第17話 ちぎりパン③
お待たせ致しましたー
「では、ここから焼いていきますね」
そこからは、シェトラスのお仕事。
小さな火で、フライパンで焼いて。上の部分をひっくり返すのに……フタを使って、下にしてまた焼いて。
いい匂いがしてきたら、出来上がりだわ!!
「「わーい!!」」
「……おいしそー」
お皿じゃなくて、網の上に置いて。
触れるくらいになったら、出来上がりなんだって!!
ちっちゃなパンがぷくぷく集まって……、上はこんがり茶色。食パンともまた違うわ!!
あたし達が作った、パンがまた出来た!!
「んー。シェトラス」
「はい?」
「このパンもそのままより、ジャムつけた方がいいよね?」
「そうですな」
作りやすいパンを作ってみたけど、このままじゃあんまり味ないと思う。
けど……バターとかジャムたっぷりだと美味しいと思うわ!!
「リーシャ!! 食べたい!!」
「……僕、も」
だ・け・ど!!
あたしもお腹ぺこぺこだから!!
食べたいのに、反対なし!!
「このパンの醍醐味は、名前の通りちぎりやすさです。ちぎって、ジャムなどをつけて食べると美味しいですよ」
「「わーい!!」」
お父様とお母様も一緒に食べたかったけど。
今日は視察でお屋敷にはいない。
だから、あたし達だけだ。ディオスはおねんねだもの。
それとお着替えしなきゃだから、倉庫に戻ってさっき着てた服に戻した。その間に、シェトラスとレイバルスが食堂で食べるための準備をしてくれることに。
「お待たせ致しました」
「「わーい」」
着替え終わって食堂に行けば、ちょっとしたお茶会になってたわ!
だけど、いない人もいたの!!
「よー、ガキども」
黒い髪のおじ様。
お父様達のお友達で、伯爵様の……フィーガスおじ様だったわ!!
「「おじ様!!」」
「……こ、こんにちは。師匠」
「相変わらずだなあ、ミラクル」
おじ様はミラクルの魔法のお師匠さんなのよね? あたしやサリー姉もちょっとだけ習ったことあるけど!!
「おじ様、どーしたんですか?」
「いや、お前さんのとーちゃんに用あったんだが。早いこと視察に行っててな? 久しぶりにお前さんの顔でも見ようかと思ったんだが……パン作ったのか?」
「! あたしにも異能があったの!!」
「……は?」
あたしが元気よく言うと、おじ様は紅茶をだーってこぼしたわ。
「そうなのですよ、フィーガス様」
『でやんす』
シェトラス達がうんうんすると、おじ様は綺麗な赤い目をぱちぱちさせた。
「……マジ?」
「マジマジ!!」
マックス様の真似して返事すれば、今度はお口あんぐりだった。
次回はまた明日〜




