第27話 哀れ王太子
お待たせ致しましたー
「……抜け駆けは卑怯だぞ、シュラ」
「うぅう!? 俺は仮にも義兄なんだぞ!?」
「今更何を言う?」
えーと。
ちょうど、お父様が厨房に来て。
伯父様がホットドッグをつまみ食いしようとしてて、あたしやユイノ姉が止めるとこも見てたから。
親側として……従兄弟として、伯父様の胸ぐらつかんで制裁中なのである。
お母様は、そんなお父様達を見ててもニコニコ笑顔のまま。ディオスを抱っこしていても……ディオスもくーくー寝ているわ。あたしの弟だけど……すごいわ。
「お兄さん? 手伝ったからって、先に食べて良い決まりはないでしょう?」
「うぐぐ……チャロナぁ!」
「将来の国王なんだから、いい加減自覚したら?」
「うう……シャル以外の女性は皆辛辣なんだぞ!!」
「あら。シャルお姉さんからも、愚痴のお手紙はたっくさんもらっているわ」
「のおおおおおおおお」
本当に……ほんとーに。
おじい様の後を継ぐ、国王様が伯父様でいいんだろうか?
一応……尊敬してなくはないけど。
最近は会えていない、向こうの従兄弟達が心配だわ。伯母様もだけど。
「うふふ。包囲網はすべて抑えてありますわ。そろそろ」
って、ユイノ姉がそんなことを言っていると。
シュンって音がして、黒い影がシュラ伯父様の鳩尾に直撃!?
「……なにをしていやがるんですか!? 父上!!」
滅多に会えない……従兄弟で将来の王太子候補の、エディトが叫んだわ!!
「エディト!?」
「あ、リーシャ。やっほー」
「やっほ……じゃなくて、よく来れたね?」
「ユイノから魔法鳥来て、速攻で勉強終わらせてきた」
「……なんか、字がちょっと違う気が?」
「間違ってない」
きっぱり言うけど……まあ、エディトだからいいのかな?
「その通りであるぞ、我が従姉妹。兄上は、それはそれは瞬殺の勢いで勉学を終わらせたのである」
「……マリーナ」
外見は可愛いんだけど、口調では伯父様似の……エディトとは双子である従姉妹も来たわ。二人そろって来るのは、結構久しぶり……。ユイノ姉のお陰ね?
「あら、二人ともいらっしゃい。いいタイミングで来たわね?」
お母様は伯父様がぶっ倒れても……甥達の方を気にかけて、ニッコリ笑顔だったわ。
「叔母上!」
「ご無沙汰しております、叔母上。我が愚父がとんだご無礼を」
「気にしてないわ。おやつがまだだったら、リーシャ達が作ってくれたパンがあるのよ。一緒にお茶しない?」
「「是非!!」」
エディト達は、すっごくお母様を尊敬してるのよね?
お母様はなんてたって……【枯渇の悪食】を無くした英雄なんだから!!
「お茶しましょー!」
あたしは、そんなお母様の子どもとして……同じような異能を持っているって、二人にも言わなくちゃ!!
それに、パンも食べてもらいたい!!
隅っこで倒れてる伯父様は……皆で無視したわ。
次回は月曜日〜




