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第163話 お米が大好きになった(ミラクル視点)

お待たせ致しましたー





 *・*・*(ミラクル視点)






 正直に言うと、ぼくは……辛いのは、あんまり好きじゃなかった。


 でも、サリーと婚約出来て。大好きな人のために、苦手なことや食べ物を克服しようと決めたと誓い……少しずつ、母上にご教授していただきながら食べ始めてきた。


 チャロナ様のお作りになられた、とても美味しいお料理のレシピからならきっと食べられるかもしれない。


 父上は母上をとても大事にされているけど、お友達としては公爵様たちよりもチャロナ様を大事にしていらっしゃる。女性のお友達としては、最高位の方だからって。父上の言う『マブダチ』はよくわかんないけれど、ぼくにも友達はずっといたんだ。


 幼馴染みと言ってくれた、リーシャたち。その中に、サリーもいた。


 だから、彼らの背中を追う生活を止めたいと思って、ご飯の好き嫌いをなくそうとしたのもそのひとつ。


 けど、今目の前にある辛い料理の『カレー』は、ぼくの苦手意識をなくそうとしてくれていた。



(……たべ、たい)



 リーシャたちと作るパンも、とても美味しい。ぼくもちょっとずつ料理をする機会が増えたから、改めてわかるようになったんだ。チャロナ様たちがお作りになられた、このご飯は美味しいものだって。


 茶色の、お肉と野菜がごろごろ入ったソースだけでなく。


 ふわふわの、優しい黄色の卵のオムレツ。


 そこに、ぼくも大好きなチーズの白が少し見えていて……とても、食べたいと思ったんだ。もう、殿下方は召し上がられていたから、ひと口食べたときにすぐに声を上げられた。



「「おいしい!!」」


「うん、美味しい!!」



 王族の方々だけど、リーシャの従兄弟様ということでぼくとも親しくしてくださる殿下方。アウル……くん、も半神でいらっしゃるのに、ぼくとお友達でいてくれる。その方々が、とても笑顔になっているから……ぼくも、スプーンですくってみたら!



「う……わ!?」



 チーズがたっぷりだからか、すごくよく伸びる! 蜘蛛の糸が、綺麗だと思った時のように白く細く長く、伸びていくんだ!! でも、これは食べられる糸だからとカレーといっしょに口に運んだら。



「おいし!」


「ね! すっごくおいしいね!」



 サリーとリーシャも同じように食べていたんだけど、ぼくは言葉が出なかったんだ。


『おいし過ぎて』。



(辛いけど……美味しい辛さって、母上たちが言っていらした。それって、こういうのなんだ!!)



 カレーパンのときは、揚げたパンがあったから美味しく感じられたけど。今回は直接口に入れるソースなのに、とても食べやすい。子ども向きではあっても、ぼくですら食べられるんだから!!


 チーズと卵があることで、よりまろやかに味わえるのもあるが。


 それでも、もとは弱虫で食べ物も好き嫌いがあったぼくが!!



「「……ミラクル!?」」


「お? 俺以上に食いつきいいな?」



 セシル兄がそういうくらい、ぼくは父上の食べ方みたいに『がっついて』しまったんだ。パンの方が好きだった僕が、『おこめ』をこんなにも美味しく食べれる料理があるんだってわかったら!!


 みんなとの話し合いの前に、たくさん父上と稽古していたから、正直お腹がぺこぺこ過ぎて!


 意地汚い食べ方かもしれないが、食べ進めるのを止められない!! もっともっとご飯が食べたいって、初めて思ったんだ。だから、チャロナ様の方に空になったお皿を差し出したんだ。



「おかわりください!!」


「あら、そんなにも美味しかった?」


「大盛りでお願いします!!」


「ふふ。それはいいことだけど、お腹がびっくりするから少しね?」



 チャロナ様は、やっぱり許してくれなかったけれど。


 ぼくのお腹が変にならないように、きちんとアドバイスしてくださったから、それに頷く。


 おかわりが少しでも出来るなら、ぼくは嬉しい!!



「……性格もだけど、食欲もあたしに寄ってない?」


「それでこそ、マックスさんの息子くんだもの」


「……そうよねぇ?」



 父上のように、女の人の言葉は嫌だけど。


 父上のように、ぼくも強くなりたい! だから、からだ作りにたくさん食べたい!! それと、おこめの可能性をもっと知りたくなったんだ。母上にも、チャロナ様にも教わろう!!

次回は多分日曜?

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