閑話5 異世界の鍛冶師物語
~前回のあらすじ~
鍛冶工房が完成しました。
【本日の目標:銅の剣を作ってみよう!】
さて、ようやく完成した俺の工房。
鍛冶工房。
え? なんで鍛冶工房なんて今更作るのかって?
だって、俺、一応表向きは鍛冶師ってことになってるのに、金もあるのに鍛冶工房を持ってないって不自然だろ?
というわけで、鍛冶工房を自分なりに作ったわけだ。
ちなみに、部屋全体が熱に対する耐性が強く、また空調システムを取り入れていつでも室内の温度を調整できるようにした。
完璧すぎるよな。
実は、一度普通の建築資材で作った結果、床と壁が熱と重みで耐え切れずに建物が崩壊しかけたとか失敗はあったが、それでもなんとかここまで作り直すことができた。
一日で2回建物を作るとか、本当に鬼のような作業だった。
でも、まぁ今思えばいい思い出だよな。
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竜骨炉【魔道具】 レア:★×6
高温を出す装置。最低100度から最高4000度まで熱せられる。
これさえあれば、どんな金属でもドロドロに溶かせる。
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白金金床【雑貨】 レア:★★★★
この上に熱した金属を置き、ハンマーで叩いて加工する。
白金の名は伊達じゃない。最高の金床です。
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火炎ハサミの角【素材】 レア:★★★
火の耐性の強いクワガタの角。鋏の形をしている。
その形と耐久性から、鍛冶師の矢床としても使える。
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プラチナハンマー【槌】 レア:★×5
白金のハンマー。とても重い。
金よりも重いこの槌を扱うにはかなりの力が必要。
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竜の鱗手袋【雑貨】 レア:★×6
竜の鱗で作られた手袋。
とても高い魔法抵抗と耐熱性を誇る。
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箱ふいご【雑貨】 レア:★★
風を送る道具。押しても引いても風が出ます。
炉の熱を上げるのにどうぞ。
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とりあえず作ってみましたシリーズ。
そして、もう一つ、大切なものが。
『鍛冶ノススメ』
前に読んだ『錬金術ノススメ』の鍛冶師バージョンだ。
これらの道具も、この本により揃えた。
そして、箱ふいごなんだが、竜骨炉は普通の炉ではなく魔道具で、火の温度調整も楽々可能なので使わないことが判明。
幸先は不安だが、とりあえずやってみるか。
材料をそろえた上で読んでみる。
『材料を揃える前に確認してください。あなたは鍛冶スキルを持っていますか?』
はい?
『鍛冶スキルがなくても鍛冶作業は可能ですが、この本は鍛冶スキルを持っている人向けの本です』
『もし鍛冶スキルがないのならば、当社から発売の『猿でもできる鍛冶作業』をお買い求めください』
聞いてねぇよっ!
ていうか、必要な道具一覧を出す前にこの注意事項をかいておけよ。
どうしたものか?
【×××より、鍛冶スキルを派生取得可能です。取得しますか?】
と思っていたら、久しぶりに叡智スキルからの囁きが。
×××は、アイテムクリエイトのことだろう。
そうか、そんなに簡単にスキルを取得する手段があったのか。
叡智スキルグッジョブだ!
ていうか、叡智スキルがなかったら永遠に気付かなかったんじゃないのか?
【鍛冶スキルレベル10を覚えました】
……そんなに簡単にスキルがレベル10になる手段があったのか。
ていうか、アイテムクリエイト無敵すぎね?
流石にステータスアップはなかった。
いや、本当はレベル1を取得して、レベルを上げていくたびに強くなるシステムのほうがよかったんだけど。
まぁ、文句を言っても始まらない。
とりあえず、鍛冶スキルは手に入れた。
『鍛冶スキルはありましたか? では、鍛冶を始めましょう。鍛冶は錬金術と違ってレシピは必要ありません。必要なのは、素材、道具、イメージ力、筋力、スキルレベルの5つです』
レシピが必要じゃないのは普通に助かるな。
いちいち作るのが面倒だから。
『では、手始めに青銅のインゴットを用意してください。青銅のインゴットを矢床を使い、図のように炉の中に入れましょう』
なんで銅を作るのに青銅を使うのか?
というのも、銅は本来は柔らかく錆びやすい、武器に向かない素材だからだ。そのため、銅の剣には、青銅を使われる。
あと、鍛冶スキルがないなら、鋳型に流し込んで作るのが一般的らしい。
隣のサフラン雑貨店で販売している銅の剣もそうやって作られたものだ。
だが、型に流し込んで作るだけの剣は切れ味が悪く、斬るというより殴る剣になってしまうから、こうして鍛冶スキルを使って作る銅の剣のほうが高価らしい。
俺は耐熱手袋として竜の鱗手袋をはめ、青銅のインゴットを温度調整をした炉の中に。
一定時間が経過し、取り出すと赤く熱せられた青銅が出てくるので、素早く打つ。
『剣のイメージを持ってハンマーで叩きましょう。鍛冶スキルレベル1があれば50回打てば剣の形になります』
結構面倒だな。でもやってみるか。
俺はそう思い、まずは一発、ハンマーを振り下ろした。
一瞬で青銅のインゴットは剣の形に仕上がった。
あぁ、俺、鍛冶スキルもそうだが、力の神薬のおかげで、筋力もかなり高いからな。
ま、まぁ、できたならいいか。
『剣の形に仕上がれば、お湯に入れましょう。お湯の代わりにハチミツやポーションを使っても効果的です』
刀鍛冶で弟子がお湯の温度を知ろうとしたら、腕を切り落とされてしまう。それくらいお湯の温度というのは重要なのだ。
まぁ、今日は初めてだから、温度とか適当にしたけど。
ということで、俺は少し暖かめのポーションの入った瓶に剣を入れた。
そして、ついに銅の剣ができあがる。
そうか、銅の剣ってこうやって作られていたのか。
いろいろ手順が端折られた気がするが、でも、こうやって作ってみるとかなり感慨深い気持ちに……
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癒しの剣【魔法剣】 レア:★×5
斬った相手の傷を癒す魔法の剣。
斬れば斬るほど回復していきます。
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「なんでだぁぁぁぁぁっ!」
俺は思わず叫んでいた。
ポーションの代わりに使ったアルティメットポーションが原因だというのはすぐにわかったのだが……アルティメットポーションを使わなくても、
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銅の剣改【剣】 レア:★★★★
銅の剣を鍛えに鍛えて作られた剣。
あなたは本当の銅の剣を知ることになる。
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……ま、まぁ、まだ二回目だし、仕方ないよな、うん。
結局、銅の剣ができるまで、12回鍛冶作業をすることになることをこの時の俺はまだ知らなかった。
どうやら、俺は鍛冶師には向いていないようだ。
俺の作った失敗作は、すべて合わせて金貨90枚、唯一の成功作は、銅貨10枚でメイベルに買い取ってもらいました。
もしもコーマが鍛冶師だったらこうなっていた……でした。
閑話なのでスライムは作っていません。
次回より、コーマが女になってしまう短編が始まります。




