第162話 ちょっと気になった将来
お待たせ致しましたー
ちょっとお説教はあったけれど。
みんなで美味しい美味しいご飯が食べられるのは嬉しいし、楽しい。だから、つい走っちゃったのは反省ね? カイザークのおじい様が言うことは正しいわ。気をつけなくちゃだから、走るのはやめてみんなゆっくり歩いたの。
「……おじい様より、怖いからなあ」
「うむ……」
「人間なのに、エルフ並みにおっかない……」
「あらあら、閣下は正しいことをおっしゃっていたではないですか? 次代の宰相殿が決まらない限りは、ずっと現役ですもの」
「「……ユイノ」」
やんちゃな男の子たちが納得する回答を出すから、ユイノ姉は本当に頭がいいわ。
もともと叔父様の娘ということで勉強はピカイチだから、あたしよりもすごいもの。将来の王妃としての教育が始まったから、もっと教養深い女性になると思うわ。
「宰相か~? じー様長いけど、次の宰相閣下って決まらないのかな? うちのお父様は候補の一人だけど」
サリー姉も、なんだかんだやんちゃなとこはあっても伯爵家の娘。ミラクルと結婚出来たら、嫁いでも伯爵家の夫人になるけど格が違うらしい。ユーシェンシー家は武の家系だから、マックス様やそのお父様はめちゃくちゃ強くて王家からの信頼も厚い。ミラクルも今は稽古頑張っているけど、実質的なとこはサリー姉の方が強いのよね?
それはともかく、サリー姉のお父様はシュラ伯父様の近侍だから。将来的に重要な役職に就いてもおかしくないの。だったら、伯父様をしっかり働かせるのにギフラ小父様が宰相になるのが一番だ。
「まあ、難しいことを俺たちが意見出しても……決めるのは陛下だろう? エディトやマリーナたちが気にするのもわかるよ。けど、悪い方向にしないように、ちゃんと考えているはずだから、大丈夫だって」
「「……うん」」
さすがは、私のセシル兄!! セシル兄も将来伯爵の地位を継ぐから、政務に関わる勉強をもう始めているのね! あたしも、夫人になるからそういう勉強した方がいいかな? 社交界出るのは……ちょっと嫌だけど。公爵家の令嬢ってことで、妬み僻み多いもん……ああいう場所。おばあ様やおじい様たちは大好きだけどぉ。
「ふふ? いいお勉強ね? それもいいけど、みんなお腹空いたでしょう?」
「お母様!」
『みゅ!』
食堂近くでおしゃべりしてたからか、後ろからお母様とさっき別れたカイザークおじい様が来たの。どちらもにこにこされてたわ。
「セルディアスのことを考えてくれるのはもちろん嬉しいわ。けど、おバカでもお兄さんも王太子だから、ちゃんと選別してるわ」
「お兄ちゃん貶しすぎだろう!? 我が妹よ!!」
「え、だって事実だし?」
お母様と、いきなり食堂から出てきたシュラ伯父様との掛け合い。
どう見ても、お母様の方が色々強いわ……。おばあ様そっくりの見た目で、おじい様くらい賢いからか。もしくは、セルディアスの救世主になるまでの試練を乗り越えたからか。
お兄様のシュラ伯父様の手綱を操るの……お上手なんだよね? お母様は王女だから、女王になってもいいくらいだけど……それは嫌だなあ。お母様とお父様はラブラブだもの? それに、あたしもいっしょにパン作り出来なくなっちゃう!
「……とりあえず、ご飯出来たんだぞ」
伯父様も、どうやら納得したのかがっくりと肩を落としていたわ。
「だそうよ? みんな、中に入ってから行儀よく座るのよ?」
「「「「「はーい!!」」」」」
『みゅ』
「伯母様? 今日はカレーですの?」
「ふふ。ユイノちゃん、それだけじゃないのよ? ふわふわ卵と溶けるチーズも使って、オムライス風にしているの。名付けて『オムカレー』」
「まあ、素敵ですわ!」
「「「卵にチーズ!?」」」
食いしん坊のメンバーが待てないこともあって、中で手を洗ってからみんなで席に着いたら……本当に、カレーなのにご飯の上にふんわりオムレツが載ってて、チーズも溶けてたわ!?
次回は多分明後日?




