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異世界でアイテムコレクター  作者: 時野洋輔@アニメ化企画進行中
Episode05 緑の牢獄

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酔い止めの南天葉は効果なし

~前回のあらすじ~

いざ、リーリウム国へ!

 ……世界に絶望があるのなら、まさにこの時間なのだろう。


 ……世界に地獄があるのなら、まさにこの場所なのだろう。


 視界が霞み、涙が出て、胃の内容物がこみ上げてくる。


 身体が小刻みに揺れ、節々が痛い。


 もう、死んでしまいたい。


 それほどまでに……キモチワルイ。


「コーマさん、大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃない……てか、馬車ってなんでこんなに酔うんだ」


 地竜ランドドラゴンに乗ったときも、船に乗ったときもこれほど酔ったことがない。

 正直、甘く見ていた。


 アルティメットポーションを飲めば症状は回復するが、三十分したらまた気分が悪くなる。

 酔い止めの薬はレシピの中に存在したが、クリスが見ている横で作る訳にもいかない。

 勇者特権のおかげで貸し切り馬車とはいえ、クリスが真横にいるからな。

 せめて彼女が寝るまで待たないと。


 唯一できることといえば、アイテムバッグの中に入ってあった南天の葉を噛むくらいなものだ。


……………………………………………………

南天葉【素材】 レア:★


南天の木の葉。乾燥させて噛むと酔い止めとして効果がある。

大量に摂取すると毒にもなる。腐敗防止効果もある。

……………………………………………………


 あまり効果が出ているとは言い辛い。

 それほどまでに馬車の揺れがひどい。

 尻が痛い。


「でも、南天の葉を用意しているのは流石ですね」

「……偶然だ……目につく葉っぱは全部採取したから……うぷっ」


 気分が悪い。

 全く、なんでリーリウム国には地竜ランドドラゴンが入れないんだ?

 いや、まぁ、こんな森の中の細い道だと地竜が入れないのはわかるが。


 このリーリウム国は、コースフィールドの西にある。

 ここからさらに西に行けばカリアナ国になる。

 日本のような文化のある国らしいが、馬車に乗る時間が増えるのなら行きたくないな。


「……クリス、気晴らしに、リーリウム国の説明してくれないか?」

「あ、はい。リーリウム国は国土の8割が森に覆われた国です。そのため多くの動植物が生息しています」


 8割が森って、日本以上だな。


「そのため、国土の3割が未開の地ともいわれ、毎年多くの研究者が森に入って消息不明に陥っています」


 ひどいな、それ。

 富士の樹海のような感じか。まぁ、実は富士の樹海って、方位磁石も普通に使えたり、携帯が圏内だったりするんだけどな。


 植物系のアイテムを採取するには良い国ってことか。

 馬車に乗ってなかったら「空気がおいしい」とか言うんだろうが、今の俺の空気は胃液の味だ。


 でも、観光にはちょうどいいかもしれないな。

 森が多いというのなら、カリーヌをそっと呼んでもいいかもしれない。

 自然の多い場所が好きだと言っていたからな。


   ※※※


「ねぇ、コーマ、今度はリーリウム国に行くの……私も――」

「俺は仕事で行くんだ! いつもいつも呼んでいられないぞ!」


 ルシルの要望を先読みして、俺は叫んだ。


「そもそも、お前が来たら、誰が留守番するんだよ。言っただろ、いつ迷宮に調査が入るかわからないって」

「大丈夫よ、そんなことがあろうかと――」

「呼ばれました」


 マユがウォータースライムを顔にかぶって話す。もう、彼女はウォータースライムとワンセットだな。


「今回は、私とマユ、コメットちゃんとタラの2組で交代で遊ぶことにしたの」

「したのって、決定事項みたいに――」

「ルシル様、旅行の準備できました」

「……某は森の中でできる修行を楽しみにしている」


 コメットちゃんとタラが大きな荷物を持ってやってきた。

 ……なんでだ?

 俺がリーリウム国に行くって話したのはついさっきのことだ。  

 なんでそんなに準備が早いんだ?


「……やっぱりダメだ! 今は大事な時期だし、やっぱり万全の態勢で――」

「コーマお兄ちゃん、カリーヌも森林浴したい」

「万全の態勢で森林浴を楽しまないとな! スライム用の日焼け止めって確かレシピにあったよな」


 俺の変わり身に他の女性三人がじと目で俺を見てくるが……仕方ないじゃないか。

 カリーヌは前回は留守番だったんだし。

 今回くらい楽しませてあげたいというのが兄心だろ!


   ※※※


 クリスの説明を聞いて、この分だと、カリーヌを呼んでも平気そうだと思った。

 それにしてもクリスのくせにやけにこの国について詳しいな。


「やけに勉強してるな」

「えっと、前にこの国に1年くらい住んでいたので」


 へぇ、この国に住んでいたのか。

 そういえば、クリスがラビスシティーに来るまで、サイモンという男といた、という話の他は何も知らないな。


「クリスが指名されたのもそのためか?」

「ええと……その、リーリウム国のリーリエ女王陛下と少し顔見知りなんです」

「へぇ、一体どんな悪いことをしたんだ?」 


「なんで私が犯罪者として女王陛下の前に引っ立てられたと思うんですか!」とクリスが反論する……と思ったのだが。

 クリスは口を噤んだ。


「……クリス、冗談だぞ……ってやべ、南天の葉食っちまった」


 噛んでいただけのはずの南天葉の一部が喉の中に入る。

 残りの南天葉を一度出して、水筒をアイテムバッグから取り出し、うがいして馬車から外に吐きだした。


「あの、その、冗談じゃないんです」

「え?」


 冗談じゃない?

 どういうことだ?


「コーマさんには話しておきますね。私、この国で……山賊をしたんです」


 山賊?

 山賊って、あの、山にいる盗賊だよな? 海にいたら海賊で、山にいたら山賊だっていう山賊だよな?

 クリスがその山賊?

 斧を持ってるイメージの山賊?


「おかしいな、今日はエイプリルフールだったかな」

「エイプリ? すみません、それはわかりませんが、本当のことです」


 マジか……クリスが山賊。

 想像したら、優秀かまぬけかわからない山賊像が浮かび上がる。


「で、山賊なのになんでリーリエ女王と知り合いになったんだ?」

「私は山賊として、リーリエ女王陛下を誘拐したんです」


 …………は?

 その関係は絶対「少し顔見知り」じゃないだろ!

 どう聞いても犯罪の加害者と被害者の関係じゃないか!


 うっ、心の中でツッコミを入れたらさらに気分が悪くなった。

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