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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode05 緑の牢獄

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リンゴの木に生る魔物達

~前回のあらすじ~

川へぴょーん!

「とりあえず、コーマさんに助けを求めたし、私は……」


 剣を構えながらも嘆息を漏らします。

 迷宮の中。

 そう、ここは迷宮の中です。ラビスシティー以外に存在しないはずの迷宮。

 それが、まさか谷の下にあるとは思ってもみませんでした。


 迷宮には四つの特徴があります。

 まず、第一に。全ての迷宮はラビスシティーの中央にある入り口から通じています。

 この時点で、ここが迷宮と呼ぶのは難しいのですが。


 ですが、残り三つ。

 一つ、迷宮の中は壁や天井が淡い光を放つ。

 これは満たしています。淡い緑の光が放っています。おかげで、松明やランタンの必要はありません。

 迷宮の光を浴びて成長した多くの植物が生い茂る迷宮です。


 一つ、迷宮にいる魔物を倒すと魔石を落とす。

 伸び来る蔦を切り落としながら、私はその蔦の根元を目指します。

 リンゴの木、そのうちの一つが蔦の根元だと理解した私はそのリンゴの実を剣で真っ二つにしました。

 上下二つに分かれたリンゴの実は、リンゴの実らしからぬ「ぎょえぇぇぇぇっ!」という悲鳴を上げて消えました。

 残ったのは、種と魔石です。魔物が魔石を落とす、迷宮である二つ目の根拠。


 一つ、迷宮には多くの魔物がいる。

 リンゴの魔物を倒して一安心しようとした私ですが、今度は複数の蔦が伸びてきた。

 あぁ、もう! リンゴの木に魔物が混じっているのかと思ったら、木に生っているリンゴが全部魔物ってことですか!

 蔦を切り刻みながら、リンゴの魔物から距離を取り、左手だけに剣を持つと、右手でアイテムバッグからナイフを取り出して、5本同時に投げました。

 3本が命中、1本は外し、1本は魔物の蔦により阻まれました。

 んー、スーさんが以前やっていたのを見様見真似でしましたが、やっぱり一朝一夕で身に付く物ではありませんね。


 リンゴの魔物の数は残り18個で、リンゴ1個につき蔓が2本ありますから……とにかくいっぱいの蔓を相手に戦わないといけません!


 四方八方から伸びてくる蔓を斬りながら、今度は前進して距離をつめます。途中でナイフの刺さった蔓を見つけ、そのナイフを取って重なっているリンゴに向かって投げました。

 ナイフは勢いよく一個目のリンゴを突き刺し、さらにその奥のリンゴまで仕留めました。


 蔓が4本消え、道ができました。

 私は迫りくる蔓の隙間を縫うように樹に近付き、リンゴを1個1個潰していき――そのたびに蔓の数は減っていき私の行動にも余裕が出てきました。

 最後の1個を潰し、とりあえずこれで一安心。


 ……ですが、このまま助けが来るまで待っていないといけないとなると、私の体力が持つかどうか。

 ここの場所を調べ、調査隊を派遣するまで何日かかるかわかりません。


 魔石を拾いながら、私は再び嘆息を漏らしました。

 一人なのは、お父さんが死んでから慣れていたはずなのに……ダメですね。

 サイモンさんと出会ってから、リーリエちゃんと出会ってから、コーマさんと出会ってから、フリーマーケットの寮に住んでから、一人でいる時間が減ったせいでしょうか。

 ……少し、寂しいですね。


 ははは、勇者は孤独な職業だって、お父さんも言っていたのに。

 こんなんじゃ、天国のお父さんに笑われてしまいますね。


「クリス、あぶねぇぇっ!」


 え?

 後ろから走ってくる足音が聞こえ、振り向くとリンゴの魔物が生っていた木が枝を私に伸ばしていました。

 この木もまた魔物だったようで――


 その魔物は、今、私の目の前で真っ二つになり、横に倒れる木の向こうにいたのは……コーマさんでした。


「おぉ、良い木材じゃん。これ、杖とかの材料になるのか」


 コーマさんはそう言って、木の魔物が落としたドロップアイテムを拾ってアイテムバッグの中にしまいます。

 え? なんで?


「なんでコーマさんがここにいるんですか?」

「いや、お前を放っておいたら何をしでかすかわからないからな。悪い、遅れて」


 コーマさんはポリポリと頭をかいて、私に笑いかけました。


「コーマさん、びしょびしょ……まさか、川の中に飛び降りたんですか?」

「ああ、背中から着水してさ、痛かったぁぁ」

「そうじゃなくて、なんでそんな無茶を――」

「ま、まぁ、俺はお前の従者だからな……主を守るくらいするさ」


 ドキン……っ!


 え? な、なんでしょう、この胸の鼓動の高鳴り。

 ……もしかして、風邪でしょうか?


「それより、クリス。とっとと帰るぞ」

「え? 帰るってどうやって?」


 私が訊ねると、コーマさんが二つの小石を取り出した。


「石?」

「これは転移石って言って、転移陣に入るときに使うと、使ったことがある転移陣に飛ぶことができるんだ」

「へぇ、そんな便利なものがあったんですか。でも、転移陣なんてありませんよ?」

「それは大丈夫だ」


 コーマさんは、今度はアイテムバッグから大きな布を取り出しました。


「これは持ち運び転移陣と言って、どこにでも持ち運ぶことができる転移陣だ」


 そう言ってコーマさんは布を広げました。

 完全に広げると、布に描かれた魔法陣が青い光を放っています。

 持ち運べる転移陣……こんなものが本当にあるなんて。


 世紀の大発明と言っても過言ではない気がしますが。


「これを使ってラビスシティーに戻るぞ」


 ラビスシティーに戻る?

 あ、それはダメです。おそらく、この迷宮にはまだ調査隊の人がいて、その人たちを助けないと――と言おうとしたとき、魔法陣が強く輝きました。

 そして、その光の中から――人影が二つ。


「はぁ、やっと私達の番ね。もう、コーマ、待たせ過ぎよ」

「コーマお兄ちゃん、カリーヌ来たよ」


 ……え?


 蒼の迷宮で出会ったルシルちゃんと、半透明の女の子が魔法陣から突然現れました。


 ……え?

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