第161話 じいめは嬉しゅうございます(カイザーク視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(カイザーク視点)
ついつい、姫様方に『軽いお説教』をしてしまいましたが。
陛下、王妃様の新たな命の誕生にも気味悪がることなく、むしろ祝福してくださった姫様方。
本来なら、王妃殿下のご年齢での懐妊などありえませんのに。神からの復活の儀を経て……肉体の老化はさせられても、陛下との愛をさらに育まれた奇跡なのでしょう。まだ正式に発表はしておりませんが、姫様方は知っていらっしゃいます。
それぞれ、まだまだ幼いですが想い合う方同士とのご婚約もなされた。
この爺めは、感動ですぞ!
関係性が変われど、皆さまとても仲が良くていらっしゃる
サリー姫が一番年長ですが、やんちゃ盛りのご年齢に変わりありませんので……皆さまとてもお元気です。食堂へ行かれるのを見送ってから、私めは厨房に一度向かおうと歩き出したのですが。
その手前に、どなたかがいらしたので足を止めた。
いらしたのは、この屋敷の女主人。チャロナ様でした。
服装は動きやすいように簡素なドレスでしたが、王妃様そっくりのお顔はとても生き生きとした表情でいらゅしゃいました。
「お疲れ様です。カイザークさん」
「……ちょっとした、爺の小言で申し訳ありません」
ますますアクシア様のお若い頃とそっくりになられますが。
この方は、特異な出自の持ち主。アクシア様とはまた違った苦労と多くの知識を身につけていらっしゃいます。まだ姫様方には打ち明けていませんが、異世界からの転生者なのです。
「そんなことありませんよ? カイル様たちでは甘やかしてしまうので、しっかり言える人はうちだと少ないですから」
「……そうですな」
『氷の守護者』などと、かつては男女問わず貴族間では畏怖の対象であったカイルキア様。
今では、子煩悩とでも称せるくらいに……リーシャ様やディオス様をとても大切にされていますから、私めも驚きです。もちろん、従姉妹で最愛の奥方となられたチャロナ様を愛していらっしゃるからこそでしょう。
義兄となられたシュライゼン様を含め、他の方々に対しては相変わらずのようですが。
「けど、今更ですが。少し驚きました。もともと家族のような感じのカイザークさんと、まさか親戚になるだなんて」
話題を変えられたいのか、チャロナ様はリーシャ様とうちのひ孫のセシルのことを話されました。たしかに、幼馴染みとして仲が良いのは知っていましたが……婚約まで行きつくとは思いませんでしたね?
そして、本当に結婚すれば……その頃には、さすがに私めも長生きしているかはわかりませんが……縁戚としての絆は残せますね。嬉しゅうございます。
「ははは。ひ孫とチャロナ様のご息女がとは予想外でしたが」
「カイザークさんも、もっともっと長生きしてくださいね? お師匠さんは種族の関係で出来てますけど」
「……私めもだいぶ年ですぞ?」
「お母さんたちのフォローはギフラさんたちだけじゃ、まだまだ大変です。人材育成も兼ねて、お願いします。お師匠さんに、長寿のポーションでも錬成してもらいますよ?」
「……冗談に聞こえませんぞ?」
「半分、本気です」
「ははは」
転生者ではあれど。王族としてお育ちになられた期間は短いですのに。
やはり、陛下の御息女。シュライゼン様の妹君であられると痛感します。
しかし、アーネスト様にポーションを依頼されたら……私めを実験体として、製造しそうで本気になられるでしょうなあ?
それは置いておくことにして、チャロナ様とご一緒に厨房へ向かうことにしました。
次回は月曜日あたりに




