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世界の寵児  作者: もち
犬はどこでもついてくる
59/63

番外 エルテくんのお風呂

 マリカさまは、綺麗好きっす。


「エルテくん、お風呂に入ろう」

「俺、濡れるの嫌いで」

「マリカの言うことが聞けないのか奴隷の癖に」


 ヘルベルクランさんキライっす。毎日なんて入る必要ないと思うんですけどね。今まで月1回だったけど、問題なかったっすよー。あ、ユオーさんはしょっちゅう入ってましたけど。マリカさまと話が合いそうっすね。


「洗ってあげるよー。大丈夫、気持ちいいよ」


 そこまで言われたら行かないわけにはいかないっす。マリカ様に気持ちよくしてもらってくるっす。マリカさまのはだか、マリカさまのはだかー。



 と思ったら、服は着たままだったっす。チッ。足や腕はでてるけど。

 しかも従者のお二人もついてくるし。本当にこの二人マリカさまにべったりで俺が可愛がってもらってると殺気を向けてくるし邪魔でしかたないっす。


「まずは体を洗おうね。届かないから、床にごろんしようね」


 マリカさまって俺のこと子どもだと思ってるんですかね。まあ楽しそうなんでいいんですけど。

 伏せると桶で湯をすくってざばざばかけられて、水気を飛ばしたくて仕方がないのを必死で我慢。石鹸を泡立てて背中をもしょもしょされてるんですけど、マリカさまの手が小さすぎて時間がかかって仕方がないっすね。伏せてるんで見えないのが残念です。


「手伝おうか?」

「うん。体が大きいから大変だね。早くしないと風邪引いちゃう」


 クイグインネさんがざくざく洗ってくれたっす。手がでかいんで早いっすねー。

 その間にマリカさまが頭を洗ってくれました。


「目は閉じててね。石鹸はいったら痛いからね」


 マリカさまは優しいっす。


 全身泡まみれになったのを洗い流して、風呂は終了。身震いして水気を飛ばすと、マリカさまがきゃあきゃあ喜んでました。


「もー、濡れちゃったよ」


 毛先からしずくを垂らしながらも、ニコニコして楽しそうっす。よかったっす。


「じゃあ、後は湯船につかろうね」


 風呂終わってなかったっす。入りたくないんですけど……。ためらってると殺気が飛んできました。入れって事ですよね、わかってます。


「気持ちいいね」

「あー……そうっすね」


 マリカさまは湯船の外から手を伸ばして、嬉しそうに笑顔を浮かべながら額を撫でてくれてます。でもちょっと熱いんですよね。ハアハア舌を出しちゃいましたよ。


「かわいいなー」


 喜んでもらえて嬉しいっす。でもそろそろあがっていいですか。



「ごめんね、熱すぎた? 次はもうちょっと温度下げてもらうからね」


 ぐてーっと寝そべる俺に、マリカさまはションボリしつつもうちわで扇いでくれました。

 次もあるんすね……もちろん、嫌じゃないですよ。俺、マリカさまの奴隷ですから。何でもいうこと聞きますよ。だから殺気はやめてほしいっす。

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