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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode05 緑の牢獄

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種の中に眠る悪夢

~前回のあらすじ~

クリスは調査団を助けた。

 ドリーは言った。

 捕らわれているのは自分なんだと。

 ここは彼女にとって牢獄なのだと。


「牢獄? どういうことか説明してくれ」


 木が地に根付いているのは、彼女の意志じゃなく根付いていて動けないってことか?

 それなら掘り起こせば……んー、土の部分は掘り起こせるが、迷宮部分の部分にまで根付いていたら無理だ。


 迷宮は壊すことができない。

 普通に考えれば、壊すことができないなら根付くことも不可能のはずだが――、


 天井を貫くように伸びている木。ていうか、明らかに迷宮の天井を貫いているだろうそれを見ると、例外というものが存在するらしい。

 もしかしたら、彼女の木は例外なのかもしれない。

 天井を貫いているのだから、突出した存在、というほうがいいかもしれない。

 魔王だから、迷宮の主だからなのか。


 それとも、この迷宮の魔力を吸収し続けた木だからだろうか?

 考えは推測の域を出ない。

 だから、彼女の答えを待った。

 答えを待って答えを考え、また答えを待った。


 そして、彼女はその重い口を開いた。


「……私は……この子に捕らわれているんです」


 この子。

 ユグドラシルの種。

 世界樹の種。

 72財宝の一つの種。

 魔力のこもった種。

 ドリーに守られた種。


 ドリーを捕らえているという種。


「ユグドラシルの種に捕らえられている?」


 ユグドラシルの種を持っているのはドリーだろ?

 そういえば、ドリーはユグドラシルの種から魔王の力を貰ったと言っていた。

 その時は、俺のようだと思った。

 72財宝の一つ、死者の杯から力を貰い、魔王となってしまった俺と同じだと。

 望まぬ形で、望まぬ力を貰った俺と同じだと思った。


 だが、彼女はさらに、ユグドラシルの種に呼ばれたと言った。

 ユグドラシルの種に意志がある、ということだ。


「……ユグドラシルの種に意志が……あるってことなのか?」


 アイテムの意志がある。

 それは考えたこともなかった。

 俺が作った魔法生物のスライムも、命令には従うが、意志のようなものはまるで感じない。

 意志があるように見えるアイテムがあるとしたら、アレくらいなものだが。

 でも、アレもそのように見えるものなのだろう。


「その種にはあるわよ。意志が。ようやく思い出した。その種がなんなのか」


 答えたのは……ドリーではなくルシルだった。


「木の魔王。私はドリー以外にもう一人知っている」

「もう一人?」

「木の魔王エント。お父様から聞いたことがあるわ。とても強大な魔王よ。世界中の植物系の魔物は彼に作られた」


 それは……なんとも凄い話だ。

 植物系の魔物がどれだけいるかわからないけど。

 でも、人間は、全ての生き物は植物がないと生きていけないといわれるし。


「その魔王がどうしたんだ?」

「死者の杯のお父様の前の持ち主だったの」


 え?


「え?」


 思ったことをそのまま告げてしまった。


「そして、エントを殺したのがお父様らしいの」

「……そうなのか。ん? ルシルは直接見てないのか?」

「見ていないわ。言ったでしょ。聞いただけだって。それで、死者の杯の中はエントの力で満ちたの。他の何も入らないほどに」


 待ってくれ、話が見えてきた。

 見えてきてしまった。


 俺が飲んだのは、エントの力ではない。ルシファーの力だ。


 だとしたら、エントの力はどこにいった?

 

「エントの力をそのまま捨てるわけにはいかなかった。封じる器が必要だったのよ」

「……それで、封じたのか?」


 俺が訊ねた。

 ルシルに。


「ええ。私が封じたから間違いないわ。お父様に処分してもらったけど」


 ルシルは言う。

 最初に見たときに思い出せなかったことを不覚に思うかのように。


「確かに、私がエントの力を封じた種は、それと同じ形をしていたわ」


 つまり、魔力が溜まるということは。

 エントが復活するということなのか。


「ルシル……そのエントってのは、話が通じる奴なのか?」

「優しい魔王だったそうよ。植物に対しては。植物を傷つける生物を全力で潰すそうだけど」

「あぁ、じゃあ植物を伐採する人間とか、野菜を食べる俺とかは嫌いってことだよな」


 ベジタリアンを気取るつもりはないし、肉のほうが好きだが。

 それでも野菜を全く食べないわけではない。


 人間の出す炭酸ガスや排泄物が植物の栄養になるというが、それ以上に生物は植物を食べる生き物だ。

 てことは、やっぱり敵ということだ。


「ドリー! そのユグドラシルの種をすぐに離せ!」

「ダメ! この子を離したら、私は二度と元に戻れない! それだけはできない!」


 ドリーが種を抱くようにして叫ぶ。


「もう少しなの! もう少しでこの子が復活するの! だから、お願い、それまで私を守って!」

「悪いができない相談だ」


 できることならドリーも助けたいがそんなことは言っていられない。

 俺はアイテムバッグから轟雷の杖を取り出して、叫んだ。


「雷よ!」


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