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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode05 緑の牢獄

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崖の下のクリス

~前回のあらすじ~

クリスは調査団捜索の依頼を受けた。

 食糧や薬などのアイテムは十分な量がありますから、調査隊の人が行方不明になったという場所に行く準備はあまり必要としません。

 なので、最低限の買い物だけして目的の場所を目指しましょう。


 そう思い、まずは果物でも買おうかと思い、食料品店を目指しました。

 アイテムバッグの中にも入っていますが、この国でしか売ってない果物もありますから。


 予約しただけで結局利用しなかった宿屋の横の食品店で買い物をすることにしました。

 多くの果物が並んでいます

 んー、どれもみずみずしくて美味しそうなんですが、どれがいいのかわかりません。

 店主の人に尋ねることしました。

 50歳くらいのふくよかな女性で、とても話しやすい雰囲気を出しています。

 

「あの、簡単に食べれる甘い果物ってあります?」

「おや、見ない顔だね。旅の人かい?」

「あ、私、クリスといいます。この町へは――」

「クリスっ!? あんた、勇者クリスティーナかい!?」


 え? 


「あ、はい、そうですけど」

「みんなぁ! 勇者クリスティーナだよぉぉっ!」


 え? え?


 彼女が叫ぶと、多くの人がこっちに注目して「昨日はありがとー」とか「美味しかったぞ!」とか、「子供も将来はクリス様のような勇者になりたいと申していました」などお礼を言っていきます。

 全く感謝される身に覚えがないんですが。


「あ、あの、私、何かしちゃいました?」

「何言ってんだい、あんたが昨日、町中の人を集めて世界の料理を集めたパーティーを開いただろ? もう全員大喜びさ」


 パーティー?

 開いた覚えは全くないんですが、身に覚えのないことで感謝をされるのは、思えば初めてではありません。

 私の名前を使って、孤児院の子供たちに玩具をプレゼントしている人がいました。


「…………あの、もしかして、それを仕切ってたの、コーマって人じゃないですか?」

「そうだよ、従者なんだろ?」


 ……コーマさん……また私の名前を勝手に使って面白そうなことを……。

 世界の料理って何ですかっ!? 

 そもそも、コーマさん、私の借金に関しては銅貨単位までシビアなのに、なんで私以外には気前がいいんですか。


「クリス様、これとこれとこれ、持っていきな」


 店主さんが次々と果物を渡してきます。

 どれもおいしそうですが――


「え? こんなに!? 悪いですよ」

「いいのよ。私達全員儲けさせてもらったから、このくらいは」


 その後も、多くの人が来て、


「うちの肉も!」

「俺の野菜も!」

「この酒を!」


 と次々とアイテムバッグに入れていきます。

 そろそろ容量がいっぱいになりそうだと、それ以上は断りましたが……。


 感謝の重み……本当にコーマさんは私以上に勇者をやってる人です。

 お金の力なんかじゃありません、この人達の笑顔を見たら、きっとコーマさんのしたことが本当にこの町の人に元気を分け与えたことがわかります。

 私も……勇者として負けないように頑張らないと!


 そう決意し、森の中へ入っていき――迷子になりました。



   ※※※



『というわけで迷宮を見つけたんです』

「余計な説明が長すぎる! お前、自分がどこにいるのかわからないのか!?」


 クリスからの説明を聞き終えた俺は、クリスが道に迷って迷って迷った挙句、川に落ちてしまって、迷宮にたどり着いたと。

 しかも、谷の底のため、簡単には元の場所に戻れないとか。

 うん、バカだ。ていうか、そんなのでよく冒険者や勇者をやっていられるな。


「あの、コーマ様。そういうことでしたら、このコメットさんに追ってもらったらどうでしょう?」


 エリエールが俺達の話を聞いていたらしく、提案してきた。

 確かに、コボルトの鼻なら、クリスの匂いを辿ることは可能だろう。

 獣人も犬並みの嗅覚を持つというから、エリエールはそのため提案してきたのだろう。


 コメットちゃんとタラをクリスに会わせるのはややこしくなりそうだが、背に腹は代えられないか。


「できるか? コメットちゃん」

「クリス様の匂いのするものがあれば、なんとか」


 クリスの匂いのするものか。

 俺はアイテムバッグの中を探り、クリスが最初につけていた皮の鎧を取り出す。

 俺が作った軽鉄の鎧を着るまであいつが着ていた鎧だ。


 コメットちゃんはその皮の鎧の匂いを嗅ぎ、


「こっちです!」


 すぐにクリスの居場所を見つけたようだ。

 森の木々をかき分けて進む。

 町の周囲の穏やかな森の雰囲気ではなく、熱帯雨林のジャングルのような場所になった。

 太陽の光もない場所。

 途中でクリスの足跡があった。それを辿って俺達はさらに森の奥へと進む。

 そこで俺はあるものを見つけた。


 ……別の足跡?


 足跡がある。人間のものではあるが、クリスのものではない。

 なぜなら、その足跡は裸足のものだった。


 誰かが最近、このあたりを通ったのだろうか?

 その横にもっと新しい足跡がある。こっちはクリスのものだろう。


「コメットちゃん、ここに足跡があるんだが、この匂いはどこに続いているかわかるか?」

「え……ちょっと待ってくださいね」


 コメットちゃんは屈んで匂いを嗅ぐ。

 ……なんか悪いことをさせているみたいな背徳感がある。


「あれ? この匂いも同じ方向に続いていますね」


 そういえば、クリスは調査団を探していると言ってたな。

 足跡を見つけてそれを辿って行った、ということか。


「足跡から推測すると、身長150センチくらいの女性ですわね。間隔からみると、かなり全力で走っているようですわ」


 エリエールがそう告げる。

 足跡だけでそこまでわかるのか。もしかして、この人は鑑識かなにかか?

 彼女は人間の足跡とは別の獣の足跡を見て、


「おそらく、この狼に追われていたのでしょうね」


 なるほど。狼に追われている女性……か。

 それも注意し、俺達はさらに森の奥に進み、そこで森を抜ける。

 そこは崖だった。


「……クリス様もさっきの足跡の人も、ここから落ちたそうです」


 あぁ、確かに走っていたら落ちてしまいそうになるな。


「ここまでわかれば十分ですわ。すぐにギルドに報告して、崖の下の捜索を致しましょう」


 エリエールの言うことはもっともだ。

 だが、ベリアルの狙いがわからない以上、一刻も早くクリスと合流して脱出しないといけない。

 俺は水の中でも呼吸できるエラ呼吸ポーションを飲んだ。

 相変わらず魚臭い。


「コメットちゃん、タラ、エリエールさんを頼む」

 

 俺はそう言い、崖の上からダイブした。


「え? コーマ様!?」

 

 頭の上からエリエールの声が聞こえたので、俺は親指を立てて落ちて行った。


 結局、俺もバカのようだ。

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