第97話 来訪(ディーシア視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(ディーシア視点)
本当の意味で【枯渇の悪食】の厄災が消滅した虹の世界。
なんて……なんて美しいの!
全てが色鮮やかで、緑も空の青も輝いているように見える!!
半分霊体化させながら飛翔して、チャロナたちの屋敷に向かっているんだけど……どこもかしこも綺麗ね!! 手入れが行き届いている素晴らしい菜園や庭園だわ!!
「む?」
菜園の上を飛んでいると、誰かが私に気づいた。小さな子どもだけど……少し神の力を感じる。気配を探ると、この屋敷に滞在している農耕と豊穣の女神の存在を思い出した。その息子かしら? たしか、人間と交わりを成した女神がいた気がするのだけれど。
『あら、小さな子。私はシアと言うの』
「……お初にお目にかかります。ウルクルの子、アウルと申します」
『やはり、あの女神の。……父親を手伝って?』
「はい。僕の仕事でもあるので」
『えらいわね』
神の子でも、ヒトと同じように仕事をすることはえらいことだ。私は普段、眠りを介して世界の循環を整えているくらいだから。今も本体は同じままだけれど。
「いえ! そんな……シア様はどうしてこちらへ?」
『ふふ。あなたが生まれる前は、一度か二度……チャロナに会ったことがあるの』
ヒトの時間だとひと昔という年月。
だけど……ここは昔よりもっともっと素晴らしい場所へと移り変わっている。
チャロナに会っても、あれからさらに変わった私を見てどう思うかしら? チャロナ自身も子どもの母親になったことで変わったけれど。
「……僕がご案内しましょうか?」
『いいわ。あなたはあなたの仕事をなさい? それに、チャロナをびっくりさせてあげたいの』
アウルにそう告げて、私はまた飛翔していく。菜園から庭園まで一直線に抜けていき、霊体を強めれば……神の加護が薄い子には私の姿が見えない。
だから、そろそろと屋敷に忍び込み、廊下を歩いていると……小さな影が見えたわ。水鏡で見たリーシャとミア。
ミアには私が見えるから……飛んできて、ぺこりとお辞儀してきたわ。
『でしゅ、神ちゃま』
『うふふ。こんにちは』
仕方がないわね、と思っているとリーシャがこっちに来て目をキョロキョロとさせていた。この子には見えないものね?
「え? え? 神さま??」
『みゅ。ここにいらっしゃるんでしゅ』
「えぇえ??」
ここで応じてもいいけど……そうすると、リーシャにパンをねだっちゃいそうだけど……いいよね? 祖父様?
次回は月曜日〜




