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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode06 日常閑話

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コーマのギルド試験~結成編~

今回から、しばらく試験官視点になります。

コーマは試験の中に登場する、謎のアイテムマスターとして登場します。


~前回のあらすじ~

コーマがギルドのランクアップ試験を受けることになった。

 俺――ギロンにとっては今日は記念すべき日になるはずだ。


 元々冒険者として名を馳せ、25歳にしてBランクに昇格、そのまま冒険者ギルドの職員になった。

 冒険者が冒険者ギルドの職員になることは決して珍しくない。もともと荒くれ者どもが集まる冒険者ギルド、その性質上、いざこざを解決するには武力が必要になるのは言わずもがなだ。レメリカ嬢があの性格で受付嬢という大任を任されているのは、その容姿もさることながら、俺でも恐らく敵わないであろう武力によるところが大きい。今の話はもちろん本人には言わない。その武力の餌食になりたくないからだ。間接的にも知られたくないので、俺はこの確信にも似た憶測は誰にも言わずに墓場まで持っていくつもりだ。


 おっと、話が横道にそれてしまった、とまるで誰かと話しているようだが、実際は俺一人だ。まぁ、こうして自問自答をするのが俺のライフスタイルなので、そこは勘弁してもらいたい、と誰に言うでもなく思っておく。話を戻すと、俺は今日、冒険者ギルドの職員として新たなステップを踏み出す時がやってきた。

 冒険者にとってランクがあるのと同様、職員にもランクというものがある。もちろんTOPはギルドマスターであり、それは不動の地位だ。一番下っ端は研修生であり、半年間は特例を除き誰でもこの役職が与えられる。俺も半年は雑用として頑張った。次にギルド職員。これはほぼ事務をしたり、門番をしたり、見回りをしたり、はたまた魔物の現れない迷宮10階層の見張りをしたりする。つまりはギルドで働く者の半数以上がギルド職員であり、世間一般的には「ギルドで働く人=ギルド職員」という認識になっていたりする。俺も今はギルド職員の肩書きであり、東の門で門番をしていた。


 次の役職が準戦闘職員だ。戦闘力があり、かつギルド職員として有能な者がなれる職業。調査団のサポートや、犯罪者の捜索や捕縛などをするのも準戦闘職員の仕事だ。

 ギルド職員の約10%がこの準戦闘職員である。

 そして、さらに上の役職が戦闘職員。がちで危ない仕事、調査団の指揮、凶悪犯罪者の捕縛、大量発生した魔物の殲滅活動におけるリーダー的役割をするのもこの戦闘職員であり、ギルド職員全体の1%にも満たない。レメリカ嬢もこの戦闘職員である。ちなみに、戦闘職員になるには、少なくとも冒険者としてAランク以上の実力が必要だと言うんだから、今の俺にはなることはできないと思う。


 今は準戦闘職員を目指す。そのための昇格試験が今日――行われる。

 ギルド職員になって5年目、30歳にしての昇格試験だ。腕が鳴るぜ。


「あのギロンさんでしょうか?」


 そう言って俺に声をかけてきたのは、ひょろっとした、15歳前後――まだガキじゃないかという年齢の黒髪の男だった。

 俺に声をかけてきたということは、そういうことなのだろう。


「ギルドランクアップ試験の参加者か?」

「はい、コーマと申します。本日からよろしくお願いします」


 頭を下げる男を見て、俺は露骨に表にこそ出さないが、怪訝な顔をした。


 今日の俺の仕事の内容は、冒険者ランクアップ試験の付き添いだ。

 冒険者ギルドのランクアップ試験は月に1度行われる。

 ランクF~Dには、依頼をこなしていったらなれるが、調査団に入団するのに最低必要なCランク以上になるにはこの試験を受けなくてはいけない。

 ラビスシティーでのランクアップ試験は、基本冒険者5人、準戦闘職員、もしくはそれに準じるギルド職員1人の構成で行われる迷宮の調査であり、その調査での活躍に応じてランクA~C、もしくはランクアップ不可に振り分けられる。

 試験は調査団と同様の行程で行われるため、遊び半分で来たら死ぬこともありえる。

 ただし、ランクアップ試験において、冒険者が死んだ場合は試験官として資質無しともとられ、俺の昇格が危うくなる。それ以上に、まだ若いこいつに死んでほしいと思わない。


(失格にはなるだろうが、生きて帰してやるよ)


 俺の人を見る目は確かだと思う。こいつはまだまだ未熟だが、立派になる。なにしろ冒険者は時間にルーズと言われ、かくいう俺もその一人だった。だが、こいつは一番に集合しているんだから、偉いな。少し遅刻しているが。他の奴も少しは見習えっていうんだ。まだ誰も来ていないじゃないか。

 集合時間過ぎてるだろ。


「ギロンさん。みなさんが待ってます、集合場所に行きましょう」

「え? 集合場所はここだろ? ガロン宝石商ラビスシティー店の前に集合って通達があっただあろうが」

「ガロン東宝石商に集合です。ここはガロン西宝石商なので。5分経ってもこないので迎えにきました」


 ……あれ? 確かにガロンという宝石屋は二つある。今は正午で、太陽は南にあるから……いやいや、こっちが東で合ってるはずだ。


 そう言ったら、「ガロン東宝石商とガロン西宝石商は名前は似ていますが、同系列の店ではなく、全く別の店なんです。ややこしくなるので、東から来た店をガロン東宝石商、西から来た店をガロン西宝石商として呼んでいるだけで、位置は逆なんですよ」と説明してくれた。それって逆にややこしいだろ!


「……急ぐぞ!」


 そして、俺は15分走って、25分の遅刻で集合場所にたどり着いた。

 ……にしてもコーマのやつ、集合時間の5分後に気付いてガロン西宝石商に来たって言ってたよな。こいつが来たのは集合時間の10分後だった。あの道を5分で走ってきたってのか? 俺が全力で走って15分かかった道のりを?

 しかも往復走っているにも関わらず、息一つ切れずに?


 振り向くと、コーマはけろっとした顔をしていた。

 どんな脚力とスタミナをしてやがるんだ?


 これは評価をプラスしておかないといけないな。


「遅くなって悪かった。これからお前等のランクアップのテストを行う試験官のギロンだ。冒険者上がりのギルド員でな、冒険者時代のランクはBだった。今日の受験者は全員ランクD以下だと聞いている、つまりお前たちよりランクが上になるわけだ。アドバイスできることも多いと思う。何かわからないことがあったら聞いてくれ、聞いたからといってお前たちを減点することはしない。むしろ何も聞かずに失敗するほうが俺は悪いと思っている。自分で考えることも冒険者には必要だが、それ以上に利用できるものは利用する、そして無傷で生還する、それが冒険者として一番大切なことだ。わかったな?」


 何人かは元気に返事してくれたが、半数以上は微妙な反応だ。まぁ、ここで返事できるような優等生ばかりじゃないのはわかってる。


「今日から数日間、早くて3日、長くて一週間、俺達6人は共同生活を行うことになる。助け合いも必要になるだろう。そのために、まずは自己紹介をしてくれ。お前からだ」


 俺はそう言って、一番左にいたローブを身にまとった魔導士風の、コーマと同じくひょろっとした、俺と同じ30歳くらいの男にいった。


「私の名前はヨンイチです。パーティー「ロバの耳」のサポート役をしていましたが、今はソロで活動しています。今はDランクの冒険者で、水と風の属性を持つ魔術師で、回復魔法も簡単なものですが使うことができます。よろしくお願いします」


 二属性持ちの三スキルか。魔法はスキルがないと使えない。特に攻撃魔法には一部を除いて属性があり、二つ以上の属性を持つことは稀だと言われている。魔法書を買い、後発的にスキルを得ることも可能だが、魔法書はとても貴重なアイテムなうえ、見つかっている魔法書は全て教会が管理しているため使うことができない。

 特に水魔法は飲み水の確保にもなり、回復魔法も使えるとなると、サポートとしてはけちのつけようがないくらい優秀だろう。

「ロバの耳」といえば、中堅パーティーとして有名だったが、最近は活動がうまくいっていないと聞いたことがある。もしかしたらヨンイチが抜けた穴を埋め切れていないのかもしれない。


「シグレだ」


 そう言ったのは、これまた細い体の女だった。長い黒髪で目元が良く見えないし、口を布で隠している。美人なのは間違いない。

 ただ、シグレに関してもまた有名人だ。カリアナのシノビという一族の末裔だと噂で聞いたことがある。

 謎は多いが、冒険者としての実力は一流で、今すぐにでもCランクに上がってもおかしくない逸材らしい。


「まるでクノイチみたいだな」


 コーマがぽつりとつぶやく。クノイチはシノビの女性の名称だったはずだ。


「それだけか?」

「ああ」

「そうか」

「ちっ、くだらねぇ。何が自己紹介だ。俺様はな、早くCランクになって調査団に入りたいだけだっていうのによ、女やガキ共と一緒にハイキングなんて行ってられるかって言うんだ」


 先ほどからイライラしていた髭面の巨漢の男が叫んだ。左目に大きな傷がある。


「協調性もまた試験の判断要素になるぞ。調査団には協調性のない人間はいらないぞ」

「ちっ。俺様はオーガだ。仇名だが、本名はない。ギルドにもオーガで登録している。元傭兵の斧使いだ。Dランクだ」


 順番をとばして、オーガが自己紹介を済ませた。

 飛ばされたコーマはのんきな顔をして、


「俺はコーマだ。元々鍛冶師で、今はアイテムマスターをしている。ランクはGだ」

「はぁ? ランクGだぁ? 言っておくがな、ガキ! 俺様達は遊びで来ているんじゃないんだぞっ! だいたい、アイテムマスターってなんだよ!」


 オーガがいきり立った声をあげた。

 確かに、ランクGがランクアップ試験を受けるなど前代未聞だな。ランクが上がるほど受験料は安くなる、つまりランクが低いほど受験料は高く、ランクGだと金貨を支払わないと試験を受けられないはずだ。なのに、ランクGで試験を受けるとは――もしやどこかの貴族の子供か? そんな風には見えないが。

 オーガに睨まれて顔色一つ変えないとは、大物なのか、それともただのバカなのか。


「……アイテムマスター……様々な道具を使い、サポートをする職種だと聞いたことがある。しかし、そなたは多くの道具を持っているようにはみえないが」

「あぁ、俺の鞄はアイテムバッグでな、結構便利な道具が入っているよ。あと鍛冶師もしているから、武器の手入れの希望があったら任せてくれ」


 シグレの問いに、コーマが答えた。アイテムバッグって、あれか。勇者相手に金貨50枚で売っていたっていうあれか。

 そんなものを持ち歩くとは、やはり金持ちの子供か。これが公正な試験でなければ減点1をしているところだが、貴族の子なら傷つけて帰したりしたらやっかいだろうなぁ。


「へっ、お前みたいなへなちょこゴボウに俺の大事な斧を預けられるかってんだ」

「あの、コーマさんって、もしかして勇者クリスティーナの従者のコーマさんですか?」


 そう尋ねたのはヨンイチだった。それに、コーマは「あぁ」と頷く。

 それを聞いて、俺も、そしてシグレも顔色を変えた。


 勇者クリスティーナ、閃光の二つ名を持つAランクの冒険者であり、勇者でもある。

 その従者か。


「へっ、従者っていっても、鍛冶師としてサポートしているだけだろ。役に立つわけじゃないぜ」

「でも、勇者の武器を手入れしている鍛冶師ならば、武器を安心して見てもらえますよ」

「はん、俺様は自分の目でみたものしか信じねぇ。俺が見た感じじゃ、こいつはしおれたきゅうりだ」


 ヨンイチとオーガが話し合っていた。


「これで自己紹介は終わったな。それじゃあ迷宮に進むぞ」

「……あのです」

「俺について――ん? そういえば受験生は5人のはずだが、1人足りないな」

「ここです」


 え?

 俺は声のしたほうを見た。

 すると、四人の陰に隠れて一人の「弓」がいた。

 違う、弓じゃない、弓を背負った短い茶髪の少女だ。身長1メートル程度しかないのに、1メートル以上ある長弓を持っている。


「ハーフリングのトヴィです。Dランクの冒険者です。弓矢が得意です。よろしくです」


 ハーフリングは人の倍は生きる長寿の生き物で、見た目は人よりも若い。彼女の実年齢はもしかしたら俺達より年上かもしれない。

 また、目がよく、弓矢の扱いが上手いという。

 

「ちっ、ガキ、へなちょこ、無口の次はチビのハーフリングかよ」

「ハーフリングは小さくないです! トヴィに言わせたらあなたたちが無駄に大きいだけです!」

「はんっ、つまりはお前らがチビっことだろうが」


 トヴィとオーガが言い合いになった。どうもオーガが問題を起こすようだな。


「オーガ、あまり問題を起こすようなら、試験開始前に不合格にするぞ」

「いいのか? 俺様がいなけりゃ、こいつらの面倒はあんた一人でしないといけないんだぞ?」

「別に問題ない。じゃあ、あんたのことは不合格にしておくぞ」

「わかったよ。ガキどもと仲良く遊ばしてもらうよ」


 ……こいつ、絶対にわかってないだろ。

 ただ、確かにやっかいなメンバーだな。

 オーガが帰ったら、前衛は俺とシグレの二人だけになる。

 明らかにヨンイチとトヴィは後衛だし、コーマはサポート員にしかならないと思う。シグレは前衛でもスピードタイプだからな、後衛とサポートを守りながら戦える戦士タイプの人間が俺以外に欲しいのは事実だ。

 本当に厄介な話だよ。


 だが、こんな困難を乗り越えてこそ、俺は準戦闘職員になれるんだ。

 まぁ、今回の試験場所は、かつて調査団が探索し、危険が少ないと判断された場所らしいからな。

 問題ないだろう。


「行くぞ、迷宮に!」


 俺は準戦闘職員の一歩を踏み出し、


「ギロンさん、逆ですよ」


 コーマに指摘されて踵を返した。

 準戦闘員への第一歩は盛大に後ろ向きに進んでしまったようだ。

~異世界のギルドについて~


 ギルドと当たり前のように使われる昨今です。

 異世界もののギルドについておさらいをしましょう。


(※注意 今から言うのは異世界の創作物において扱われるギルドであり、中世ヨーロッパのギルドとは別の物です)



 ギルドは、冒険者が仕事を求めて訪れる場所です。

 だいたい、異世界に召喚された人は、身分証明書をつくるために冒険者になります。


 ギルドに登録するには受付嬢(だいたい美人)の質問に答え、場合によっては力を測定するなどをすればいいです。

 そして発行されるのがギルドのメンバーカード。これが身分証明になります。中にはカードが記録媒体であり、魔道具である、なんていうこともあります。銀行のキャッシュカードみたいに使ったりすることも。

 発行手数料がかかることが多いです。再発行には発行手数料以上のお金が必要になることが多いです。


 ただし、ギルドに行くと、なぜかベテラン冒険者にいちゃもんをつけられるので気を付けましょう。


 ギルドメンバーにはランクがあって、成果があがればランクが上がり、受けられる依頼が増えます。

 物語によっては、ランクが上がると低ランクの依頼が受けられなくなります。


 だいたい、低ランクでの依頼として存在する「薬草採取」。

 薬草はどういうわけか大量生産できないようで、毎回のように依頼に出ます。


 あと、ゴブリン退治。どういうわけか異世界ではゴブリンは全滅しないようなので、毎回のように依頼に出ます。

 その「どういうわけか」は作者がいろいろと設定を考えているのでそれを見比べてみるのも楽しいかも。


 よくある依頼は以下の通り


・アイテム調達

・魔物退治(盗賊退治やドロップアイテム採取を含む)

・護衛依頼

・配送、配達、お届け依頼。(お使いクエスト)

・集団戦闘(ゴブリン殲滅や迷宮攻略、竜退治など)

・雑用、お手伝い(ペット探しやドブ掃除や家事手伝いや臨時のアルバイトみたいなの)

・賞金首や犯人の捜索、検挙(張り紙は貼られている)



 ランクは1から順番にあがっていったり、GからF・E・D・C・B・A・S・SSと上がっていったりします。

 ものによっては、金属の順番、アイアン⇒ブロンズ⇒シルバー⇒ゴールド⇒プラチナ⇒ミスリル⇒オリハルコンという風に上がっていくことも。それも立派な作品の個性です。

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