第特別話 その4 やっぱり浪漫は大事ですよね 後編
前回のあらすじ
夏休みを利用して由宇の家に遊びに来ていた優斗の目の前になんか色々あって突如、怪人ビックキャットが現れたのである!!
友を……家族を……夢を希望を守るために優斗は魔法少女に変身したのであった!!
「……大体あってるけど、大体間違ってるぞ」
「ほらー早く名乗りを上げないと変身が強制解除されちゃうわよー。頭にもうデータが入ってるから忘れてるなんてこともないでしょー」
誰にも聞こえない声でツッコミを入れたはずの優斗に後ろで忙しくノートパソコンを動かしている先生は何事もないかのように言った。
確かに言うとおりではあった。どういう技術が使われたのかはわからないが、今優斗の頭の中に変身した後の決め台詞、そして決めポーズが細かいところまで全て叩きこまれていた。
しかし、その内容はひどいの一言。あまりにもひどい。
どのくらいひどいかと言うと、もし羞恥心で人が死ぬのだとしたら間違いなく死んでしまうだろうと思えるくらいひどいものであった。
「あーとりあえず死にたい……」
全国の少女たちが一度は憧れるであろう格好をしながら優斗はそんな言葉を漏らしてしまう。
あくまで、憧れるのは少女なのである、長くとも小学低学年くらいの。今の外見はそれでも中身の方はまったくと言っていいほどに合っていないのだ。優斗には苦痛でしかなかった。
だが、どうあがこうがこの状況、逃げ場も無ければ代わりもいない。それにそれ以前からあの人から逃げ切れた憶えがない。
この調子ではおそらく今回もその一つになるだろうとも薄々感じている。
「はぁ、やるしかない……か」
「やっとやる気になったのねー」
「誰が好き好んでやりますか!!」
「ほらー御託もういいわねー。そんじゃいくわよー。はい、3・2・1・キュー」
先生は優斗のそんな悲痛な叫びに対してもそんなこと知るか、と言わんばかりに優斗を見向きもせずにパソコンのキーボードを高速で叩いていた。
それを見て優斗はふと思った。すでに退路などないのだ、それに恥などというものがなんだというのだ。そんなもの今持っていたところで自分を苦しめるだけだ。全てを捨てろ。恥も誇りも己すらも! ……なんて出来ればどれだけ楽だろうか、と。
一度大きく深呼吸する。そして……
「やってきましたみんなのアイドル! 天が呼ぶ、地が呼ぶ、誰が呼ぶ?」
祈るように両手を合わせながらその場でくるくると回る。その表情や動きは演技とは思えないようなとても自然な感じをしていて、本物の魔法少女が目の前にいた。
「どんな事件も鉄拳制裁、拳一発即解決!!」
「魔法……少女……?」
そんな由宇達のツッコミも全無視し、回転を停止して片目をウインクしながらポーズをとり……
「魔法少女マジカルユウト!! 只今、参☆上!!」
その瞬間、空気が死んだ。優斗と由宇達の周り限定であったが間違いなく空気が死んだ。
「せんせー」
「なに?」
「オレもう新でもいいデスカー」
「命は投げ捨てるものじゃないわよ」
「あなたが言わないでくださーい」
優斗は先生の受け答えに、やけくそ気味に笑いながらも瞳から止める術を忘れたかのように涙が滝のように流し続けて話している。
そこら中から痛い視線を感じる。それもそうだろう、姿形は違えど中身は男の高校生、そのことを考えると痛い、痛すぎる。しかし、この場に舞や士郎達がいなかったのは不幸中の幸いと言うべきだろうか。
「ふ……ふふ……もういいですよ……どうせオレなんか……」
「ゆ、優斗君。私たちは気にしないから……ね? とにかく落ち着いて……そうよね、神子?」
ズーンという効果音が聞こえてきそうな雰囲気を身にまといながら、その場で膝を抱えながら床に何か文字のようなものを書き出す優斗の姿を見て由宇は必死に励まそうとする。
だが、優斗のそのネガティブな空気に当てられて不安になってしまったのか、つい神子に話を振ってしまった。
「え!? いや、そ、そうよね……そうだよね、神威?」
もちろんいきなり話を振られた神子はそれに対応などできるはずもなく、心中悪い、と思いながらも神威にパスをした。
「へ? あ、ああ……そうだな……そうだよな由宇?」
まさか自分にまで話が来るとは思わなかった神威はいきなりのことで動揺をしてしまい、あろうことか由宇に話を振ってしまった。
「ええ!? な、なんで私に話が……」
「なんで由宇に話が返ってくるのかしら?」
「そうだよお兄ちゃん! もっと空気を読もうよ!」
「ここは妹に振るべきところよね」
「……確かに」
なぜか家族友人一同からフルボッコにあう神威。確かに由宇にもう一度話を戻してしまったのは自分に非があるが、もとはと言えば由宇が話を振ってきたからこのような事態に陥っているのではないのかという気がしないでもないのだが、この空気では言うに言うことができなかった。
「んん~今のは頂けないかしらね~」
「さすがに今のは無いわね」
その上に今度は優斗の関係者である二人からも渋い顔をしながら批判をされてしまった。
さすがに赤の他人にまでここまで徹底的に言われてしまうと多少なれど凹んでしまう。
だが、そんな神威など眼中にないかのようにそこいる人達は容赦なく罵詈雑言を浴びせ続けている。
「…………」
なぜ自分はここまでボロクソに言われなくてはいけないのか? 空気が読めなかったことがこんなにもいけないことだったのか? あまりの言われようにそう思わずにはいられなかった。
そんな中、神威に近付く小さな影が……
「神威さん……」
「ゆ、優斗君?」
それは先ほどまで落ち込んでいたはずの優斗であった。
「大丈夫です。オレはあなたの味方ですよ……」
優斗はそんな神威の肩にその小さな手を置いて憐れみとは違うどこか悲しげな視線を送っていた。
そんな優斗に何かを感じとったのか神威は少し心が軽くなったような気がして軽く笑い返した。
「こうやってみるとあの男の子が変態ロリコンにしか見えないわね〜」
「あなた何気にひどいこと言うわね……」
優斗達から少し離れた位置、由美子と昴と先生の三人は集まって二人を見ながら話をしていた。幸運にもこの会話は離れている神威には聞こえていなかった。
「それにしても……あなた本当にあの子の姉なの? 血が繋がってないとかそういうのとかじゃないの?」
昴はここで疑問を由美子に質問する。
優斗と由美子は姉妹? であることは先ほど本人の口から直接聞いているものの、それでもここまで性格が違ってくるとどうしても色々なことを想像をしてしまう。
こんなことを質問するのは失礼極まりないというのは頭ではわかっているが、我慢することができず、ついやってしまった。その時、相変わらずパソコンに何かを打ち込んでいる先生が言った。
「由美子は正真正銘あいつの姉よ。DNAから血液型まで完全にシロ。それによーくみると共通点もいろいろあるしね」
「そう……」
さすがに第三者からそこまで言われてしまってはおそらく本当なのだろう、と昴はこれ以上話を続けることはなかった。
「つーか、さっきからあいつは何やってんのよ、まったく……優斗! 早くしなさい! それエネルギー馬鹿食いするから5分後にはエネルギーが切れて変身が強制解除になっちゃうんだから! あと胸の球体が点滅しだしたら1分前のサインだから注意すること、わかった?」
いい加減先ほどからいちいち落ち込んだりして一向に動こうとしない優斗に先生は呼びかける。結構重要な情報のおまけ付きで、
「これまた、どストレートなことをやらかしましたね……じゃなくて! どうしてそんな重要なことを言い忘れているんですか!」
「重要なこと? そんなことあれを5分以内に片づければいいだけなんだから重要でもなんでもないじゃない」
「ああもう! わかりましたよ! やればいいんでしょ! それでどうやって戦えばいいんですか!?」
「そうね……相手の力量がまだよくわかっていないわけだからまずはミドルレンジからガトリングで攻撃してみて」
「…………は?」
たっぷり5秒あまりの事に優斗は口をぽかん、と開けながら間抜けな声をあげてしまう。
自分の耳がイカレテいなければ先生はさっきとんでもないことを言ったことになる。
「聞こえなかったの? だから……」
「いやいや、ちょっと待ってください。なんでそこで漢のロマン兵器の一つが出てくるんですか? 自分が言うのもなんですけど、魔法少女って言ったら普通、カラフルなビームとかを使って戦ったりするもんじゃないんですか?」
「いちいちうるさいやつね……だってしょうがないじゃない。それに搭載する予定だったルビー型の粒子兵器用超小型高出力ジェネレータはこの前あいつに譲っちゃって、代わりになりそうなやつなんて今あんたの胸に搭載してる超小型物質転送装置しかなかったんだもの」
「なに作ってはるんですかあんたは。つか、何でそんな危険物、他の人に渡してるんですか!」
「くれって言われたから」
「あんたって人はー!!」
優斗の必死のツッコミにもまったく動じることはなく、あーはいはい、とまともに相手をすることのない先生。
できればもっと言ってやりたいことはあるが、これ以上時間をかければ変身が強制解除になってしまうかもしれないという先生の言葉で話はここで終わらされてしまった。そして、先生は割と真剣な表情をして優斗に言った。
「こっちの準備はすべて整ったわ。後はあんた次第ってことね」
「先生……」
「今回のあんたの写真もしっかり撮れたわけだしね。ハイ、行ってらっしゃい」
「……わかりました、わかりましたよ……ええもうわかりましたよ! やればいいんでしょこんちくしょおおおおおおおお!!」
先生のその言葉に優斗は雄叫びをあげながら、やけくそ気味にビックキャットに向けて突っ込んでいく。
「戦闘モード起動。モード……ミドルレンジ!」
それを見た先生は素早く何かをキーボードを打ち込んでいく。すると優斗の胸の宝石が突然光りだし、いつの間にかその右腕にはガトリングが握られていた。
「うお!? ホントに出てきたよ……」
まるで本当に魔法でも使ったように目の前に現れたそれに驚いてしまう優斗。
正直言ってこうやって目の前に現れるまでは半信半疑であったが、こうやっていきなり目の前に現れるとなると改めて先生は頭はアレでも中身は本物だということを思い知らされる。
手を軽く何度も閉じたり開いたりして感触を確かめる。
大の男でも抱えられるのかどうかというような大型のガトリングを変身(別名、光印の特性強化スーツ)のおかげで軽々と片手で構えて頭に叩き込まれた射撃照準プログラムに従いながら……猫に向けて引き鉄を引いた。
思わず耳をふさいでしまうほどの轟音と共に次々と吐き出されていく弾丸であるが、中身の方は催眠ガス入りの特殊ゴム弾で殺傷能力は無い。
どのくらいの間撃ち続けていたのか、気付いた時にはそばには空の薬きょうが山のように積み上げられており、相手が催眠ガスに包まれて見えなくなってしまっていた。
「き、効いてるのか……?」
「動きを止めない!! 反撃くるわよ!!」
「え? ……うわぁ!?」
次の瞬間、煙の中から反撃と言わんばかりに巨大な前足が優斗に襲いかかろうとした。
優斗はいきなりのことに驚きながらも、それをすんでのところでバックステップで避けることに成功した。
そのバックステップであるが、スーツによって強化された脚力によって生み出されたそれは尋常ではなく、それだけで猫と優斗の間には10メートルほどの距離が生まれていた。
「うわ……すげぇ……」
「優斗! 呆けてないで一旦距離を離しなさい!!」
「わ、わかりました!」
先生の叫び声に我を取り戻した優斗は言われたとおり、相手から距離を離そうと走り出す。
普通であれば身体能力などの差で距離を離すどころかすぐに捕まってしまうところであるが、そこは魔法少女服(強化スーツ)のおかげで直線距離では若干優斗の方が早いくらいになっており、後ろから追いかけて来ている猫との距離は徐々にだが開きつつあった。
「システム、ミドルレンジモードからロングレンジモードに変更……!」
その間に先生は目にも止まらぬ速さでキーボードを叩き続ける。すると再び優斗の胸の宝石が光りだし、握れていたガトリングはなくなって、代わりに右腕には大型のミサイルランチャーが握られていた。
「くそっ……! こんのぉ!!」
握っていたそれと猫との距離を確認するとその場で両足を使って勢いをそのままに滑るようにブレーキをかけて一気に反転、猫に向かってトリガ―を引く。
発射した瞬間、無理な体勢で撃ったことと、その時の反動が予想より大きかったことが重なり優斗の小柄な体はその場から吹っ飛ばされてしまう。
それでも何とか発射された4発の大型ミサイルは白い尾を引きながら相手に向かって飛んでいってくれていた。
だが、それは飛んでいる最中、突然ボロボロと外側の装甲が崩れ始めたのである。
それには誰もが故障か? と思ったが、それは違った。なんと装甲が崩れたミサイルの内側にはびっしりと大量に小型ミサイルが張り付いていたのだ。
驚くのもつかの間、次の瞬間、張り付いていたミサイルに一斉に火が灯り、四方八方からビックキャットに殺到していった。
「いてて……でも、これなら……!」
吹き飛ばされた影響でうまく受け身を取れなかった優斗はぶつけた部分をさすりながら、ミサイルの直撃を受けて白い煙で覆われたところを再び凝視する。いくらなんであれだけの攻撃を受けたのだ、無事であるはずが……そう思っていた。
「いえ……まだよ」
先生のその言葉と共にモウモウと立ち込める白い煙が晴れてくる。
そこには無傷とまでは言わないが四本足でしっかりと立っているビックキャットの姿があった。
優斗がその生命力に呆れていると先生はビックキャットが優斗ではなくこちらを睨みつけていることに気がついた。
「っ……! 優斗!! 相手がこっちを狙ってきてるわ! 接近して気を惹き付けなさい!!」
「くっ……! 無茶苦茶だ……!!」
その言葉を理解した優斗は舌打ちをしたい気分に陥ったが今はそんなことをしている暇はない。
もし由宇達に接近を許してしまえば、あれだけの力を持っているのだ、大惨事は免れないだろう。
持っていたミサイルランチャーを投げ捨てて、全速力で接近を試みる。
「ロングレンジからクロスレンジモードに移行……!」
胸の宝石が光りだす。今度は接近戦ということで優斗の両の手の甲の部分に三本の鉤爪が装備されていた。
凄まじい速度で接近してくる優斗に気がついた猫はいい加減鬱陶しく思ってきたのか、まるで暴れるかのように激しい攻撃を仕掛けていく。
「くっ!……さすがにこれは……!!」
ただ怒りにまかせて、なりふり構わずに次々と繰り出されていく猫からの攻撃は先生の指示通り、おとりとしての役割を果たしていることを示しているのだが、まるで嵐のような攻めの前に優斗は攻撃をするどころか回避をするのに精一杯であった。
何とか紙一重に攻撃をかわしているように見えるそれは、まるでどっかの出来の悪いB級映画のワンシーンのような光景であったが、実際に演じている優斗にとってはそんなことを考える余裕は少しもなかった。
それでも優斗は必死に避け続ける。いつかチャンスが巡ってくると信じて……
「…………!!」
そのチャンスは意外とすぐにやってきた。先ほどから休まずに全力で攻撃し続けたせいか優斗は猫の動きが少し鈍っているように感じ始めていた。
最初は思いすごしかとも思ったが、しばらく避け続けて時間がたつにつれ疑惑は確信へと変わっていった。
-いける-
「はぁ!!」
動きの鈍い前足の振り降ろし攻撃と同時にジャンプ、振り降ろされた猫の前足はむなしく空を切り、その隙に優斗は猫の顔を目の前にまで到達していた。
「でいやあああぁぁっ!!」
気合いと共に振り降ろされた計六本もの鉤爪は猫のおでこにあたる部分にクリーンヒット。強烈な一撃見舞った優斗であったがそれだけでは終わらず、さらに追撃と同じところを踏みつけるように蹴りを放った。
さすがのビックキャットもこれには耐えきれず体勢を大きく崩してしまう。対して優斗は蹴りの反動を利用して華麗に宙返りをしながら猫と少し離れた位置の地面に着地、猫との距離を離すことにも成功した。
「はぁ……はぁ……」
ここで一度乱れた息を整える。正直言ってかなりきつい。向こうは向こうでかなり動き回っていたが、こちらもこちらでかなりの体力を消耗していた。しかし、こちらはまだ疲れているだけに対して、向こうの方はすでに足がおぼつかない感じで今にも倒れそうな感じがしている。
-このままいけばイケる!-
そんなことが優斗の脳裏に浮かんだ。
「……!? 優斗!! 左!!」
「え……? しまっ……!?」
油断をしていた。
先生のその叫び声に気づいた時には全てが遅く、左から襲いかかろうとしている猫の腕はすでに視界にはそれしか映らないほどに巨大になっていた。
-間に合わない-
とっさに左腕でそれを防ごうとしたが、そのあまりにも違いすぎる体格差の前では意味を為さず、優斗はまるで思いっきり蹴り飛ばされたサッカーボールのように何度も地面に叩きつけられながら吹っ飛ばされてしまう。
「ぐぅ……あぁ……!」
「優斗君!?」
「優斗!! ちぃ!」
由宇達は急いで吹っ飛ばされて倒れている優斗のそばに駆け寄る。
優斗は苦しそうな顔をしているものの、幸いに防御性能についても一級品である魔法スーツのおかげで大きな怪我はしていなかった。しかし、先生は一目見て肉体的痛みには慣れていない優斗にはこれ以上の戦闘は危険だと判断、すぐに変身を解除した。
「先……生……?」
「さすがにあんたをこれ以上戦わせるのは危険だわ。だから……あら?」
優斗の戦闘不能により何か他の対応策を考えようとした矢先、パソコンがある反応を示していることに気がついた。
「おかしいわね……あれは年が14才以下じゃないと作動しないようにしたはずなんだけど……いや、もしかしたら……」
何やらぶつくさと呟いて自分の世界に入っていく先生。その様子を由宇達は何事か、と眺めていた。
「まぁいいわ……そこのあなた!! 確か……由宇とか言ったわよね?」
「は、はい?」
「あなた変身しなさい」
「……へ?」
いきなりの事に由宇は変な声をあげてしまう。変身しろとはつまり先ほど優斗がやっていたことを自分が……
「いや、そのちょっと……」
「はい、変身」
「ちょ、ちょっと……い、いやあああああああああぁぁ……!!」
「世話をかけたわね」
真っかな夕暮れ時、優斗と由宇達は全員外にいた。
その中で由宇は顔を真っ赤にしながらうつむいており、優斗にいたっては全身の色素を失い、真っ白になっており、口からは魂のような何かが漏れ出していた。
1時間ほど前に由宇の尊い犠牲……もとい、活躍により何とかビックキャットの沈静化に成功、全員無事(?)に家に戻ることができたのである。そのビックキャットは先生によって元に大きさにまで戻り、持ってきたオリの中で静かに眠っていた。
「魔法少女! リリカルユウちゃん! 爆♪誕」
……今のはちょっとした放送事故である。
……とまぁ、そんなこんなで色々あったものの、今、先生たちは帰ろうとしているところだった。
「い、いえ……まぁ……貴重な体験をさせてもらいました……し」
苦笑いを浮かべながら何とかそれに応える神威。
貴重というよりも奇妙という方がしっくりくる気がしたが、そこは心の中に留めておいた。
「あ、そう。……そうそう、これ渡しておくわ」
そう言って先生が渡してきたものは、先ほどまでいろんな意味で大活躍していた魔法少女ステッキであった。
「あのこれっていったい……?」
「え? これ? これは変身するのに必要でしょ? 優斗の分はもう一個作るから大丈夫よ」
「いえ、あの、ですから……」
「あっと、悪いわねそろそろ行かなくちゃ。んじゃ、他の子もまた縁があったら会いましょ」
「じゃあね~」
そう言って先生は赤いスポーツカーに華麗に乗り込むと風のように去っていってしまった。
「すごい人達だったね」
「あそこまでぶっ飛んだやつは私も見たことがないわよ……」
「ホントに何者なんだ、あいつらは……?」
そんなの神威たちの呟きに応えられる者は誰もおらず、ただ夕暮れにカラスの鳴き声が空しく響いていくだけだった……。
クロ「どーも、気がついたらテキスト量が予想していたより2倍近く増えていたでござるのクロです」
優斗(男)「それにしてもやっと終わったのか……」
クロ「あれだけのテキスト量でなんと2カ月……これはひどい」
優斗(男)「自分で言うなっつーの。いいからもっと自分を何とかしろ」
クロ「ごめんなさい。初の本格的戦闘シーンということもありまして色々書いてみたんですけど……無駄に長い上にかなりgdgd、おまけにわかりにくいという」
優斗(男)「この作品はギャグものなんだから別にいいんじゃないか? それよりもこういうのは速さが大事だろうに」
クロ「確かに……でも、これからさらに忙しくなっていくという……そういうわけでさらに更新ペースは遅くなりそうです……すいません」
優斗(男)「こんな奴にクロス申し込んでくれた白夜さん本当にありがとうございました。そしてだらだら長々と時間を大量にかけて申し訳ありませんでした」
クロ「ともかくこれで終了です。また機会があれば嬉しく思います。次回に続く」




