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第56話 祭りと書いて戦争と読む その2

真夜中の神社。普段なら余程のもの好きでもない限り、近付きもしないであろうそこは現在色とりどりの明かりや音色に包まれていた。

その中には『たこ焼き』や『焼きそば』といったさまざまな屋台が立ち並んでいて、それらを見れば誰もが思うだろう「祭りだ」と。


「やれやれ……やっと入れたか」

「この時を……この時をどれほど待ち望んだことか!」

「わかったから叫ぶな。いちいち大げさすぎんぞお前は」

「いやいや、結構待たされたもんだからね。無理もないよ。それに僕もあと少し遅かったら……いや、やっぱいいや」

「……とりあえず一つの平和が守られたと思ってもいいんだよな? いいんだよな?」

「あの……優斗さん。二回聞いてますけど?」


そんな中を優斗達4人(・・)は歩いていた。

結局、あの後もなぜか先生は来ることはなかった。そのため、由美子が『光は私が待っていてあげるからあなた達は行ってきなさい』という(珍しく)姉らしいことを言ってきたため現在、優斗達は由美子達とは別れて行動をしている。

しかし、その中で舞はやはり格好が恥ずかしかったのか『行きたくない』と言ったため今も姉と共に先生を待っている。


「しっかしすごい人だな」

「小さいとはいえ一応お祭りだからね。これぐらいいても不思議じゃないよ」


士郎の言葉を聞きながら優斗はその場で一度立ち止まり、ぐるりと一回転しながら周りを見てみる。その際に近くを歩いていた男の何人かが優斗を見て振り返っていたが幸い(?)優斗達は誰も気がついていなかった。

正直たかが神社のお祭りと少しなめていたかもしれない。周りを見ればそこもかしこも人だらけ。今の自分の身長では少し先を見るのも苦労している。


「これだけいると案外知っている人も近くにいたり――」

「なぁにやってんのあんたはあああっ!!」

「……いたなぁ」

「いたね」


優斗が今まさに冗談を言おうとした矢先に響きわたる怒声。

そしてその声は優斗達にとって聞き覚えのある声であった。


「なによ! 別にただお金を借りただけじゃない!!」

「あんたのは借りたんじゃなくて盗ったんでしょうがあああああっ!!」

「そんなに怒らなくて良いじゃない。あんたの私の仲なんだし」

「ふざけてんじゃないわよおおおおっ!!」

「…………」


この声と会話、間違いなくあの三人が近くにいるのだろう。しかしあの三人が近くにいるにしても必ずしも会いに行かなくてはいけない、というわけではないのだ。この状況で会いに行っても良いことなどないとわかっている優斗はその場から離れようとする。


「お、おい!? 会長達に挨拶はしないのかよ?」

「あのなぁ健人。なんでわざわざ自分からトラブルに突っ込まなくちゃならないんだよ。あれが聞こえんないのか?」

「い、いや、けどよ……」

「別に良いんじゃないかな。たぶんまた会えるだろうし」


反論しようとする健人の言葉を遮ったのはなんとあの士郎であった。


「なんでそう言い切れるんだよ?」


思わぬ人物の言葉に驚きながらも優斗は問いただすとそれに対して士郎は


「だって優斗は勝手にトラブルを惹き寄せてくるからね。つまりはそういうことだよ」


実に楽しそうにそう言った。


「いや、どういうことだよ」

「なるほど、そういうことなら大丈夫だな」

「…………」

「納得すんなお前ら」


なぜか健人と姫神はその言葉を聞いてうんうんとうなずいていた。


「とにかく会長達には後で会えるだろうから今は――あ、優斗後ろ」


その時、士郎は優斗の後方から集団が近付いてくるのに気が付き優斗に注意を促す。


「え? うおっと……ぶべらっ!?」


優斗はその警告を聞いて慌ててその集団から離れるが、運悪く近くを歩いていた別の集団と接触をしてしまい人の波に巻き込まれ飲まれてしまった。


「ゆ、優斗おおおおおおおっ!!」


健人の叫びもむなしく人の波に飲まれた優斗は士郎達の視界からあっというまに消えてしまった。




「しくった。まさかこの年になって迷子になろうとは……」


相変わらずの自分の間抜けっぷりにはいやになる。はぁ、と大きな溜め息をつきながらトボトボと優斗は歩き続けてる。

とにかく合流しなければ、と先ほどから流された方向をたどって歩いているのだが、今のところ収穫はゼロ。

それに今の自分では下手すれば大人から色々質問される恐れもある。幸い、今のところ祭りの熱気に包まれて誰も自分には気づかずにいるが状況がいつ変化するかわからないので出来るだけ早く合流をしたい。


「案外動かなかった方が合流も早かったり……ん?」


その時、優斗は祭りの光の届かない道の外れに何かがいるのを見つけ立ち止まる。

どうやら他の人は気づいていないようだが、今の自分の眼にははっきりとそれが見える。

それはしゃがみ込んでうずくまっている浴衣の女性であった。


「あのー……大丈夫ですか?」


それを見て優斗は近付いて心配そうに声をかける。何か理由があるにせよ放っておくわけにはいかない。


「…………」


しかし返事はない。


「あ、あのー……」


もう一度声をかけるとまたも無言であったが今度はこっちを向いてくれた。

しかしその顔は苦しげで何かあったのだと予感させた。


「大丈夫ですか!? 何か会ったんですか!?」

「……お」


蚊の鳴くような小さな声。優斗は急いで口元に耳を近づける。


「お?」

「お腹イタイ……」

「…………」




「いやー、助かったヨー。もうどうなることかと思ったヨー。ありがとネー」

「いえ、別にオレは大したことはしてませんし」


先ほど助けた女性からの少し訛りのあるお礼に苦笑しながら応える優斗。

背が高く金髪のポニーテールに蒼い色の瞳、彼女は外国人であった。

さっきあそこでうずくまっていたのはお腹が痛くてトイレに行きたかったけど、浴衣のひもの結び方がわからなったからとのこと。

そこで優斗はその人のひもを結ぶ手伝いをしたところ「お礼をしたい」と言われてしまい一緒に行動をすることになってしまったのだ。


「こういう時ってなんていうんだっけ? えーと……」


小首を傾げなにやら考え込むその姿はかわいらしいのだが、優斗にはそれがどこか見覚えのあるものに思えた。

しかし彼女とは初対面で彼女も自分とは初めてだ。なにが引っかかっているのか思い出そうとした時、それを遮るように彼女が声をあげた。


「あ! そうそう思い出したヨ!『テキニシオヲオクル』だよね!」

「違います」


どうやら士郎の言うとおり自分はトラブルを勝手に惹き寄せてしまうようだと思う優斗であった。

クロ「どーも、お久しぶりですクロです」

舞「なんかもう今更って感じね。すいませんって言うのももうしわけないわ」

クロ「なんとか帰ってこれました。これからは少しはフリーになるので更新もできるとは思います」

舞「でもあんた相変わらずよね……ホントに大丈夫なの?」

クロ「何とか終わらせるまでは書き続ける。これは最低条件なんで大丈夫……だと思う」

舞「あんたね……」

クロ「とにかく人物紹介だ! 今回は姫神!」


名前 姫神 麻衣 年齢 17歳 高校2年生 風由学園 帰宅部


身長 167cm 体重 53kg


髪の色 黒 髪型 ロング 一人称 私


大人しい性格で人見知りな性格。そのため話す時によく「……」が付く。苦手である体育を除けば学年トップクラスの成績。家事全般も普通以上にこなせる。


舞とは同じ部屋で暮らしており、その理由は「負担を二人で半分に出来るし一人だと不安だから」とのこと。


おそらくこの作品で最もまともな「常識人」貴重なツッコミオンリー役でもある。


実はクロの一番のお気に入りキャラであるのはここだけの話。だってかわいいじゃないですか!! 寡黙で振り回されて小動物的で(ry


いつも髪に隠れて見えていないが実はかなりの美人で狙おうとすればかなり上のところまで狙えるべっぴんさんだが本人はそういうのはあまり好きではないらしい。


クロのイメージではメガネをかけているつもりであったがいつの間にやらそれもなくなっていた。なぜだ。


クロ「こんなところか」

舞「あんたもっとマシなの書きなさいよ……」

クロ「書けたら書いてます。とにかく更新再開! かなり勝手ですがまた応援してくださればやはり嬉しいです。とにかく頑張らせていただきます。次回に続く」

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