはダメ勇者だ。


「お前みたいな勇者、俺がいないと借金まみれで破産するわボケ! あと俺はすでにアイテムバッグを持ってるんだよ!」

「えぇぇぇぇぇぇっ!? なんで持ってるんですか、アイテムバッグ」

「ここのオーナーとは知り合いだって聞いてないのか? 特別に売ってもらったんだよ、金貨30枚で」

「え! 私より20枚も安いじゃないですか! ずるいです、コーマさん」

「ずるくねぇ、正当な権利だ!」


 俺とクリスの罵り合いは、焼きそばのおかわりが尽きるまで続いた。

 結局、アイテムバッグはクリスが自分で使うこととなり、クリスの借金が金貨60枚近くになった。

 そろそろ自己破産手続きについて教えてやらないとな。


 それにしても……本当にクリスは大馬鹿勇者だ。



   ※※※



 俺は嘆息とともに、魔王城に戻った。

 部屋の魔法陣をくぐると、ルシルが声をかけてきてくれた。


「あ、コーマ、おかえり。最近忙しかったみたいだけど元気にしてた?」


 相変わらず、タタミでだらだらしているルシルを見て、


「元気といえば元気だな」


 そう苦笑いをうかべる。

 とりあえず、俺が地上でしていたことを語った。

「ルシルもベッド欲しいか?」と尋ねたら、「タタミのほうが気持ちいいからいらない」と言われた。

 タタミの魔力はまだ衰えていない様子だ。

 むしろ、俺が作ったという焼きそばのほうに興味があるようで、


「焼きそばをパンにはさんで持ってきたんだ。1個食べるだろ?」


 俺はバスケットに入れた焼きそばパンを一つ、ルシルに渡す。

 バスケットの中には三つ入っていて、残り二つはグーとタラの分だ。

 ちなみに、鑑定をしても、【ソース焼きそば】と【パン】が表示されるだけ。焼きそばパンはアイテムとして認知されないようだ。解せぬ。


「食べていいの?」

「あぁ、そのために持ってきたんだ」

「じゃあ、いただきます」


 卓袱台の前に座って食べるルシルを見て、俺は自分の胸に痛みが走るのを感じた。


「ルシル、髪ぼさぼさだな」

「ゴロゴロしてたらこうなったのよ。うん、おいしい」


 ルシルは焼きそばパンを食べながらそういった。

 そりゃ一日中ゴロゴロしてたらな。


 俺は席を立ち、残っていた万能粘土で陶器の洗面器を作る。


「食べ終わったらこっちにこい。髪を洗ってやる」


 ルシルを仰向けに寝かせ、枕を利用して洗面器の中に髪が収まるようにした。

 水瓶の水を掬い、髪を濡らして、シャンプーから使い始める。

 とはいえ、ルシルの髪はぼさぼさだけどもとても清潔だ。

 とても滑らかで、透き通った銀色の髪。

 これなら、リンスだけでよかったかもな、と思いながら髪を洗い続ける。

 無言の時間が続いた。

 ルシルは何も言わない。

 彼女はわかっていた、俺が何かを言おうとしていること。

 それを邪魔してはいけないこと。


 俺は意を決して口を開いた。


「ルシル……すまない、俺、お前のためならなんでもするって言ったが」


 そのために、クリスは利用するだけだって決めていたんだが。


「コーマに無理なのはわかってる。最初から言ってたでしょ」


 ルシルは間髪入れずに答える。

 今の彼女はいつもの自堕落な少女ではない。

 それは、大魔王の娘としての言葉。

 それは、俺の部下としての言葉。

 それは、俺に夢を奪われた者の言葉。

 そして、それは、俺のために自ら全てを捧げた者の言葉。

 その言葉に、俺の胸がさらに締め付けられる。


「でも、俺はお前のために生きるって誓った。お前のためなら命を捨てるって」

「……捨てていい命じゃないのはコーマが一番わかってるはず。これもあの時も言ったわ」


 ルシルは言った。あの時と同じように言った。

 とても優しく、そして悲しい笑顔で


「一人くらいいてもいいと思うわよ、優しい魔王ってのも」

「優しくなんかあるもんか……」


 俺は結局のところ、自己満足のためにルシルを利用していんだから。

 リンスを使い、水で洗い流したルシルの髪は、この世界で、最初に会ったあの頃のように輝いていた。

~ベッド~

ベッドはアイテムに入るのか?

と聞かれたら、道具です。持ち運びはできないことが多いですが。

 

自分で世界を構築できるテラリアでは持ち運び、生産ともに可能な道具の一つで、復活ポイントとして設定できます。


ベッドはゲーム中、宿屋とセットで使われます。

一晩寝たらHPもMPも全回復と、エリクサー並みの効能があります。

戦闘不能でもなんのそのです。流石に死者は生き返りませんが。


また、DQⅥでは空を飛びます。空飛ぶベッドという乗り物があります。


これだけでも凄いベッドですが、ベッド=洋物と決めつけていませんか?

ベッドは奈良時代にはすでに存在していますし、高い身分の人の間ではかなり使われていたそうです。

ですが、平安時代に入り、タタミが普及してから使われなくなりました。


まるで、タタミがあるからベッド入らないと言っているルシルのようです。

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