第92話 片想いについて(セシル視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(セシル視点)
最近、ローザリオン公爵家に行けない。
それについては理由がある。
俺に課題というのが色々出来たからだ!!
「……こんなにも」
アルフガーノ家の次期当主としての勉学等々。
それらをこなすために、ここ最近になって父さんから英才教育だと押し付けられたんだ!! リーシャのとこに遊びに行けないじゃないかぁ!?
「……けど、やらないと」
将来立派な伯爵にならないと、格上の公爵家ご令嬢であるリーシャを嫁入りさせることが出来ない。俺の求婚をあの子が受け入れてくれるかだけど。
(でも、全く脈無しじゃない)
俺を追いかけてきてくれた……あの時の必死さ。
小さい頃は、『セシにーに』って無条件に甘えてきてくれたリーシャを……この間だけど、好きだと自覚したんだ。
可愛くて、元気いっぱいで……公爵家夫人の血筋が濃いのか料理がとても得意になったリーシャ。
彼女が俺のところに来てくれるためには、まず俺自身を磨かなきゃいけない。
父さんも、母さんを娶るために色々あったって聞いたから……俺自身も頑張らなくちゃ。
たまには息抜きしたいと思うけど……父さん曰く、これ終わってからって念押されたからなあ。
会いたいけど、しばらくリーシャのとこに遊びに行けないや。
「……セシル、にい、さん」
課題が半分近くになったところで、聞き覚えのある男の子の声がした。振り向けば、小柄な銀髪の男の子が立っていた。ユーシェンシー伯の第一子で俺の幼馴染み。
「ミラクル?」
それと俺にとっては、父さんと同じ門下生で弟弟子だ。
「えっと……お、お届け……ものです」
相変わらず、おどおどした話し方だけど……わざわざ俺に用があったのか何かの包みを差し出してきた。
「……誰から?」
「……リーシャ」
「え」
「今日行ったら、くれた……です。ここに行くから……もらって来ました」
「……ありがと」
挙動不審多いけど、魔法の才能もあるし頭いいからなあ。俺の片想いにも気づいているだろう。とりあえず受け取ると、ずっしりと重かった。
「……今度、孤児院に持っていく……パンの試作だって」
「大事にいただくよ」
次のパン作りの時は……行けたらいいなあ。
早く課題終わらせて、父さんを納得させなきゃ!
ミラクルが帰ってから、ものすごい勢いで片付けた後に食べたパンは……甘いのとしょっぱいのの二種類あるだけでなく、食感も面白くて美味しかった。
次回は日曜日〜




