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第89話 師の嘆きは面倒(チャロナ視点)

お待たせ致しましたー






 *・*・*(チャロナ視点)









 お師匠さんに久しぶりに怒られてしまった。


 と言うよりも。



「何故、儂にお教えくださらなかったのですじゃぁあああ!!?」



 と、逆ギレ風に泣きつかれて来られた。エディトとマリーナが私やリーシャの事を伝えたらしく、異能(ギフト)がさらに開花されたことへの哀しさと好奇心がない混ぜになったのかも。


 お師匠さん、ほんとーに錬金術に関してはオタクだからだ。



「……すみません。お兄さんとかがとっくに教えたのだと」


「……くぅう。あの方、わざとじゃな!?」


「……ないと言い切れません」



 お兄さんだからなあ……と言うのは妹として否定出来ない。何せ、食いしん坊に加えていたずらっ子で好奇心旺盛の塊だから。お父さんも大抵似てはいるけどね? それは置いておいて、我が子のリーシャがちょっとびっくりしているわ。



「ご、ご無沙汰してます! アーネスト様!!」



 けどさすがは私とカイルキア様の娘だから、挨拶はきちんと出来るいい子よ。


 その様子を見て、お師匠さんも涙を止めてうやうやしく頭を下げた。



「久しぶりですのお、リーシャ様。ますますご両親に似ておられる」


「ほんと!?」


「そうですじゃ。して……リーシャ様にも異能が付与されたと」


「うん! 『幸運の錬金術(ラッキークッキング)』って言うの!」


「ふむ。母御のと呼び方が似てますな」


「魔導具の変身もいくらか違いますね。……いきなり全部見せてほしいと言わないでくださいよ?」


「……ぐぬぬ」



 こう言うタイプの人は、探究心旺盛でもあるからね。オタクの場合特に……悠花(ゆうか)さんも一緒だったら、絶対頷いてくれると思うわ。



「叔母上、リーシャ! 今日は何か作っていたんですか?」



 嘆くお師匠さんを放っておいて、エディトは私達に質問をしてきた。いい匂いがするからすぐにわかるものね?



「ええ。孤児院へ次に差し入れするパンの練習よ」


「今日は揚げパン作ってたの!」


「「あげぱん??」」


「単純に油で揚げたパンだけじゃなくて、挟む具材を色々用意して割ったパンに入れるのよ。試食するから食べる?」


「「食べたいです!!」」


「儂も!!」


「元気な返事で良いことです」



 甘いの、塩っぱいのと色々用意したし……セルフで塗るのはフィリングが無くなるから、そこはこちらで塗るつもりだ。リーシャもうまく塗れるように練習させるためでもあるの。


 皆には手を洗ってもらっている間に、私はリーシャヘ手本を見せるのに揚げパンにゆっくりと波刃を当てた。

次回はまた明日〜

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