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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode05 緑の牢獄

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最強に抗う2本の剣と2本の短剣

~前回のあらすじ~

エントが復活した

「面白いぞ、お前。前よりも確実に強くなってるし、そっちのコボルトも強いじゃねぇか。世界は広いな」


 強くなっている。強い。

 そんな言葉はこっちからしたら皮肉にしか感じられない。

 毎日、力の神薬などを飲み続けて、力は何倍にも何十倍にもなっているはずなのに。

 それでも全く通用しない。


 相手の強さの底が見えない。

 

 最初からそんなことはわかってる。


「おい、こいよ」


 そうはいっても私達は簡単に攻撃することはできない。

 そもそも、私達の目的は時間稼ぎだから。


 タラがこちらを見てくる。

 正確には、私の腰にあるその武器をちらりと見た。


 おそらく、ベリアルの裏をかくことのできる唯一の武器。

 コーマ様から預かってるその武器。


「こないならこっちから行くぞ」


 ベリアルが一歩、また一歩とこちらに近付いてくる。

 足に力が込められた。

 詰められる――前にタラが地を蹴り、剣を薙いだ。

 だが、ベリアルは嬉しそうに跳ね、あろうことかその剣の上に乗ってタラを蹴飛ばす。私の方向に。


 私はタラがとんでくるのを見ながら、死角からナイフを投げる。


「こんなもん効かねぇ」


 ベリアルがナイフを楽々と受け止めた。

 その時――ナイフを受け取ったその手に血が飛び散った。


 もちろん、ベリアルの血だ。

 当たった……私はそれに歓喜する。


「おいおい、なかなかすげえな」


 ベリアルは笑いながら、右目に刺さったそのナイフを抜いた。

 私が放ったナイフはベリアルの右目にしっかり刺さっていた。


「見えないナイフか……面白れぇじゃないか。しかも無臭の毒まで塗ってるのか、少し痺れてるな。3時間は右目が使い物にならねぇ」


 見えないナイフ。これが私の奥の手。


……………………………………………………

裸の王様ダガー【短剣】 レア:★★★★


バカには見えないダガー。バカじゃない人には見えます。

判断の基準は短剣の気分で決まります。 

……………………………………………………


 ベリアルに通じるかはわからなかったが、コーマ様からもしかしたら使えるんじゃないか? と言われて預かっていたそのナイフ。

 私にもタラにも普通に見えていました。


 正直通じるか半信半疑でしたが、これでなんとかなるかもしれない。

 致死性の毒が通じないうえ3時間で治るというのには驚きだけど、片目なら遠近感がわからなくなり、相手の攻撃はあたりにくく、こっちの攻撃はあたりやすくなる。

 

 そう思ったのに――そう思っただけだった。


 目の前のベリアルが消えた。

 そう思ったのは、私が飛ばされて木に激突した時だった。


「やっぱり調子でねぇなぁ。寸止めに終わらせる予定だったんだが、掠っちまったか」


 霞む意識の中、タラがベリアルに斬りかかるのが見えた。

 そして、それはあっけなくかわされ、アッパーを――今度こそ寸止めでしたのだろう。

 空気による衝撃でタラが上に飛んだ。


「だいぶコツがつかめて来たな」


 落ちてきたタラを掴み、ベリアルはその身体を蹴飛ばした。

 これが……ベリアルの本気。


 さっきまで、全然本気をだしていなかったっていうの?

 しかも、まだ獣化もしていないのに。


「さて、どうしたものか。リベンジを待つのも悪くないが、どっちか一匹殺しておくか」


 ベリアルが不敵な笑みを浮かべ、私とタラを見比べる。


「復讐に憑りつかれたほうが強くなるかもしれないしな。そうだな……メスコボルトのほうは俺様に手傷を与えたわけだから、褒美に――」


 ベリアルはタラを見据え、


「メスコボルトのほうを先に殺してやるか」


 近づいてくる。

 2度目の死の足音が。


 それでも、やれることはやった。

 あのとき、今の私の半分である人間だったコメットが、タラの半分のゴーリキに殺された時とは違う。

 やれるべきことをやった。


 ただ、心残りはやっぱりコーマ様だ。

 私が死んだ時。コーマ様が魔王城で苦しんでいたのを私は見ていた。

 グーとして、そして魂の存在として。


「……タラ……伝えて……お願い」


 私は倒れて動けないタラに言った。


「……コメットのことを褒めてくださいと。苦しまないでくださいと」


 私はそう言い、そのまま死を待つのみかと思った。

 だが――


「諦めるのはまだ早いですわっ!」


 一本の剣が駆け抜けた。

 ベリアルがその剣を指で受け止めた。


「なんだ? お前も俺様と遊びたいのか?」

「……最強の魔王ベリアル。貴方と遊ぶつもりは毛頭ございませんわ」


 エリエールさんがその手を離した――刹那、剣がまばゆい光を放った。それに私は思わず目が眩む。

 その時、私の身体が持ち上げられた。

 エリエールさんが私を持ち上げたのだ。おそらくエリエールさんはその後タラを助けて逃げるつもりなんだろう。


 だが――、


「おいおい、俺様の獲物をどこに持っていくつもりだ」


 光がおさまった時、目の前にいたのは悪夢でしかなかった。

 回り込まれていた。


「もう面倒だ。全員殺すか……」


 万策尽きた……かに思われた。

 だが――世界が揺れた。

 何が起こっているのかわからない。大地の揺れとともに、木々から鳥が飛び立つ音が聞こえた。


「……ちっ、時間切れか」


 ベリアルはそう言うと、私達のことを一瞥し、


「また遊ぼうぜ」


 そう言ってベリアルが消えた。

 普通に走って去ったのだろうが、私には消えるように見えた。


 ……助かったの?


 そう思った――だが、そうじゃないことはすぐにわかってしまった。


「……なんですの……この気配は」


 わかりません。わかりませんが、嫌な気がしました。

 エリエールさんの持っていた癒しの剣で斬られて回復した私とタラは、近くの木を登り、それを見ました。


 木が……西の空を覆い尽くすほどに広がっていた。

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