第193話 可愛い家族が増えた
ディオスに神獣の加護がついたって、帰宅後にレイバルスが焦って知らせて来てくれたけど。
弟が抱っこしていた神獣というのは、神々しいよりも『可愛らしい』が勝つくらいふわふわで愛らしくて!!
思わず、セシル兄の側を離れてから、ディオスごと抱っこしちゃったわ!!
「可愛い!! フッワフワ!! シフォンの布より高級な手触り!!」
『みゃ?』
「鳴き声まで可愛い!!」
「あ、ねうえ! くるちー」
「……ごめんなさい」
ついつい、可愛い子がいたらぎゅっとしちゃう癖はなんとかしなくちゃ。保育園でも、可愛い子は抱っこしちゃうのと同じ扱いはよくないけれど。
「……本当にふわふわしてるな? 俺も触ってみていいか?」
「あい、兄上!」
実の兄上じゃないけど、私の婚約者ってことはわかっているからか。もしくは、教育係が教えたかでディオスが年上の幼馴染みたちを呼ぶのは、兄弟姉妹関係のと似ている。だからか、ミラクルたちも同じなのよね?
「うわ……かっる! ふわふわ」
『みー?』
「ディオスをちゃんと守れよ、ベリル?」
『みぅ』
喋れないはずなのに……意気投合してる? なんでだろう??
「ベリル、おーいで!」
けど、ディオスが呼べばちゃんと飛んでいくあたり……もう主従関係はちゃんとできているみたいだわ。セシル兄もあんまりがっかりしてなかったし。
「じゃ、俺はもうちょっとだけ婚約者殿をエスコートしようかな?」
と、腰を掴まれて……ちょっと引きずられるように庭園まで連れて行かれちゃった。なんか、ちょっと怒ってる感じ??
「……怒ってる?」
「ん? なんで?」
いつものベンチに座っても、まだ声にピリッとしたのを感じるの。ミアの方はあたしの横でいつのまにか寝てたから……勢いよくセシル兄の胸に飛び込んだ。
「……ベリルに抱っこ、よくなかった?」
「……気づかれたかぁ」
「ディオスの加護だけど……家族になる子だよ?」
「でも、俺にも……もっと抱きついてもいいのにさ? あんな無防備な笑顔しちゃって」
「……カッコいい人には、難しい」
「…………俺、カッコいい?」
「…………すっごく」
なので、ほっぺにチューしてあげてみれば。セシル兄は一瞬止まったけど、すぐにぎゅーって抱きしめてくれた!? この前言ってたけど、口のチューはもっと大きくなってからいっぱいしたいから……我慢しているのかな?
それか、庭仕事の使用人たちが見えるから……やめてるのかな??
どっちなんだろう??




