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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode06 日常閑話

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マネットの疑念

~前回のあらすじ~

コメットちゃんとデートをしたが……

 僕の名前はマネット。

 マリオネットの魔王だ。

 マリオネットとは、魔物の一種だ。操り人形の姿をしており、そして人形を操り動かす能力を持つ。

 僕はそれだけでなく、ゴーレムを作り出す力を持っていて、それらのゴーレムを128体までなら操ることができる。


 というのは既にコーマだけでなく、皆にも語った能力だ。

 それは、使い方を間違えなければ、死んでも何度でも生き返る兵を128体得たのと同じこと。つまりは、数千、数万もの兵に値する。


 もっとも、簡単に作れるゴーレム一体一体はそれほど強くはないし、強いゴーレムを作ろうと思えば長い時間が必要になる。それに、僕自身の戦闘力はそんなに強くないからな。僕自身が捕まったら負けだ。


 そう言う意味で、僕はコーマと手を組むのは悪くないと思っていた。あいつは、僕が苦労して作ったマグマストーンゴーレムをいとも簡単に倒しただけでなく、僕に極上の素材を用意してくれている。


 でも、だからこそ不安にはなる。

 こいつらは、バカすぎた。


 コーマは何を考えているのかわからない。僕はコーマを殺そうとした。にもかかわらず、コーマは僕を許しただけでなく、あろうことかゴーレム工房まで与えてくれた。とても強大な力を持っているにもかかわらず、時折自分の部屋に戻り、指人形を眺めてニヤついている。もしかして、コーマは僕が人形だから招き入れたんじゃないだろうか?


 コーマだけじゃない。例えばルシル、彼女もよくわからない。彼女の料理は悪魔だ。僕の友達も彼女の料理を食べて死にかけた。彼女はとても偉そうな女で、コーマの配下のはずなのに、コーマを顎で使う。やれ、チョコレートパフェを作ってほしいだの、やれ伝説のタタミが欲しいだの。でも、コーマにとってそれは普通のようで、時には悪態をつきながら、時には嘆息混じりに、だが、コーマは彼女の要望を聞いてその通りにしている。

 そんな彼女も、コーマの帰りが遅いと、とても落ち着かない様子で「コーマは遅いわね、何してるのかしら」などとうろうろとして、心配していた。にもかかわらず、コーマが帰ってくるとタタミに寝そべり、「あ、帰ったの」とまるでコーマに興味がないように振る舞う。


 カリーヌは二人以上によくわからない。

 僕のゴーレム工房にやってきたと思ったら、ロボスライムα、ロボスライムβ、ロボスライムγという三体のスライムと一緒に登場。


「コーマお兄ちゃんとね、ヌライムの核と交換してきたの。今から合体させるからね」


 ちなみに、コーマとカリーヌに血縁関係はない。きっとコーマの趣味なのだろうと僕は推測している。

 そう言うと、三体のスライムは僕の目の前で合体した。ちなみに、合体したスライムといっても、僕には三段が重なっているだけのように見えるが。合体する機械仕掛けのスライムか。ゴーレムのアイデアになるかな。そうか、カリーヌは僕にアイデアを提供するためにやってきたのか。


 そう思ったら、「じゃあ、超絶ロボスライム、元に戻って!」とカリーヌが命令した。

 それに困ったのは、合体したスライム達だ。彼らはどうやら合体はできても分裂はできないようだ。

 リンゴジュースとオレンジジュースとピーチジュースを混ぜてミックスジュースができたとしても、ミックスジュースからリンゴジュースとオレンジジュースとピーチジュースに分けられないようなものなのだろう。

 それは仕方がないと思ったら、カリーヌが駄々をこねだした。

「やだ、分裂して」

 我儘を言ってきた。そして、泣きそうになった。

 わからない。コーマはカリーヌを甘やかしすぎているんじゃないだろうか?

 結局、僕は超絶ロボスライムとやらを調べて、その機能を解析、分裂機能を追加させた。すると、カリーヌは満面の笑みで「ありがとう、マネットお兄ちゃん」と言ってきた。

 ……コーマのやつ、どんな教育してるんだ。


 その点、タラはわかりやすい。あいつは仕事のない時間は常にトレーニングをしている。僕の作ったゴーレム相手に剣で斬り合いをしている。タラは木刀で、ゴーレムは石の剣での斬り合い。

 僕は五十体のゴーレムを操作したが、タラには結局一太刀すら浴びせることはできなかった。こいつは訓練バカだ。

 その後、僕を筋トレに誘ってきた。僕は人形だから体力がつかないと説明しているのに、190階層までのランニングを3往復させられた。僕が3往復している間にタラは10往復して、さらに続けていた。幼い姿をしているのに体力バカだ。


 マユは最近落ち込んでいる。見た目の年齢なら、魔王城の中でコーマと同じくらい、一番年上に見える彼女。

 その彼女の愚痴に僕は結構な確率で付き合わされる。


 彼女の愚痴は、自分の影の薄さだ。もっとも、彼女は自分の配下の魔物が別階層にいるらしく、魔王城にいる時間が他の人よりも少ないからだろう。ウォータースライムを被って、ワインをストローで飲む彼女の姿はとてもシュールであり、キャラ立ちはできていると思うんだけど。愚痴はこぼすが、彼女にコーマの悪口を言うと、うっとりとした口調でコーマについて語りだした。

 本当に、あんな人形オタクのどこがいいのか。


 最後に僕が出会ったのは、コメットだった。

 僕は疑心にかられていた。コーマは底抜けのバカで、僕は奴のことを信用していると思っていた。だが、それでも不安だった。奴がどういう思いで僕のことを配下にしたのか。ただ、利用しているだけじゃないのか。


 だって、おかしいじゃないか。みんないい奴だと思うが、全員いい奴なんてありえるか?

 みんなして僕を利用しているんじゃないか?


 そう思うと、僕は知りたくなった。本当は僕のことをどう思っているのか。

 そのため、僕は彼女を利用することにした。

 僕の身体から伸びる糸を伸ばして彼女につける。

 コーマは知らない。他の皆も知らない。

 知っているのは、僕と一緒に行動していたあいつくらいだろう。


 コメットの意識を乗っ取ることに成功した僕は、彼女の持っていた収穫用の袋の中に僕の身体を入れさせる。

 ゴーレム以外を操ると、どうしても僕の身体が動かなくなるからなぁ。


 ちなみに、操っているとき、視覚と聴覚だけは共有できるようになる。ただし、遠くに離れたら制限時間が過ぎると操作できなくなるので、こうしてくっついている必要がある。


「あ、あ、よし。無事に操れてるな」


 コメットの手を前に出し、グー、パーと握り返す。

 うん、操れてるな。


「コメットちゃん!」

「ひっ」


 思わず声を掛けられて、声を上げた。

 振り返ると、そこにコーマがいた。

 えっと、コメットの口調をできる限り、トレースしよう。


「あ、コ……コーマ様?」


 こうして、僕はコーマと一緒に、買い物に行くことになった。



   ※※※



 結果、僕の疑心ははれ、罪悪感だけが残った。


「なるほど……様子がおかしいと思ったら、そういうことだったのか」


 事情を聞き終えたあと、コーマは嘆息混じりに呟き「いや、俺もいい加減に気付けよ」と自分に対してツッコミを入れていた。

 それに、僕は恐る恐る、


「怒ってないのか?」


 と尋ねた。普通に考えたら、仲間を操るなんて行為は裏切りと言える。


「いやぁ、ちらっとだけど、いいものが見えたしな」

「いいもの?」

「コメットちゃんのおへそとか」


 ……こいつ、本当にバカか?

 お前が頼めば、コメットならへそどころか、全部見せてくれるだろうに。


「とりあえず、コメットちゃんには謝って……いや、あの服は俺からのプレゼントにしたほうがいいか。明日もう一度同じコースで買い物をして……ま、それはそれで楽しみだな」


 コーマはあっけらかんに笑ってコメットの元に帰って行った。


 本当に……バカな奴らだ。

 まぁ、今回において、一番バカだったのは僕だったわけだが。


 さて、今日もゴーレム作るかな。

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